【メモ】 |
2010-10-11
茶の木畑峠から横引き尾根:
横引き尾根から富士山
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小沼から長七郎山の南をぐるり回り込む林道をたどり峠直前で戻るように右に折れるとその先がおとぎの森です。この道は直進すると長七郎山から南縁外輪山へと続く鞍部の峠に達しますが、その鞍部で道は終わります。かつてその先まで延ばそうとして峠を越えて工事がされていたことがありましたが結局は中断されてしまったようです。
道が折れてすぐに左にトラバース気味に山道が登って行きますが、これが今回たどる茶の木畑峠への道です。
ミヤコザサとミズナラの気分のよい斜面を登るとほどなく茶の木畑峠に達します。かつて悪戦苦闘の藪漕ぎをしたのはいったい何だったのかという思いにかられましたが、確かに茶の木畑峠から突然尾根道がはっきりした記憶があります。
ここから銚子の伽藍まで顕著な外輪山の地形で横引き尾根と呼ばれているようです。
大展望の尾根:
ミヤコザサが繁茂してはいますが一筋の道がはっきり尾根をたどっていますので迷うこともなく快適に歩けます。徐々にツツジが増えてミズナラの森から落葉灌木が優勢になって来ると地形も左側(南側)が断崖となり落ち着けない道に変わって油断が出来ません。
所々断崖上で展望が開けます。粕川など赤城山から南へ走るいくつかの沢に深く刻まれた地形が眼下に広がり、その先に赤城南麓の裾野とさらにその先には関東平野の広がりが視界いっぱいです。富士山、丹沢、秩父の山々など一望で、また平野の地平に目をやると東京のビル群やスカイツリーもはっきり見ることが出来ます。
さらに道は危なっかしい断崖上となり最後に銚子の伽藍の展望ピークで一旦行き止まりとなります。このあたりはツツジが多く、とりわけシロヤシオは巨木が目立ちます。他にもミツバツツジ、アカヤシオ、ヤマツツジなど開花期の賑やかさが想像できます。ぜひとも春に再訪しなければなりません。
銚子の伽藍全景
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銚子の伽藍:
一旦尾根を戻り銚子の伽藍を目指して尾根から離れます。以前はかなり急な下りでしたがどうやら道が北側に付け替えられたようです。以前よりなだらかな道となり安全になりました。
沢まで下り立って沢伝いにわずかに下ると銚子の伽藍の落ち口に達します。前日までの大雨で迫力ある流れが岩の隙間に吸い込まれるように流れ落ちていました。
しかし流路が曲がりくねっていてその全貌は見ることができず、流れ落ちるその先も木々や岩に阻まれて見通すことは出来ません。
外輪山を切り裂いて落ちていることは全体の景観から判りますが銚子の伽藍の核心はいったいどこを指すのかはよくわからないままでした。沢を詰めて下から見上げて初めてその迫力が解るのかも知れませんが、それは沢登りの範疇になりそうです。
ここから先に進むには沢を渡らなければなりません。前回はチョロチョロの沢でしたが降雨後とあってかなりの水量です。足を濡らしたくないと飛び石で渡れる地点を探しながら100mほど上流まで引きずられてしまいましたがなんとか渡ることができました。
山道ではないもののわずかな踏み跡が認められますので増水時に同じ地点で渡るハイカーがけっこういるようです。
予定ではおとぎの森に戻るつもりでいましたが道を探し当てることができずそのまま牛石峠まで登ってしまいました。この登りはけっこう標高差があって一汗かかされました。
ミズナラの森:
牛石峠からしばらく舗装道を歩いて右にミズナラの森に入って行く関東ふれあいの道をたどります。しばらくは舗装道に平行して平坦な道が続きやがて階段状の急な登りになると左手に血の池が現れます。
雨期には水をたたえることもありますが初秋ですから涸れて草原となっていました。
さらに急な階段を登りきると小沼の西側尾根に登り着きます。
大展望の長七郎山:
好天で展望も良さそうなのでついでに長七郎山まで登ってみました。
予想通り素晴らしい展望で、横引き尾根からは見えなかった山々が一望でした。
血の池 草原になっていることが多い |
2022-5-15,22
スタートはミヤコザサの尾根
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横引き尾根を端から端まで:
横引き尾根はつつじが峰〜小峰通り周回コースを歩くハイカー、小沼方面から銚子の伽藍へ向かうハイカーそれぞれに必ず通ることになりますが、平坦な笹尾根が続いて心安まる通過尾根です。春ともなれば尾根筋にはアカヤシオ、シロヤシオ、、ミツバツツジ、ヤマツツジ、オオカメノキなどが次々に咲いてまさしく花の尾根。
今回はそんな花を楽しみつつ、長七郎山の南の鞍部から前山を経由して横引き尾根を端から端まで歩いてみました。
遙か昔の話になりますが一度前山経由の尾根歩きをしたことがあります。コメツツジの密生する藪に難儀してこりごりした記憶があります。ここはやめといた方がいい、それ以来踏み込んだことがありません。(ちなみに茶の木畑峠の名前の由来は一帯に密生するコメツツジの姿が茶の木畑に見えるからという話もあります。)
ところが最近になって茶の木畑峠から見上げると見える範囲の印象ではありますがなんだか昔とは一変して藪もすっかり薄くなって落葉樹が茂っています。ひょっとしてコメツツジの密藪も退潮しているのではないか。
長七郎山南鞍部からはっきりした道跡を進んでそのままたぶん梨木方面に下るその道跡を見送って右に尾根伝いに登ります。この道跡は獣道などではなく明らかにかつてはしっかりした道だったようで梨木方面からの参拝道だったのかなと想像が膨らみます。一方尾根筋は短いミヤコザサが林床を埋めるさっぱりした落葉樹林で、時々昔の名残のコメツツジが現れますが藪に捕まって難儀するほどではありません。やはり樹林が茂ってコメツツジには適さない環境になったのでしょうか。 |
前山、茶の木畑山:
一直線に石積みが続く
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登るにつれ多少藪っぽくなって進路を邪魔されることもありますが藪としては薄い方でまずまず快調に最初の高みに登り着きました。ここは以前から「前山」と識っていましたがその通り山名板がかかっていました。さらに次の高みには「茶の木畑山」と記された山名板がありました。ちょっとこの山名は知りませんでしたし昔そんな呼び名を聞いたことはありませんでした。ともかくも山名板が掛かれば早晩その呼び名が定着するのはどこの無名峰でも同じです。
ここまでの尾根筋で不思議な石積みに気付きました。すでに半ば崩れてはいますが直線的に並んだ石の列はどう見てもかつての道跡と考えられます。その昔の赤城神社参拝道でしょうか。四方八方から参拝道が登ってきていた赤城山ですからそんな道の一つかもしれません。
2つの高みを越えると下りとなって踏み跡は明瞭になり程なく茶の木畑峠に降り立ちます。これまで静寂の尾根を歩いてきたところでいきなり賑やかな峠に飛び出して少し戸惑いました。皆さん多くはつつじが峰から登ってきたようです。
ここからは急な登降もなく横引き尾根をすたすたと快調に足を運んであっというまに銚子の伽藍手前の急下降点に到着です。
このあたりは例年アカヤシオ、ミツバツツジ、シロヤシオのつつじ類に彩られるのですが今年はどうやらはずれ年のようでさらに追い打ちをかけるような降雪、降霜があったせいでそもそもつぼみが極端に少ないように見受けられます。 |
はずれ年ながらなぜかこの1本だけ満開のトウゴクミツバツツジ
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飛び石で沢を遡る
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銚子の伽藍から沢沿いの道:
横引き尾根が尽きた地点から滑りやすい道を一気に急下降して銚子の伽藍の滝上に降り立ちここで一休みとしました。
恐る恐る滝を覗いてみても複雑な流路のため全貌は全く見えません。瀑声でその迫力を推し量るしかありません。
さて、ここからどのルートで戻ろうか。来た道を返すか、沢を渡って牛石峠へ登り関東ふれあいの道で小沼まで大回りするかあるいは沢に沿っておとぎの森に出るか。どうせならまだ通ったことのない沢沿いのルートを登ることにして左岸に続く踏み跡をたどりました。踏み跡は右岸にも左岸にもありいずれ合流しますが右岸をたどると飛び石で沢を渡らなくてはならないので迷わず左岸側のルートとしました。(一昨年日光赤岩滝でボッチャンとやらかしたトラウマのせいです。
(^_^; )
はじめこそはっきりしない怪しい踏み跡ですが沢から離れるとだんだん登山道らしくなります。それとともに傾斜もきつくなって一気におとぎの森の西端に登り着きます。途中、文字通り小滝という名の小滝があり滝を見下ろす地点からは谷全体の展望が開け赤城南面の山深さを実感できます。 |
大展望の長七郎山:
上州武尊山 至仏山
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これ以上はない好天なので展望を期待してついでに長七郎山にも登ってきました。好天過ぎて南側の遠望はイマイチでした。それでもうっすらスカイラインのみですが奥秩父、八ヶ岳、浅間山まで見通せました。南側とは一転、北側の展望はくっきりしてとりわけ上州武尊山が雄大でした。 |
オオルリ
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2022-6-4
飽きもせずまた同じコースで:
コバイケイソウ群落地
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今年春の後半は赤城山にどっぷりです。またまた飽きもせず横引き尾根から銚子の伽藍を歩いてきました。
前回銚子の伽藍の上で見つけたヒメシャガがちょうど開花してるんじゃないかな。
ツツジはほぼ終わっていてシロヤシオの咲き残りがいくつか見られただけでした。何カ所かあるコバイケイソウの大群落はまったくのはずれ年で1つの蕾さえ見られませんでした。コバイケイソウはあたりはずれが激しい植物ですからこんな年もあります。
銚子の伽藍への下降斜面にヒメシャガが開花していました。ところがお目当ての銚子の伽藍の上のヒメシャガはごっそり盗掘されていました。けっこう目立つところだったうえに大株だったので見事に咲いてしまってそれがよくなかったのかもしれません。東北では珍しくもないヒメシャガですが関東では貴重な植物なので残念です。 |
おとぎの森
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カモメランに出会う:
銚子の伽藍上流で数人のマダムグループに会いましたがどうやら道迷いの様でした。あらぬことか、長七郎山から小沼方面に行くつもりが正反対の方向に降りてきてしまったようです。そこで間違うんかい。(^_^;
ここからどのルートを取っても初心者コースとは言いがたいので結局案内することになりました。おとぎの森を見たいというのでそこまで案内して後はコースを教えて別れました。
そのまま帰るつもりでいましたが小沼湖畔で一休みしているとボランティアの方がカモメランの自生地に案内してくれるというので疲れてこれ以上歩きたくない体を押してついて行くことになりました。
これといって険しいわけじゃない普通の斜面に何株も自生していました。ちょっと自生場所には拍子抜けでした。花そのものもこんなもんなのかという印象ですが、花好きにとっては会えればうれしいランのようです。そういえば前回銚子の伽藍上流で会った青年はカモメランを探す目的の登山でしたし、今回もボランティア氏の入れ込みは相当なものでした。タジタジ。(^_^; 花好きにもいろいろあって私は群生して咲く景観などには大興奮ですが一方希少種に会えると大興奮という人たちも多いようです。 |
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【便利帳】 |
トイレ:ビジターセンター駐車場、小沼駐車場脇
小沼駐車場トイレ |
【寄り道】 |
はなぶさ有機農園スイーツキッチン:ブルーベリー園併設のカフェです。赤城道路を下って来て畜産試験場信号を左折(東方向)して約1km。テラスで風に吹かれながらいただくソフトクリームは絶品です。 |
【収穫】(^_^; |
2010-10-11 36片 350g
2022-5-15 37片 210g
2022-5-22 20片 120g |