【アクセス】 |
田沼(佐野市)からなら田沼桐生線、足利からなら須花トンネル経由で飛駒へ入り、番場で梅田(桐生)への道を左に、蓬山への道を右に分け直進すると右に根古屋森林公園、左に永台寺へと分かれるY字路があり、そこを永台寺方向へ。
永台寺を過ぎさらに直進して黒沢集落を抜け最奥人家の先で西沢、東沢に別れるので左折して西沢林道へ。
あまり奥まで入り込まないうちに駐車可能な場所を探した方が無難です。
今回は林道に入って600mほど先の丸笠橋手前に駐車。 |
【駐車地】 |
丸笠橋手前に1台分空き地。写真は丸笠橋先から振り返った方向。
この先にも何カ所か駐車できる場所はありますが谷側路肩が危うい箇所が多く深入りは禁物です。
丸笠橋からの林道歩きは約1時間ほどです。 |
【コース】 |
丸笠橋 - 林道跡終点 - 根本神社参道跡
- 林道横断 - 丸岩岳 - 988峰 - 野峰
- 下山尾根分岐 - 林道跡終点 - 丸笠橋
全行程 7.5時間 ベテラン向き |
【メモ】 |
カモシカ
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荒れた林道:
林道入り口にはこの先行き止まりとかUターンができないなど警告が書かれた看板があってスタートから不安な気持ちになります。実際、路面にはスギの枝葉が積もっていてそれが車の底腹に何度もぶつかる音を立ててあまり深入りはできないことにいやでも気付きます。
林道に入って600mほどの丸笠橋手前に駐車してそこから先は林道を歩くことにしました。
歩き始めてすぐ大きな砂防堰堤がありその先の大岩の上には山神様の石祠があります。この道がかつて根本山への参拝道であったことがわかります。
しばらくは林道を坦々と歩きます。途中杉林の中にミツマタがたくさん咲いていました。本来、中国やヒマラヤの原産だそうですが野生化したものもあるということです。あるいはかつてこの山中で栽培したことがある名残なのでしょうか。
写真を撮ろうとしたらなんとそのミツマタ群生の中にカモシカがいてじっとこちらを眺めていました。
しばらくカモシカが退散するのを待ちましたがどうやら動く気配もないので前を素通りしましたが、至近になっても逃げる風もありませんでした。
車道(跡)と黒沢はずっと並行していますので道からは小滝や小さなナメを連ねたきれいな沢がすぐ足下に流れてなかなか楽しい道です。 |
行者の滝
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黒沢大滝
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黒沢の遡行:
林道歩きは1時間ほどで林道終点にかかる丸木橋で終わります。
2本の丸太を掛けた危なっかしい橋を渡って右岸に移り、そこから登山道は沢筋をたどります。
最初こそはっきりした道型がありますがそのうち沢中に消えたり、また現れたりしながら徐々に難しいルートファインディングを要するようになります。
道が沢に消えるとしばらく沢身を歩くことになりますが、悪戦苦闘してひょいと上を見るといつの間にか歩道が並行していたり、あるいは滝に阻まれて高巻きすると反対側の斜面にしっかり道があったりということが続いて、結局道跡をいかにつなげるかで歩行時間も大幅に変わってしまいそうです。道を失うとついつい沢身を歩きがちになりますが、かつての参拝道ですからよく探せばすぐに道跡があるはずです。
コース中3カ所ほど困難な箇所があります。
まず最初に現れてくる難所は左右が岩で淵になっている箇所で、右岸を丸太で橋渡ししてあるのですが腐食してとても使える状態ではなく反対の左岸に渡って斜面を高巻きしました。
次は10m3段の滝(黒沢大滝)に阻まれ、右岸の小尾根を大登りしました。ここは左にしっかりした道が電光を切って付けられていますが植林地内なので作業道と勘違いして躊躇しました。
最後の難所は丁目石の先のザレたトラバースの通過です。膝まで没する落ち葉の下は崩れそうな危うい小砂利の斜面でした。
その丁目石というのは「1り十一丁目」と彫られているもので側面には「金屋重兵ヱ」、反対側面に「野州足利新中町」と彫られてあります。足利新中町というのが現在のどこなのかわかりませんが、たぶん現在の足利中心部かと思われます。というのは現在の市街地西側がもともとの足利の中心地本町で時代とともに中心が東に移ってきた経緯があり新中町という名称から考えると本町の東側、つまり当時の新興地域だったことが想像できます。
それはともかくとして、足利からこんな山奥にまで丁目石を寄進したとは、かつての根本山の隆盛を思わないわけにはいきません。 |
丁目石 |
彦間川最初の1滴 |
丁目石の先のザレを苦労して通過するとやや荒れた沢となり、ここで気が緩んで腐った倒木や不安定な岩に足を取られ2度ほど転倒しました。
しかし、ここから先はすっかり優しい沢となり、積もった落ち葉やイヌブナなどの巨木が素晴らしい景観を造っています。苦労した者だけが見ることのできる別天地です。これまで左岸が落葉樹林、右岸がヒノキ、スギの植林地で、この色分けがずっと続いてきましたがここからは右も左も美しい落葉樹の疎林です。
傾斜がやや急になり涸れ沢になったあたりで岩の下から湧き水が出ていて、これが彦間川の最初の1滴です。大雨の時はさらに上から流れるでしょうが通常の天候ならばここが彦間川の最上流ということになります。 |
心和む源流部 |
丸岩岳:
やがてスギの巨木の元に不動様の石像を見ると稜線は間近です。
道型が沢の源頭へ直登せずに右に逸れていたのでそちらに登りましたが、最後は鹿道をたどることになりすぐに林道に飛び出しました。随分乱暴な工事だったらしく、そのとき沢へ大量の伐採樹木を投げ捨てた名残が累々と折り重なっています。
林道は造成後使った気配もあまりなく雑草に覆われています。
林道を渡ってすぐ稜線の歩道があり、これは丸岩岳から奈良部山へと通じています。
野峰へ向かうか細い道
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左へ丸岩岳方面にわずかに進むと石祠があります。かつて歩いたときには沢からこの地点に登り着いたので、ここが彦間川から稜線へ登り着くルートだったわけで、今回はやや南にルートを外したことになります。
石祠から丸岩岳方向へ登ると右に巻き道が分かれます。かつての参拝道は根本山参拝だけが目的なので無駄にピークを踏むようなことはぜずこの先もおおむね水平道で根本山へ向かっています。熊鷹山も十二山もピークを踏むことはありません。
巻き道を分けてしばらく登るとなだらかな丸岩岳頂上です。
ミヤコザサに覆われてミズナラの大木が疎らな静かで何もない頂上です。樹間に熊鷹山や根本山が望めます。
右手へ延びる道は熊鷹山方面です。夫婦連れのハイカーに会いましたが根本沢から根本山、熊鷹山と繋いで丸岩岳までやって来たそうです。
左手へは野峰へ通じるか細い道がミヤコザサの中を延びています。行く手にかなりの距離を置いて野峰のドーム型の頂上が樹間に見えますが途中の縦走尾根は一旦高度を下げていて最後の登りが思いやられます。 |
園地のような尾根
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美しい縦走尾根を野峰へ:
頂上からぐんぐん下がってすぐに林道を横断します。横断点は特にハイカーのことを考慮していませんので法面を下りることになります。
林道を横断していよいよ野峰への縦走です。おおむね幅広でなだらかな尾根で、丈の低いミヤコザサに覆われているか、あるいはきれいさっぱり下草のない落葉樹林かでまるで手入れされた園地のようです。スタスタと足もはかどります。
アカヤシオはちょうど花期ですが、どうやらハズレ年らしく花付きは芳しくありません。
途中、左手遙か先に飛駒の里が見えたり、右手直下に石鴨あたりの集落が見えたりもしますが、ほとんどは展望のきかない樹林です。ただし道はしっかりしていて樹林も藪ではなく疎林でどこを歩いてもかまわないような楽しい尾根です。
地形図を頼りに帰路の下山尾根分岐を確認しておいてから、最後の野峰の登りにかかります。地形図から見る印象と違って疲労の出てきた脚にはけっこうきつい登りです。
登り着いた野峰は植林地のさえない頂上で、いつもながらがっかりです。(南側の皆沢から登って来ても頂上手前の素晴らしい景観からこの頂上へ登り着いてがっかりします。)
現在は周囲の景観と頂上の景観との落差がこんなにもあるのですが、昔は灌木の展望峰で周囲が名前の通りの笹帯や草地でそれは素晴らしい景観でした。現在も野峰周辺の笹帯を歩くと当時を思い起こさせてくれます。 |
花も疎らなアカヤシオ
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下山尾根:
野峰から縦走尾根を戻り地形図の破線をたどって黒沢へ下ることにします。
分岐点はマーカーがあるのですぐにそれとわかります。最初こそ踏み跡は見当たりませんがマーカーを頼りに下り始めるとすぐに踏み跡が現れます。所々踏み跡が消えますが尾根を外しさえしなければ迷うこともありません。尾根が緩くてはっきりしない場所ではだいたい左がヒノキ植林地、右が落葉樹林ですからその林相境界を歩けば間違えることはありません。
途中岩場のやせ尾根もありますが巻いたり直登したりして難なく通過できます。
ぐんぐん高度を落として最後に沢筋に下降します。地形図では破線が尾根を外れますが薄い作業道跡と区別がつかずそれらしいはっきりした道は見当たりませんでした。
そのまま尾根を下るとあまり顕著ではありませんが小尾根が二手に分かれます。右の尾根は植林地に手が入っていますので作業道があるだろうと思ってそちらに下りました。(左の小尾根の方が尾根としてはっきりしています。)
最後は残存する間伐材を踏み越えながら押し下って行ったら見覚えのある林道跡終点の丸木橋に下り立ちました。 |
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【収穫】(^_^; |
17片 80g |
【謝謝】 |
滝の名称などは
桐生山野研究会「根本山飛駒口」
http://akanekopn.web.fc2.com/yama/sanyaken/sanyaken74.html
を参考にさせていただきました。 |