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  赤城黒檜山南東尾根 くろびやまなんとうおね

広大な笹原とアカヤシオ巨木林
数年前に航空写真を眺めていてふと気づいた赤城東面の広大な笹原。拡大すると一帯に紅い点々が無数に見えます。これはもうツツジ以外には思い当たりません。ちょうど花期に撮影したようです。
広大な笹原にツツジ大群落。それ以来なんとかあの笹原の一角に立ちたいと切望するものの全く情報もなく夢にさえ見ながら時が過ぎてきました。何回か偵察に入山したり周囲の展望峰から探ったりしましたがどうやら登路はないというのが結論です。
それでも行きたい! もう残り時間を勘定する年齢になってきたのでアカヤシオの当たり年に合わせて健脚・ベテラン・物好きという恰好の仲間を得て思い切って歩いてきました。何があっても突き進んじゃうような仲間たち。(^_^;

一般ハイキングコースではありません。

関連ページ
赤城東面高楢川 http://www.kimurass.co.jp/takanaragawa.htm
赤城東面笹尾根 http://www.kimurass.co.jp/akagitoumensasaone.htm
黒檜山(花見ヶ原から) http://www.kimurass.co.jp/akagihanamigahara.htm
【日程】 2021年5月16日
【山域】 赤城
【天候】 雨、曇り
【アクセス】 国道122号でみどり市大間々の市街地を抜け渡良瀬川沿いを北上、下田沢で沼田方面へ左折。13kmほど走ると花見ヶ原方向への分岐がありここを左折し3kmほどでゲートのある林道が分岐。
2021-5-16現在、前年まで災害のため崩壊状態だった林道の状況は修繕済みですがゲートは閉鎖されています。
【駐車地】 高楢川のページ参照 http://www.kimurass.co.jp/takanaragawa.htm
林道分岐手前路肩に2、3台分の余地。

【コース】 林道分岐 − 入山点 − 高楢川砂防ダム
- 笹疎林平坦地 − 疎林終端から尾根へ直登
- 尾根笹原 - 道跡横断点 - 急傾斜笹藪尾根
- 花見ヶ原ハイキング道 - 花見ヶ原 - 林道分岐

約7時間 経験者向き 物好き限定(^_^;

   アカヤシオ巨木林       最初だけは藪もまばらな気持ちのよい斜面を直登

【メモ】
偵察を重ねる:
高楢川砂防ダム

存在を知って以来何度か偵察を重ねてきましたが、どうやら登路はないと言うのが結論です。
一度は隣の尾根を登って目的とは違う笹尾根にたどり着いたことがあり、そこは素晴らしい別天地でそれはそれで大収穫ではありました。
また赤城の長七郎山に登った折には北方向にくだんの笹原の全体が見通せることにも気づきました。そのときもアカヤシオの花期で点々と花群れが遠望できていよいよ想いが募りました。
もっとも近い時期としては高楢川を遡って肉薄しましたが涸れ沢を詰めたので浮き石が多く単独では危険と思って霧に閉ざされたのを潮時に撤退しました。
片思いの笹と花の尾根、なかなか簡単には足跡をつけされてはくれないようです。
改めてつぶさに航空写真を見ると高楢川の砂防ダムのすぐ上流の右岸側に笹原の疎林らしき地形が見て取れます。ここなら鹿道くらいはありそうなのでひょっとすると尾根まで通じる道跡でもあるかもしれません。

シロヤシオに慰められる
悪戦苦闘の尾根への直登:
実際に歩いて見ると道跡があるやもしれぬという考えは少々安易すぎたようで平坦疎林が終わると密藪に遮られて沢へ下りるかここから直登するかしかありません。沢へ下りたら前回の轍を踏むことになりますから当然急登を突いて直登することになりました。
最初こそ藪も薄くシロヤシオやミツバツツジの咲く深山の雰囲気満点な気分のよい斜面でしたが徐々に傾斜がきつくなるのに従って笹が繁茂しだして途中からは笹の密藪をかき分けながら贅肉の体を持ち上げるしかない状況になりました。
少し体調を崩しているせいでもう最後は青息吐息。おまけにぽつりぽつり始まってレインウェアを取り出す羽目になりました。
霧の中誰に見られることもなく咲くアカヤシオ

やっとの思いで稜線へ:

やや傾斜が緩んでくると笹藪も薄れてやっと人心地がつきました。稜線は小笹の原と疎林でいきなりアカヤシオのお出迎えです。
一筋の道跡が下方から続いていてどこからやってきた道跡なのか知りたいところです。これをたどればもっと容易く登れたかもしれませんが、あるいはこの道跡も平坦稜線だけでたどったところで傾斜面になったら消えてしまうかもしれません
稜線は平坦で左斜面は広大な笹原が拡がっています。そして満開のアカヤシオが延々と続いています。夢にまで見た赤城最奥の景観です。
今までのへたれ具合はどこに行ったかルンルン気分の稜線漫歩が続きます。それにしてもなんというアカヤシオの群落。どれも巨木でそれがほぼ純林を形成している様は圧巻というほかありません。まず人が入ることのない尾根でしょうからこれほどの景観をたぶん私たち以外は見ることもなく今年の開花を終えることになるはずです。

雨の中のアカヤシオ巨木林 動画




         広大な笹原斜面     

       アカヤシオ巨木純林

   てんこ盛りアカヤシオ

    このくらいの密度がきれいかも

一転下草も少ない下山路
また笹藪の急登:
しばらくは花に歓声を上げながら平坦な尾根を進みます。途中道跡が尾根鞍部から左前方下方へ下っていきます。たぶんこれが長七郎山から見えた道跡らしき筋状の地形かと思われます。かつてしっかり造られた道の跡のようです。尾根の右は崩壊した溝になっていてこの道跡が尾根越えしていたのかあるいはただの沢の上端が崩れたのか判断できません。錆びたワイヤーロープが残っているのでかつて伐採作業でもしたのでしょうか。
十分アカヤシオと深山の静寂を堪能して、さて、下山はどうしようか。
往路を戻る選択もあったのですが、雨の中、大石の重なる藪の急斜面の下降は危険と判断して黒檜山まで登ることにしました。この上また登るのかとうんざりですが危険回避のためなら仕方ありません。
しばらくなだらかな尾根をたどってからまた急な笹藪が始まります。尾根までの登り以上に難儀なルートです。かすかな踏み跡も消えてルートファインディングに迷うような登りです。おまけにさらに笹が密生した急峻な登りとなって息が続きません。青息吐息で仲間を何度も待たせながらやっとの思いで花見ヶ原からのハイキングコースにたどり着きました。黒檜山から標高差で100mほど下降した地点です。
結局300m藪を登って、一旦目的の平坦笹原で遊んで、また密藪を300m登ったことになります。藪の300mはけっこうきつい。
ここまで来ればあとは花見ヶ原までのんびり下るだけ。雨上がりで階段や木道が滑りやすくて2度ほどすってんころりしてしまいました。難儀な道より安易な道の方が危ないという典型です。
花見ヶ原のキャンプ場をかすめて駐車地に戻りましたが結局一日誰と会うこともなく周回することになりました。最後に満開のミツバツツジが見送ってくれました。

     ミツバツツジの咲く花見ヶ原
【便利帳】  コンビニ:国道。道の駅くろほねやまびこおよび隣接するコンビニ。
トイレ:道の駅くろほねやまびこ、花見ヶ原キャンプ場。
スマホ電波:林道で電波が通じる箇所に看板表示があります。他はキャンプ場以外通じません。
【収穫】 25片 40g (^_^;
【謝謝】 同行の仲間に感謝。
先行きもわからない密藪の急斜面で雨に打たれながらの登高ですから普通なら泣きっ面なはずですがあとから写真を見てみたらみんなこれ以上はないという満面の笑み。ホント、誰もいない花の尾根とか人跡のない山域とかが大好きな連中なんですね。あきれちゃいました。
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