【メモ】 |
松田湖キャンプ場から一気に稜線へ:
直登支尾根から松田湖
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コースはダム湖畔のまつだ湖キャンプ場奥の小沢をから始まります。キャンプ場から見上げるとこれから登ろうとする稜線をのし掛かるような角度で見上げることができます。見ただけでも急登が思いやられます。
2基の砂防堰堤を左側(右岸)から越えて小沢を渡って道が折り返すと古い作業道となります。途中だけ広い道で不思議ですがこれはこの道路を造成するときに小沢の沢筋を作業道代わりに使用する乱暴な工法の痕跡です。
作業道はほどなく造林地で終わりここからは急な登りで一気に高度を上げます。一応電光は切ってあるのですがほぼ直線登りです。コースはおおむね造林地の幼樹林と成樹林との境を登ります。
やっと傾斜が緩むと支尾根に飛び出します。ここにステンレス製の私製の道標があり、下山時にはとても役立ちます。
支尾根はなかばカヤトですが、これは山火事の跡がいまだに癒えないためです。その火事の影響が残ってなかなか樹林とならずそのため南東へ広い展望が得られます。松田湖を目の下に、中景には行道山、大坊山、大小山、三毳山など安蘇山塊前衛の山々がうねうねと続きさらにその先に関東平野が広がっています。
しかしこれが山火事の影響が残っているためだと思うとちょっと複雑な気分です。ちなみにこの山域では毎年のように山火事があり、山奥でもあることから消火に多大な負担を強いられている現状です。どうもハイカーの火の不始末ではないかと思える状況で残念です。この山域は雪も少なく乾ききっているのでせめて冬期だけでもたばこ、ガスコンロなど火気使用は厳に慎みたいものです。 |
稜線の展望ピークから仙人ヶ岳:
支尾根から主稜線(猪子峠への尾根)にたどり着くとそこは仙人ヶ岳一帯随一の大展望ポイントです。
季節風であいにく富士山は雲の中でしたが、足利市、佐野市、栃木市の安蘇山塊前衛の山々、筑波山、遠く大山や丹沢の山々まで届く大展望です。
展望ピークから見るスカイツリー
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もちろん東京のビル群やスカイツリーも牛久の大仏も見えます。
風が強いのでじっとしているとぐんぐん体温が下がってくる感じで、展望を楽しむのもそこそこに頂上へ急ぎました。
尾根道は所々露岩があって注意が必要ですがよく踏まれた道ですから足もはかどります。前夜の雪がうっすら道を覆っていましたが地面はからからに乾燥していますしさらさら雪ですから滑ることもありませんでした。
途中熊の分岐で岩切からの道を併せほどなく仙人が岳頂上です。仙人ヶ岳には緩やかな2つの高みがあって最初の高みはいわば前衛峰で三角点のある頂上は先になります。わざわざここは頂上ではないとの手製の案内板がありますので、ここで引き返してしまうハイカーもいたのかもしれません。
頂上は落葉樹に囲まれて展望はあまりありませんがかろうじて北側を樹間に眺めることができます。袈裟丸山が白く輝いていました。
時刻も遅いのでほかには1組のハイカーだけの静かな頂上でした。
ここで急いで腹ごしらえをしてから赤雪山へ向けて縦走開始です。
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小雪混じりの強風を突いて縦走尾根へ:
袈裟丸山
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先ほどの前衛の高みまで戻って左(北側)へ下る急な道が赤雪山への縦走路です。雪は滑らないのですがさらさらに乾ききった土が滑って少し難儀をしました。下りきると野山林道を示す手製の案内板があり踏み跡が別れていますが一般的ではありません。2回ほど逆方向(登り)で通ったことがありますがあまり踏まれていない道で、稜線を歩き尽くしたハイカー向きかもしれません。
縦走の最初のピークは急登を強いられます。直前で右に捲き道がありますが、ちょっと記憶にない捲き道だったので念のため尾根通しに登りました。なにもないピークで、おまけに下りが逆落としで雪があって少し緊張しました。降り立ったら捲き道が合流していてなんだか無駄に登った気分です。ただし知らないコースや記憶がなくなってしまったコースでは捲き道のつもりがあらぬ方向へ引き込まれたりすることもあるので尾根通しに登るのも保険のようなものだと負け惜しみ。
三角山はあまり目立ったポイントのない縦走路のなかでは一つの目安となるピークです。遠目でも三角の高みはよく目立ちます。
仙人ヶ岳からこのあたりまでおおむね(特に松田側が)檜植林地であまり楽しい景観もなく通過コースといったところです。 |
露岩の尾根道
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コース中程だけはきれいな落葉樹:
三角山から程なくして石祠のある小ピークに登り着きます。岩を登った先にちょこんと鎮座していますが古いものらしく彫りものなど解らなくなっています。
このあたりからきれいな落葉樹林となります。まだら雪の心地よい登山道です。日差しは柔らかですが相変わらず風は冷たく冷えで足が痙攣気味となり慌てて一枚アンダーパンツを重ねました。
いくつもアップダウウンをこなして行きますが、いくつかのピークでカクンと右に折れる箇所があってかつては迷いやすく桐生側の尾根に引き込まれたとのレポートを何人かの方にいただいたことがあります。しかし現在は要所にしっかりした道標があって間違える懸念は全くなくなりました。
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まだら雪の尾根道
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最後のだらだら登りで赤雪山へ:
やがて右手に少し開けた造林地見ますがここはエスケープルートとして造林作業道を利用できます。ただしここもすでに道形がはっきりしない部分もあってむしろ緊急時にも尾根通しに歩いた方が得策かもしれません。
このあたりから尾根はなだらかになり585m峰あたりからきれいな雑木林も少なくなり檜植林地が多くなります。
赤雪山は緩やかな双耳峰で登り着いたと思っても頂上は平坦尾根の先です。
頂上には東屋が建ち休憩には最適ですが、かつての展望は木々に邪魔されてあまり望めません。東南側のみ展望が開けて足利の山々や関東平野が見通せます。しかしかつては縦走した尾根を一望してよく歩いてきたなぁと感動できたのですが現在は植林された檜が大きくなって肝心の仙人ヶ岳さえ檜の隙間からかろうじて眺められる程度になってしまいました。
檜植林地がほとんどの赤雪山ですから展望がなくてはこの山の魅力も半減というところでしょうか。
下山路は電波反射板を通って長石林道か松田湖畔に出る東側のルートと直接松田湖畔に下る南側のルートがありますが効率の良い南ルートを一気に下りました。 |
赤雪山の山名など:
赤雪山の山名には戦で雪を赤く染めたという藤姓足利氏にまつわる言い伝えもありますが、あけき山が赤雪山になったというのが実際のところらしいです。(そもそもあけき山の語源はなんだ、とか聞かれると、知りませんけど。(^_^;
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途中案内標識に落書き風に「原仁田の頭」と記されていますが、これはかつてこのあたりの稜線近くに原仁田という集落があった名残のピーク名です。古い地形図を見るとこの集落が記述されています。実際、今でも林道奥に古い石垣が残っていますし、この先のエスケープルートの上流には自然の地形としては不自然な平地が藪に埋もれています。かつてのマンガン鉱跡などもあるのでそんな関係なのか、あるいはもっと古い山里なのか、何故こんな奥にと想像が膨らみます。 |