目次
御霊櫃峠 ごれいびつとうげ  980m(西無名峰)

花に彩られた風衝帯の景観がさわやかな安積山塊の無名峰

なにやらいわくありそうな名前の峠ですがその由来は前九年の役まで歴史を遡るそうです。
ここは阿賀野川、会津盆地、猪苗代湖と駆け上がって来た気流が分水嶺で集中する峠ですからいつも強風が吹いて樹木が充分に育つことができず矮性樹と草原とで特異な景観を呈しています。
初夏にはタニウツギとヤマザクラに彩られ、東に安積の平野、西に猪苗代湖を見おろしながら散策する気分はなかなか楽しいものです。
そんな初夏の午後、前々から気に掛かっていた御霊櫃峠の西側にある980m峰に登って来ました。御霊櫃峠から大将旗山や額取山は何度か歩いたことがありますがその時に背後にヤマツツジの朱をまとった高みが気になっていたのです。
【日程】 2008年6月9日
【山域】 安積山塊
【地図】 1/25000山潟
【アクセス】 郡山南ICから(道は複雑ですが)県道の郡山長沼線を経由して長沼喜久田線に出て北進、逢瀬町多田野の先で案内に従って西に左折。高篠山森林公園を過ぎてすぐに御霊櫃林道へ左折。ヘアピンカーブの連続ですが途中民家前で右折する以外はわかりやすい一本道。
【駐車地】
峠に駐車場。20台くらい。
【コース】 御霊櫃峠−980m峰往復−風神雨神ピーク往復
 (全行程1.5時間程度)

     


         980m峰頂上 大将旗山を望む

               タニウツギ

         ヤマツツジ

【メモ】 タニウツギ満開:
登路途中から風神雨神、黒岩、大将旗山

御霊櫃林道はタニウツギが満開でした。鮮やかな濃いピンクの花はきれいでそれはみごとですが、この梅雨の初期の蒸し暑い時期なのでこれほどたくさん咲くと却って暑苦しい印象です。
峠には月曜日というのにドライブやハイキングを楽しみに来た車が数台停車していました。なんかヘンだなぁと思ったらかつてあった中継アンテナ舎が跡形もなく撤去されていました。
峠は風が心地よく、風衝帯特有の景観が広がっています。
大将旗山方向の尾根には何人かのハイカーが見えます。ハイカーは10人が10人みなさん大将旗山や額取山へ登るのでこれから目指す反対の尾根にはあまり人の入っている気配もありません。
峠から大将旗方向への尾根の最初のピーク(風神雨神の石祠がある頂上)は矮性のヤマツツジが点々と咲いているのが見えますし、反対のこれから目指す尾根にはタニウツギが斜面をピンクで被っています。

よく踏まれた登路:
歩き始めこそタニウツギなどの藪がうるさい道でしたがやがてイヌブナの林になるとよく踏まれた歩きやすい道になります。イヌブナはクロブナの別名の通りブナに比べて黒っぽい樹皮なので林全体が暗い感じがします。前をタヌキがのそのそ歩いていましたがこちらに気付き藪に消えました。
道は左斜面に回り込むように登って頂稜部に飛び出します。笹と草付きの明るい尾根からは猪苗代湖や三森山方面が大
頂上から猪苗代湖
きく展望でき、そこここにヤマツツジが群れ咲いています。あたりは平べったい石が重なっていて歩くとカラカラと乾いた音を立ててなにやらいい気分です。
どこが頂上かわからない平坦尾根ですが戻るように道が続いていてその先に標識らしきものが見えたので行ってみると標石とベンチがあり、どうやらそこが頂上のようです。しかし標識と見えたものは展望の方面を示しているだけでどうやらここは無名峰のようです。
近くにカメラ付きの気象計測装置があります。
心地よい風と展望とヤマツツジの花を楽しみながらしばし休憩してから往路を戻りました。

アズマギク咲く風神雨神ピーク:
峠まで戻ってから勢いで向いのピークまで登ってみました。大将旗山を目指すときの最初のピークです。頂上には風神と雨神の石祠が並んでいます。
地表はほとんどが折り重なった石と草付きですが、少ないながらも樹木も生育しています。それらは風のために匍匐していてヤマツツジなどは地を這いながら咲いています。
一帯はアズマギクの自生地ですのであたりを探しましたがすでに花期も過ぎているのか痛んだ花ばかりでした。しかし峠まで戻ってみると峠付近ではまだ元気な花があって、標高の逆転現象が見られました。風の影響なのかも知れません。
【便利帳】 トイレ:御霊櫃峠