2000−5−28
爽快な尾根道:
ほんのわずか登るといきなり爽快な稜線に出て、振り返れば魚沼地方の水田は田植えも終わり一面水をたたえて光っています。
雲さえなければここから振り返る浅草岳は雄大だと聞いていますが、残念ながらまったく見えませんでした。
でもいろいろな花が次々と現れて急な登りもあまり苦にはなりません。頂上が近づくとたくさんのタムシバの競演となり、展望はなくとも実に楽しい尾根です。
頂上手前の弥三郎清水、大岩からこんこんと湧き出す水のおいしいこと。
ガスと雨の中の頂上:
2時間ほどの登りで、あたりに残雪が多くなるとやがて頂上。
大展望のはずですが、次回に譲り、わずか尾根通しに下りたものの、雪も多く雨も本降りになってきたので引き返すことに。
頂上先にはイワウチワの群生があり、ちょうど満開。陽の光に輝く姿を見たかったとも思いますが、雨に濡れた可憐な花びらもまたかわいいものです。
このイワウチワとタムシバがこの山の大きな魅力です。
戸隠神社で休憩:
ずぶ濡れで下山すると戸隠神社で地元の方が手料理を用意して下山してくるハイカーを迎えてくれます。着替えを済ませ、タケノコ、蕗などの山菜や漬け物などたくさんいただきながらゆっくり遅めの昼食にしました。
2005−6−5
石段の参道
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午後には晴れるとの予報でしたが:
戸隠神社駐車場は山開きのためほぼ満車状態で地元の方が交通整理をしていました。駐車上周辺は公園として整備され、水芭蕉などが植えられています。鳥居をくぐると神社までいきなり石段です。
神社では地元の皆さんが集まってお祭りの準備に余念がありません。
神社をあとにして帰路の中越からの道を右に見送り、一気に尾根道を登ります。わずかに登ると、なるほど魚沼コシヒカリの生産地、田植えの終わった水田がキラキラ光って見下ろせます。あたりはヤマツツジが満開。
関越道の水上あたりでは晴れ上がりそうでしたが、トンネルを抜けると雨で、歩き始める頃までぽつぽつと落ちていました。頂上で晴れ上がり、大展望をものに出来ると期待してひたすら急登を我慢。タムシバやムラサキヤシオが慰めてくれます。振り返ると向かいの尾根には豪雪に磨かれたスラブが豪快な姿を見せています。すぐ麓は田園地帯という低山なのに、さすが豪雪地帯です。見上げれば標高に不釣り合いな豪快なスラブを落とす尾根、見下ろすとほんのすぐ下に田んぼがきらきらしていてまるで里山のようで、ちょっと関東あたりではあり得ない景観です。
きつい登路も合目標識が良い目安になります。途中の弥三郎清水は、なぜか前回の時より水量も少なくあまりきれいとはいえない状態でした。
時たま薄日は差すものの、遠望がきくほどの好天にはなりそうもありません。そんな天気のまま頂上へ。
頂上からは雄大な岳望が得られるという話ですが、あいにく上層は雲の中。越後三山も浅草岳も裾の広がりだけが見えて山体はほとんど厚い雲の中に隠れています。大展望は今回もまたお預けとなりました。
花の縦走路:
上権現堂山を目指して縦走路に入ると、足下にはイワウチワの可憐な花を見ることができます。イワウチワの群落は上権現堂山まで次々と現れます。
下権現堂山からは一旦大下りして、小さなアップダウンを繰り返し、中越を経て最後に大汗かかせられる登りをこなすと上権現堂山の静かな頂上となります。この縦走路はさながらタムシバの尾根。特に上権現堂山の登りにかかる残雪斜面では雪を跳ね上げて立ち上がったばかりの枝先に純白の花群をつけています。
縦走路では珍しい光景に出会いました。道脇の所々にゼンマイをはち切れそうに詰めた前掛けとも風呂敷とも似た独特な形の布袋がゴロンと置いてあるのです。沢から這い上がってきた荷の主とお話ししたら、それは想像通り、山菜採りの地元の方が沢に下りては採取して、いっぱいになると尾根に持ち上げて置いておくのです。きっちりヘルメットを被ったいでたちで、さすがその道のプロは身支度から違います。しかしあれだけの荷を降ろすのはさぞやたいへんでしょう。私たちにはゼンマイ採りは難しいですが、道々、コシアブラを摘んで昼食のときに茹でていただきました。美味。
上権現堂山が近づくといよいよ山深い印象の景色になって、残雪も豊富になります。周囲の林にはタムシバの他にもなんと今頃マンサクが満開で、マンサクは花が咲きながら若葉も出ている珍しい姿です。緑濃い麓と新緑の斜面と残雪の中の芽吹きの稜線が、なんとも嬉しい景観です。
ただ、この季節ですし、湿気の多い天候ですから稜線一帯にはブヨが多く何らかの対策をした方がいいようです。私は虫除け剤を腕や首筋に吹きかけましたが、まあまあ効果はあるようでした。地元のハイカーの中には虫除けのネットを被っている方もいました。
静かな上権現堂山:
上権現堂山頂上
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上り詰めた上権現堂山は小広い頂上で半ば雪に覆われていました。三角点と山名標の隣に鐘があります。
私たちはちょっとゆっくり目のスタートでしたから、今日最後の登頂者になったようです。1000mに満たない上に里も見下ろせるというのに、静かで山深い雰囲気の頂上です。
雪解けの進む残雪の周囲は雪を跳ね上げて立ち上がった木々が順に芽吹きを始めています。なんという生命力。
中越えからの下降路:
残雪の沢筋を歩く
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2つの権現堂山のちょうど中間に中越(なかごえ)と呼ばれる下降分岐があります。今は南に下降路が分岐しているだけですが、中越という名前からしてかつては峠だったのでしょうか。沢に向けて下山路が下りていますので帰路はこちらをとりました。ユキツバキの多い斜面です。戸隠神社周辺ではヤブツバキもありましたが、山中ではユキツバキが優勢です。花の開き方がヤブツバキは端正なおちょぼ口なのに対しユキツバキは大胆な咲き方というか、ちょっとだらしなく開けっぴろげに咲くようです。葉の輝きが少ないのも特徴です。
残雪が現れると道を失いますが、まっすぐ小沢に沿って行けば間違うこともありません。一カ所だけ右に分岐がありますがこれは直進します。下りきって小黒川の枝沢に下りると沢はすっかり残雪に埋もれて、雪の上を歩くことになります。踏み抜きに注意さえすれば却って歩きやすいので好都合です。
やがて雪も消えるとあとは沢沿いをひたすら下るだけ。このあたりまで来ると少々疲れも出てきますが、キクザキイチリンソウ、エンレイソウなども顔をみせてくれるので、それらの花を楽しみながらゆっくり下ることにします。
古いガイドや地図では沢伝いに道があるようになっていますが、実際には途中から登り返して神社の上に戻るようなコースが出来ています。沢沿いの道が危険なのかもしれません。
神社に戻ると、もうお祭りも終わって片付いていました。
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