【メモ】 |
参道は確かにありました:
臼抜神社 女陰像と男根像
|
確かに参道はありました。
なかば消失してはいますが、それでもしっかり残っている部分もあって道幅も広く所々ヒノキの並木などもありやはり作業道とは明らかに違って風格があります。
ハイカーが展望を楽しんだりするのとは違って氷室山に行くためだけの参道ですから尾根通しというより徹底してピークを巻いていきます。
とはいえ、やせ尾根では尾根通しですし、半分以上は道形も消えていたので歩くとなると丁寧にピークを踏まなければならないことが多く、最後に氷室山山頂の神社にたどり着いたときには完全に消耗してしまいました。
参道の始点は里宮:
氷室山神社は今も社務所を持つ立派な神社です。氷室村の村社を示す門柱が立っています。狛犬、石鳥居などもちゃんと現役です。
石段を登って今日の安全をお願いして、本殿の左に回り込むとしっかりした道が登っていきます。どうやらウッディランドから周回するトリムコースの様です。
すぐにまた神社が見えますが、額に臼抜神社と掲げられています。中に木製の女陰像と男根像が仲良く並んで祀られてあります。立派な女陰像にくらべ添え物みたいな男根像がちょっと情けないのがご愛敬。(^_^;
トリムコースと分かれると山道となりますが、その先の氷室山神社奥の院までは急ですがよく踏まれた道が続きます。最初のピークが氷室山神社奥の院。ここが奥の院ということは山頂にある氷室山神社は何なのかちょっと疑問です。
とぎれとぎれの参道:
東蓬莱山
|
奥の院の裏側からさらに尾根道が続きますが、次の513mピークから巻き道になります。作業道や尾根道と交錯するのでわかりにくい部分もありますが、道幅で判断できます。また分岐が多いようですとそれは作業道です。
できれば参道を通してたどりたいのですが植林地や藪の中に消えてしまう箇所が多く、あやふやになったら尾根に戻って仕方なしピークを踏むしかありません。
造成中の林道が現れるとその先で668mピークまで大登りとなります。
基本的には参道は尾根の右側つまり氷室村側にあると思って間違いないのですがこのピークは左側に作業道が巻いていたのでこちらをとりました。
この先山頂まで参道はほぼ右斜面になります。(一部左斜面を通る部分もあります。)
再度参道がはっきりしてきたのでまた参道をたどりましたが、送電鉄塔が尾根上に現れたので尾根に戻って小休止しました。この送電鉄塔からは巡視道が参道と重なっていますが、そのままたどると秋山方向へ下山してしまうようです。ここで参道跡を失ってやむなくまた尾根道に戻りましたが、すぐに東蓬莱山の807.2m三角点に達しました。東蓬莱山は樹林に被われてあまり特徴もないただの通過点のような平坦な山頂ですが
伐採地より尾出山と石裂山
|
、三角点と直前の送電鉄塔とが自分に位置を確認するよい目安となります。
ちなみに大戸川筋に蓬莱山神社がありその一帯を蓬莱山と呼んでいて、その東尾根のピークで東蓬莱山ということのようです。
東蓬莱山からしばらくは樹間に尾出山や横根山を見ながらの平坦尾根ですが、ここでなんとハイカーにバッタリ。単独行の女性で、こんな尾根を歩くハイカーが他にもいたのかとびっくりです。もっとも相手もびっくりしていましたが。田沼側から巡視道を利用して登ってきたということでした。
東蓬莱山の先で尾根は方向を北に変え、参道が消えたり現れたりしながら小さな登降を繰り返し徐々に標高を上げていきます。おおむね右の葛生秋山側はヒノキ植林地、左の田沼作原側は自然林となっています。右手に鹿の柵が現れてヒノキ幼樹の植林地になると尾出山から高原山にかけての展望が一気に広がり、その先856mピークあたりまで伐採地が断続していて東側の展望を楽しみながら歩くことができます。ただしこのあたりでは小さな登降の繰り返しなので自分の位置が判断できません。またこの一帯は熊の糞が多く、たまらず熊鈴を引っ張り出しました。
856mピーク付近は紅葉のきれいなやせ尾根で、これまで凡庸な尾根が続いてきたのとは対照的にいかにも安
平坦な山頂・陣ノ手
|
蘇の山らしい雰囲気が濃厚になってきます。856mピーク先の鞍部では前方に猿の群れらしきざわめきが聞こえたのでしばらくやり過ごそうと待ちましたが、なかなか去ってくれず、大声を出してやっと退散して貰いました。
陣ノ手:
952.4mピークでは参道は左側を大きく巻いていきます。どうやら陣ノ手と言われるピークではないかと思い尾根に出てから登り返してみました。私の持参した地形図では標高点となっていますが、実際は三角点でした。位置がはっきり確認できるよいポイントとなります。里宮からここまで約3時間半を要しました。
陣ノ手を越えると自然林の林床をミヤコザサが埋める景観とすっかり落ち葉に埋め尽くされたきれいな自然林の斜面の景観とが交互に現れ、安蘇の山の良さをじっくり味わえます。
標高1000mあたりで石祠に出会いますが、臼抜神社だそうです。麓の臼抜神社の奥の院というわけでしょうか。
この臼抜神社先は平坦尾根が分岐しますのでちょっと迷いやすく、右に進路が折れるところを直進してしまいました。1030m峰が右手上方に見えますので間違いに気付きましたが、ここが全コース中で唯一間違いやすい箇所かと思います。
越路館平:
臼抜神社からも美しい尾根が続きますが、行く手の尾根の標高差があって疲れの出てきた足にはけっこう厳しい登りとなります。
方向を北進に変えてミヤコザサの平坦尾根とな
越路館平
|
るとそこは越路館平(「こしじたて」と読むのでしょうか。ちなみに宮城県に同名の館があり、そちらは「こしじたて」と読むようです。)です。明らかに人工による平地ですがその経緯はわかりません。いまはその平地にもヒノキの植林がされていてすっかり忘れられた存在です。
尾根全体が平地ですので凹地の水たまりが動物たちのよい水飲み場となっているらしくたくさんの鹿の足跡が集まってきていました。コース前半の標高の低いあたりでは熊の糞が目立ちましたが、陣ノ手あたりから先は鹿の糞も多くなってきました。
氷室山の神域へ:
越路館平を過ぎるとほどなく三滝方面からの登山道を左から迎えます。大戸川上流の越路館沢からのコースです。
ここで単独行ハイカーと会いましたが、林道大荷場木浦原線の峠からやって来たというのでこれ幸いと図々しく帰りの同乗をお願いして、それから宝生山、氷室山、林道峠と同行しました。
越路館沢からのコースとの合流点からはまた一登りします。石祠がいくつもあり、またヒノキ並木の跡も認められ氷室山神社が近いことを示しています。このヒノキ並木はこれまでもところどころで現れましたがみな同じような樹齢でした。きっと一時期に植えたもののようです。
道が平坦になると宝生山の分岐です。ここから根本山、熊鷹山方面へは尾根続きの平坦コースが続いています。(これも旧参道らしくピークを踏むことなくほぼ水平道になっています。)またこの分岐からは群馬県側の黒坂石方向への道も下っています。
宝生山を往復してからいよいよ氷室山神社、やっとの思いで参道全コース踏破です。
氷室山神社は西に山頂を背負って氷室村を向いて鎮座しています。あまり大きくはない石祠です。境内の広さ、石組や石鳥居の立派さ、灯籠の間隔などに比べちょっと不釣り合いで、私は前々から違和感を持っていました。しかし、それもそのはず、里宮の本殿は元々はここにあったもので、里に移したそうです。(下山後、地元の方に教えていただいて、なるほどと納得がいきました。)
下山路の自然林
|
峠までの道も美しい自然林:
神社裏の頂上を踏んで(個人でつけた山名板が2箇所のピークにあって、神社裏を氷室山とみたのか、最高峰を氷室山とみたのか、ということですが、そもそも氷室山は氷室山神社一帯と考えるのが妥当のような気もしますので、どっちでも構わないのかもしれません。)、そのまま尾根通しに踏み跡をたどり、本来のコースの巻き道に出ました。このコースは林道大荷場木浦原線の峠からやってくるもので氷室山に達するには最も手軽なコースになっています。
途中椀名条山への道を分けて、あとはなだらかな道を峠までたどるだけです。この道は南向き斜面を巻きながら美しい自然林の中を通じているためロングコースの最後を締めくくるのにふさわしい景観です。南向き斜面のためか紅葉はまだまだでした。
|