赤岳 小泉岳 あかだけ 2090m こいずみだけ2158m
お花畑と展望を心ゆくまで
北の大地がもっとも華やぐ季節、一斉に咲く高山植物に会いに大雪山に出かけました。
裏年だったようで花の密度はちょっと期待はずれでしたが、快晴に恵まれて残雪の白と空の青、緑の絨毯に色とりどりの花たち、目に鮮やかすぎるほどの北の大自然でした。
関連ページ 緑岳・小泉岳・白雲岳 http://www.kimurass.co.jp/midoridake.htm
赤岳頂上
キバナシャクナゲ群落
あくまで平らな小泉岳頂上
こまくさ平ではシマリスが挨拶
【日程】 2015年7月12日 【山域】 大雪山 【天候】 快晴
【アクセス】 自動車道が層雲峡直前まで延びて大助かりです。
道央道比布JCTから旭川紋別道路に入り上川層雲峡インターまでは快適な自動車道です。旭川紋別道路は高規格国道で高速道ではありません。速度制限はだいたい70kmです。道路の名称も区間区間でころころ変わっているようですが役所側の都合のようですから走行するには関係ありません。
上川層雲峡インターからは以前通りに大雪国道(国道39号)を走ります。
層雲峡の先で長い銀河トンネルを過ぎると上川国道(国道273号)が右に別れるのでこちらに右折します。大雪湖沿いを少し走ると銀泉台を示す看板がありここを右折してあとは道なりです。ほぼ砂利の道ですから他の車の後につくと埃まみれになります。かなり距離をとって走ることをおすすめ。
【駐車地】
銀泉台に駐車場。数十台駐車可能。
バス停入口は駐車不可です。(写真奥)【コース】
銀泉台 - 第一花園 - 第二花園
- こまくさ平 - 第3雪渓 − 第4雪渓 - 赤岳
- 小泉岳(往復)
実行程約7時間 やや健脚向き(残雪有り)
【メモ】
長い林道:
国道を離れて林道に入るとすぐに砂利道になります。なだらかで急な登りもなくカーブも緩くまたよく整備されていて比較的走りやすい林道です。
しかし舗装道路とは違います。慣れないと横滑りなど思わぬトラブルの可能性もあるのでスピードの出し過ぎは禁物です。
途中跳ね上げた小石がブレーキシューカバーの中に入ってしまい大きな異音で肝をつぶしました。タイヤをはずしてなんとか取り出して事なきを得ましたが奥深い山中のことですので車のトラブルは大きな難儀となります。
やはりスピードを控えれば小石の跳ね上げも少なくなりますので反省しきり。
カーブが多くなるとほどなく長い林道も終点です。前方に大きな山肌がのしかかるように高々と見上げられます。
銀泉台は広い駐車場と森林パトロール事務所がありさらのその奥にトイレもあります。ありがたいことに冷たい湧き水がホースで導かれていますので下山後の乾いた喉を潤してくれます。(ちなみに北海道の山ではキタキツネの糞を介したエキノコックス感染の懼れから沢水は飲料には適さないと言われています。)
銀泉台には以前は古いながら山小屋がありましたが今はもうありませんので早朝に発つハイカーは車中泊を選ぶようです。
ここからいよいよ出発です。
早くも高山植物のお出迎え:
しばらくは自動車道跡を進みます。この自動車道は大雪縦貫道路を造りかけて断念した痕跡らしいです。
第2花園チングルマ群落
しばらくこの道をたどったりショートカットしたりしながら進むといよいよ登山道となり、すぐにトラバース道の第1花園です。まだ雪が残っていますので注意して急な斜面を通過します。右手には先ほどの銀泉台駐車場、さらにその先には広大な石狩川上流域の樹林帯を見下ろすことが出来ます。
ウコンウツギのクリーム色が目立ちますがいろいろな花に歓声を上げるほどのことはなくて花園というほどのものかと少々拍子抜けです。この時季は歓声は第2花園まで待つことになります。
トラバースを通過してさらに雪渓を一登りで第2花園です。湿性お花畑が広がっています。チングルマ、アオノツガザクラ、エゾツガザクラなど湿性の花が目立ちます。ただ今年ははずれ年のようで、とくにエゾツガザクラの花の密度がかなり少なめです。
第2花園のお花畑 エゾコザクラ、ミヤマキンバイ、アオノツガザクラ、エゾツガザクラ、チングルマ
残雪を登る:
気持ちのよい風にさざ波を立てる神の田圃
さらに登って視界が開けるとこまくさ平、コマクサの群生地です。一面のコマクサというわけではありませんがそこここにピンクの花を揺らしています。
その花から花へとコマクサを食草とするウスバキチョウが何匹も舞っていました。
人をあまり怖がらないシマリスが私たちの回りをすばしこく巡って楽しませてくれました。
途中に小さな池が現れます。神の田圃です。伸び上がって奥を見るとさらにもう一つ池が見えます。2段になっているようです。
雪渓とお花畑を交互に登って赤岳へ:
第4雪渓を見上げる 雪上を登るハイカーが豆粒のよう
さらに花を楽しみながらの登りが続きます。加えて高度を上げるにつれて周囲の展望も大きく広がります。振り返れば石狩岳や二ペソツ山、右手には寄り添うように武利岳、武華岳、そして至近の左手に東岳が岩屑を重ねて高々と聳えています。
第4雪渓を登る
赤岳:
第4雪渓を登りきり、さらに一踏ん張りで赤岳頂上です。たくさんのハイカーが休んだり展望を楽しんだりしていました。
ここからの展望は素晴らしいの一語に尽きます。黒岳から始まって烏帽子岳、凌雲岳、北鎮岳、北海岳、旭岳、白雲岳と表大雪の山々が一望です。またニセイカウシュッペ山など北大雪の山も見通せます。
山岳展望を楽しみながらここで大休止。
余談ですが赤岳は頂上には三角点はなくてその先の岩の高み付近にあるらしいです。現在は進路に大きく×印が描かれて立ち入り禁止になっています。
赤岳頂上より旭岳
北鎮岳
白雲岳(見えるのは山頂手前の外輪部分)
小泉岳:
小泉岳 赤岳からの道を振り返る 背後はニセイカウシュッペ山
目指す小泉岳は広大な平頂で一見しただけではどこが頂上やら判別が出来ません。赤岳から眺めるとはっきりと一筋登山道が続いていますので好天時なら迷いようもありませんが荒天で視界が効かないときに道をはずしたら難しい状況になるかもしれません。
道の両側は素晴らしい乾性お花畑です。今年の花はちょっと少なめのようですがそれでも岩礫の間にたくさんの花たちが群れ咲いています。
ここの風衝帯の乾性お花畑ではホソバウルップソウ、エゾオヤマノエンドウ、イワウメ、エゾタカネスミレ、キバナシオガマなどが主役です。
最後にハイマツ帯を抜けると小泉岳の平頂の一角にたどり着きます。どこが頂上やらわからないような真っ平らな小泉岳ですが登山道が丁字路となっている地点で左に折れると行く手に山頂らしき案内柱が見えます。
この道は小泉岳頂上をやり過ごして直進すると白雲分岐を経て白雲岳、旭岳方面に通じています。
風衝帯のお花畑
よくよくそのつもりで見るとその柱の辺りは一番標高が高いように見えなくはありません。一応山頂まで足を延ばさないと。
小泉岳の頂上はホントに平らな地形なので頂上に立っても爽快な高みの展望というわけにはいきません。展望を楽しむなら少し先に進んでケルン辺りまで行ってみる必要があります。豪快な眺めが待っています。
なんと言っても眼前に広がるトムラウシ山の迫力に圧倒されます。その右奥には上ホロカメットク山や十勝岳なども遠望できます。そして眼下の高根ヶ原からトムラウシ山までの平坦な尾根の連なり、なんとも雄大な景観です。。
足元には岩礫の隙間に乾性お花畑が一面に広がってこちらもぐるりの眺めとともに楽しめます。
小泉岳頂上先ケルンからトムラウシ山と高根ヶ原、化雲岳 辺りは乾性お花畑
若かった頃、旭岳からトムラウシ山まで縦走したことがありましたが、遙かな昔のことでもはや夢のようです。
いまも変わらずにたくさんの花が咲き誇っているはずです。
それにしても自分の今いる場所も遠くまで続く山々もじつに不思議な地形です。これを山と言っていいのかというくらい平らです。
なかなかつらい下山路:
赤岳まで戻り、さらに下って第4雪渓を前にして昼食としました。眼前には石狩岳やニペソツ山、眼下に広大な樹海、こんな景色の中ではアルファ米のお弁当でもごちそうの気分です。
そこからは登っただけ下る道理に従って苦闘が待っていました。でも午後の陽差しはカメラを構えるには適していて、朝の光がカメラに邪魔なのに比べ多少は気に入った写真が撮れました。
うんざりする頃やっと登山口の銀泉台に到着、銀泉台の湧き水の美味しかったこと。
赤岳、小泉岳花図鑑(クリックで拡大)
チョウノスケソウ
エゾコザクラ
エゾオヤマノエンドウ
エゾツガザクラ
ホソバウルップソウ
イワブクロ
イワヒゲ
イワウメ
キバナシャクナゲ
コマクサ
メアカンキンバイ
ミネズオウ
エゾタカネスミレ
ウコンウツギ
キバナシオガマ【便利帳】 トイレ:銀泉台 【寄り道】 旭川・大雪地ビール館 かつての倉庫を改装したビール館です。生ラムジンギスカンで地ビールをいただきました。エゾシカ肉も軟らかくて脂身もなく美味でした。
美瑛 せっかくの北海道、定番の丘巡り。ここもアジアからのお客さんが目立っていました。
大雪地ビール館
美瑛パッチワークの丘ふらのメロン 国道沿いにたくさんの直売所があります。店先で食べることが出来ます。なんと1/4カットが250.-。とってもおいしかったです。もちろんおみやげも買いました。が、宅配をケチって2個のメロンを手持ちで帰ったのでそのやたらと重いこと。
美瑛パッチワークの丘