【メモ】 |
2018-5-4
トウゴクミツバツツジ満開の薮尾根を登る:
密やかな尾根道 |
赤城山の東面で一般登山道と言えば利平茶屋から鳥居峠までのかつてのケーブルカー跡に添う道があるのみで、他には登山のための道はまったく見当たらず北東面の花見ヶ原からのルートまで廻らなければなりません。ですからこの東面は赤城の山深さを実感できる山域です。
ただこの山域を歩こうとすると不安なことには赤城山一帯は林床が笹で埋め尽くされているケースが多くそれがミヤコザサならば膝ほどの笹原を快適に歩けるもののチマキザサ、チシマザサなどの笹藪に捕まると進退窮まってしまいます。藪歩きが奥日光では困難を感じるのに対し袈裟丸山などでは比較的容易なのはこのササの種類に起因しているようです。赤城山ではミヤコザサの藪もチマキザサの藪もあってそれらの分布もよくわかりません。行きたい気持ちは強くてもなかなか突っ込んでいく勇気がわかないままずいぶん経ってしまいました。
航空写真で見ると広大な笹原が2カ所、とりあえず県道から近い方の笹原を目指して出掛けることにしました。
林道入り口に駐車してさて出発とスマホのナビを起動したものの電波が届かない場所で地形図を落とすことができません。準備がまったくずぼらじゃないか。仕方なし花見ヶ原森林公園まで行ってアンテナの真下で地形図をロードしてまた再出発。
林道はゲートがあって通行禁止となっていますが鍵はかかっていないので山岳道路ツーリングのバイクは入り込んでいるようです。私は林道を足慣らしのために歩くことに。
10分ほど歩いたところで前方に軽トラックが入り込んでいて、なんと密猟のオヤジがオオルリの囮を仕掛けている最中でした。トラブルにならないようにやり過ごしましたが、もう今年は2度密猟者に会っています。高額で取引されている噂を聞きますので相手も趣味とかではないはずで、トラブルは事件に直結するかもしれません。あまりかかわらないようにと監視員に言われたことがあり、ここは残念ながら見ないふり。
ここと思われる尾根の取り付き点にたどり着くとそこから笹が生えているものの広い作業道の痕跡が登っていきます。少しだけこの道跡をたどると道が壊れてガレた場所の先にはっきりした獣道が尾根に向けて登っているのでこれに従って尾根に出てあとはずっと獣道をたどることに。
ササはそれほど深くはなく獣道もほぼ尾根通しに消えたりまた現れたりしながらなんとかつながっています。あたりはトウゴクミツバツツジが惜しげもなく咲いて見る人もなくもったいない限りです。 |
笹原をのんびり登る |
笹原に飛び出す:
落葉樹林の尾根を獣道を繋ぎながら登ると突然前方が明るくなって広大な笹原の一角に飛び出します。丈の低いミヤコザサと芝草とが交互に生育していて思わず、ああ、いいなぁと独り言。
少し登って振り返ると安蘇山塊や足尾の袈裟丸山や皇海山がうねうねと横たわっているのが一望のもとです。吹き抜ける風を全身に受け草付きの斜面に座って大展望を心ゆくまで楽しみました。赤城山東面の奥に分け入った場所ですからおそらく周囲2,3kmの範囲には自分と野生動物以外いないという感覚は何ものにも代え難くこれぞ薮歩きの醍醐味です。 |
皇海山 袈裟丸山 |
安蘇山塊 |
新緑、ツツジのにぎやかな尾根 |
この尾根はこのまま登ると(行けるかどうかは別として)花見ヶ原から黒檜山へ登る尾根に吸収されてしまいますが、向かいの南側を並走する尾根は黒檜山直下まで登り詰めるようです。こちらにも広大な笹原があるようなのでいずれ登りたいものですが地形図を見ても実際の尾根の長大さを見てもこの尾根よりさらに苦労が待っているような気がします。それにしても新緑が鮮やかに光りツツジが咲き乱れて春が大騒ぎな尾根に気分がそそられます。 |
気分の良い笹原を一気に下る
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1361m峰まででおしまい:
笹尾根をさらに登るとまた落葉樹疎林の尾根となり笹もやや深くなります。ただし尾根全体がミヤコザサなので強引に体力任せで押し分けて進むのもそれほど困難ではありませんが単独なのでこの辺で引き上げることに。
1361峰からの下りは地形図で見ても尾根が二手に分かれていますが実際には地図に現れないような小尾根が真ん中と左端にそれぞれ分かれていて注意深く見定めないと別の方向に引き込まれそうです。そのスタートの方向さえ確かならあとは笹原と疎林の尾根をツツジの花に囲まれながら下るのみ、去りがたい珠玉の尾根ともお別れです。
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2022-4-30
仲間とともに花のワンデルング:
笹原の尾根
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まったく人の気配のない山域で前回は単独でもあったし未知の尾根でもあったので最初は多少緊張を強いられましたが実際に歩いてみると優しい景観と広闊な展望のまさに珠玉の尾根でした。今回は仲間とともに賑やかで楽しい一日となりました。
この尾根の南側にも併走する小尾根がありやはり小笹の原が広がっていて前回登ったとき以来気になっていました。もし時間と体力に余裕があればそっちにも足を延ばしたいものです。
登りは前回と同じルートで1361m点手前まで登ったところで鹿道がトラバースして向かいの尾根に向かっていることを発見、楽して隣の尾根に行けそうだとそちらにルートを切りました。ところがこれが大失敗、背丈にも達する笹の中を泳ぐようにやっとこさ前進できるほどの難儀なトラバースとなりました。易きにつこうとすれば難儀が待ってるって何回繰り返したら判るんだ。(^_^; |
アカヤシオ咲く隣尾根
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アカヤシオ満開
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夢のようなアカヤシオの尾根:
やっとこさ隣の尾根に登り着くとそこはアカヤシオが点々と咲く夢のような尾根でした。文字通り秘密の花園です。
袈裟丸山や白根山など岳望も申し分なく近景の新緑の谷とともにいつまでいても見飽きない景観です。数キロメートル内に誰もいないだろうという気分もまた格別です。ゆっくり昼食をとりながら私たちだけの尾根を心ゆくまで楽しみました。
それにしても赤城山の大きさ、山深さをしみじみ感じる赤城東面の景観です。いつまでも人臭さと無縁であって欲しい山域です。 |
日光白根山
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隣尾根から袈裟丸山群
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アカヤシオ
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2023-4-23
アカヤシオ当たり年:
今年は赤城、足尾の山々はどこに行ってもアカヤシオが大当たりです。これほどの当たり年はそうあるものではありません。アカヤシオ群生の尾根を登り尽くさないと。
以前台風によってズタズタに寸断された林道もすっかり修復されました。修復どころか舗装されてきっと車で走ったら快適なはず。とはいえ、この林道は一般車通行止めで立派な道なのに行き交う車もありません。
いつもの取り付き点まで舗装道を歩きいよいよ小尾根に取り付いてからは緩急を繰り返す気持ちのよい登りとなります。ところどころ樹林が切れて笹尾根になると袈裟丸山や安蘇山塊が視界いっぱいに展開してなんとも爽快な気分です。木の間越しにはなりますが日光白根山も白く雪をかぶって見えます。
急な笹尾根を登り切るといよいよ期待のアカヤシオが現れました。
アカヤシオ動画
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アカヤシオの尾根:
笹尾根から樹林に変わるとたくさんのアカヤシオに包まれました。このあたりは密生というほどではなくどちらかというと赤城のあちこちの密生地に比べるとややおとなしい群落ですがそれはそれでなかなか風情豊かな咲き方ではあります。
1361m峰から左に分かれる尾根を下って先端部まで行くと展望が開けて見下ろす高楢川の谷には砂防ダムが見えます。この砂防ダムから入山してここの尾根の南側に横たわる長大な(これまた)アカヤシオの尾根を歩いたことが思い出されます。
黒檜山の東面一帯は全く人の入らない山域で今年このアカヤシオの開花を見るのは多分私たちだけだろなとの思いは野生の領域を選んで歩く山歩きの魅力そのものです。
アカヤシオの尾根 |
これでもかと咲くアカヤシオ |
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【便利帳】 |
トイレ:花見ヶ原
電波状況docomo:花見ヶ原良好。林道で一部通じます。尾根上は不通。 |
【寄り道】 |
花見ヶ原
トウゴクミツバツツジが満開でした。(2018年5月4日)
カフェ ねこの時計
上桐原交差点で福岡大橋(渡良瀬川)を渡ってから左折したり右折したりしながら適当に行き当てて下さい。
コーヒーとケーキで山行の締めくくりを。
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