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番外・飛駒の里を歩く ひこま

夏の終わりに飛駒の里をのんびりと

安蘇山塊の山懐深くぽっかりと小盆地が開け、そこに緑豊かな山村風景が広がっています。旧飛駒村です。上彦間村、飛駒村、田沼町合併を経て現在は佐野市となっていますが、風習や言葉などはどうも佐野市のそれとはかなり異なり独特のものがあるように感じられます。
現在の町名は飛駒町ですが流れる川は彦間川、南に隣接している地域は下彦間町です。ともに「ひこま」と読みます。
立秋も過ぎたというのに暑さは今が盛りという時期に毎年のように飛駒の里をぶらっと歩いています。飛駒にはいろいろみるべき歴史や民俗が多くありますが、どうもそのあたりのことは疎くて、やっぱり自然を楽しみに歩くことになってしまいます。暑さは変わりませんが、花たちは間違うことなく秋を迎えつつあって、キツネノカミソリがあちこちに群落を作って咲き誇っていました。

     バイカモの咲く湧水池 池のあちこちから湧いています       根本山神社里宮
【日程】 2012年8月18日
【山域】 安蘇
【天候】 曇り
【地図】 1/25000番場

【アクセス】 北関東道足利ICまたは佐野田沼ICより飛駒方面 
【駐車地】 湧水公園、根小屋森林公園、永台寺など
【コース】
【メモ】
飛駒湧水の里:
湧水の里・最初の湧水口
 

飛駒の町の手前、盆地が開けてすぐ彦間川を渡った先の左手に小さな案内板があります。案内板に従って左折すると300mほどで湧水の里につきます。柿田川などとは比べるべくもありませんが、小さいながら清冽な水があちこちに湧いていて湧水池を形作っています。池にはバイカモが満開でした。湧水を集めた小川は農業用水路に流れていきます。
取付道路脇の田圃は直接この湧水を導水していますが、水温が低いらしく取り込み口付近の稲は育ちが悪く穂もほとんど付いていませんでした。しかし数m離れるともう水温も上がるのか、しっかりした株になっています。山間のやや水温の低い水で育ったお米は美味しいと言われますが、この田圃もそんな稲かもしれません。
この湧水の下流で用水路が複雑に入り組んで設置されている様子を見ることができます。山間の盆地で高低がありますからすべての田圃にまんべんなく導水するのは高度な技術を要したに違いありません。立体的に分流、合流を複雑に繰り返しながら彦間川水系の清冽で豊富な水を飛駒盆地の隅々まで行き渡らせた先人の労苦を偲ぶのもまたこの飛駒散策のひとつの意味かもしれません。
根本山神社の立派な水盤
 

根小屋森林公園:
飛駒の中心地番場を通り過ぎて右手の根小屋森林公園へ。
キャンプ場、散策路、和紙会館などがあり家族向きのアウトドアエリアになっています。
この一角に根本山神社があります。根本山上にあるのが奥宮、ここが里宮ということになります。
現在ではひっそりとしていますがかつてはかなり盛ったらしく立派な水盤には関東一円の商人たちが寄進したことを示す銘が刻まれています。
公園内で地元のみなさんが打つお蕎麦が食べられますが、今回は昼食後なのでお蕎麦はパスして無人販売所でトマトを買って帰りました。この無人販売という売り方は日本ならではの売り方だなぁとつくづく安心な社会をうれしく思います。日本人の無防備を嘆く向きもありますが無防備で済む社会の方が断然いいに決まってます。(^_^)
この根小屋は要谷山周回の登山口でもあります。家族キャンプの折りに登るのにはちょうど良い手頃なコースです。

永台寺:
根小屋からさらに奥へと道をたどると永台寺があります。門前の立派な黒松がシンボルです。樹齢400年とのことです。境内にも樹齢400年と言われるコウヤマキがあります。寺の歴史を物語ります。
永台寺仁王門
石段を登ると大きな山門があり仁王様がどっかと構えています。風情ある境内ですが今回はパスして山門前の道を左手に歩いてみました。キツネノカミソリが満開です。わずかですがイワギボウシもちょうど花期にあたりポツリポツリと花を開いていました。
道脇に物置風の建物があります。鳥谷戸山車収納庫と看板が下がっていましたので飛駒八坂神社祭りに巡航する山車を保管している小屋のようです。今年は7月22日に2台の山車が曳かれたということです。町内には6基の山車があるそうですが山深い地区のこと、例によって高齢化で曳き手が少なくて毎年2,3台を出す程度になっているようです。外部から募集しようにも山車の整備からというとなかなか難しいようです。。

キツネノカミソリ群生地:
帰り道、キツネノカミソリ群生地に寄りました。
キツネノカミソリに飾られた野仏
湧水公園の南左手(帰り道方向で左ですから、飛駒に向かっては右側になります。)山際に大規模な群落があります。
薄暗い山際ですがちょうど満開でパッとあたりを明るくしていました。群落の尽きるところに2体の野仏があって花に囲まれてなかなかの風情でした。
この安蘇山塊一帯ではあちこちで見ることができますが、暑い盛りでもあり開花してもあまり話題にもなりません。
カタクリやアズマイチゲと一緒に群落を作ることが多いので、逆に考えると春にここでカタクリやアズマイチゲを探してみる楽しみもありそうです。
     キツネノカミソリ群落

飛駒の花(写真クリックで拡大

  バイカモ/湧水の里

 イワギボウシ/永台寺付近

キツネノカミソリ/永台寺付近

 キツネノカミソリ/群生地
【便利帳】  トイレ:根小屋森林公園
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