ずっと、行きたい、行きたいと思っていた秋田・羽後町の西馬音内盆踊り、やっと行ってきました。 粗野な囃子に優雅な踊りの鄙と雅の対照的な取り合わせが不思議な世界を創り出していて幻想の夜を過ごしてきました。 こんな片田舎のこんな小さな町にこの幻想的な伝統が息づいていることが驚きです。 端縫い衣装と絞りの藍染めの二通りの衣装がてんでに入り乱れてそれぞれ目深にかぶった編み笠か黒い彦三(ひこさ)頭巾をつけて踊ります。ですから踊り手は顔を見せることはなく、それがさらに優雅な雰囲気を醸しています。 それらの衣装とかぶり物は踊り手の好みで選んでいる様ですが端縫い衣装には編み笠、藍染め衣装には彦三頭巾の組み合わせが基本のようで、また高校生など若い女性は藍染め衣装に彦三頭巾がほとんどでした。でもきっちり決まっているかというとそうでもないようで藍染め衣装に編み笠もその逆もありのようでけっこう自由に好みだけで決めている感じです。 端縫い衣装は片田舎の貧しさから端切れをつないで着物にしたなどといわれることもありますがそんなことはないそうで、かがり火に映えるように工夫を凝らして縫い上げた踊り手の気合いそのものに見えます。確かに配色にも気を遣っていますしそもそも端縫いとは言うものの布が端切れなんかじゃないですからむしろ手間も費用もたいへんかもしれません。 また藍染め衣装もそれぞれ好みの絞り染めをほどこしてひとりひとり自分なりの模様に拘っている感じです。こっちもけっこうお金かけてるなぁと思わせます。下世話な話になりますが、若い人たちもこの踊り衣装にきっと給料何ヶ月分かは吹っ飛ばしてるに違いありません。気合い入ってるよなぁ。(^_^; 一方、彦三頭巾ですが最初はぎょっとしますが踊る姿はとても幻想的ですし、かがり火の光に浮かぶ姿は確かに亡者を連想させていやでも独特の雰囲気に引き込まれます。 はじめこそ亡者を連想させる姿になんだか違和感がありますが見ているうちに妙に色っぽくてまた優雅で繊細な感じを受けるのが不思議です。 夜も更けて子供たちが帰されると踊りも佳境となっていったいどこから集まって来たのかと思うほどたくさんの踊り子が会場いっぱいにふくれあがって妖艶な踊りを披露してくれました。見物するこっちもうっとりと夢見心地の一夜でした。 今年は天候が不順で計画していた山行も流れてしまって心残りな夏になってしまいそうでしたが、この西馬音内への小旅行で思い出深い夏になりました。 とっても遠くて行くだけでたいへんなんですが、それだけに印象もさらに深くなったかな。 動画: http://www.kimurass.co.jp/temp/170817nishimonai/nishimonai.mp4 (.MP4ファイル 6MB)
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