樋曽山 ひそやま 296.7m
花に包まれて新潟の低山歩き
樋曽山は地元でとても大切にしている山です。春一番に雪割草が咲きカタクリが林床を一面に覆ってさながら花の園です。
しかし、標高も低く簡単に登れるため盗掘やハイカーの踏みつけなどで群落が縮小しているようで、そのため地元としてはあまりハイカーが入山するのを歓迎してはいないようです。弊サイトでもそのあたりの事情を考慮してこれまでマップなどは載せていませんでした。
ただ、最近Webサイト上の紹介記事も多くなり、またハイカー向けのお手軽ツァーも押し寄せているようでもう秘密のコースではなくなっています。ですから今回他の山行報告と同じ扱いとしました。
樋曽山がいつまでも花の山でいられるように山行に際してはストック、スパイク付き長靴などの使用は是非とも控えるとともにコース外踏み込みは絶対やめたいものです。
関連ページ
角田山桜尾根 http://www.kimurass.co.jp/kakudasakura.htm
角田山五ヶ峠 http://www.kimurass.co.jp/kakuda.htm
角田山バリエーション http://www.kimurass.co.jp/kakudavari.htm
角田山小浜コース http://www.kimurass.co.jp/kakudakohama.htm
樋曽山写真 http://www.kimurass.co.jp/hisoyama.html
カタクリ群落福井山北斜面より遠く飯豊山を望む
【日程】 2012年4月21日 【山域】 新潟 【天候】 快晴 【地図】 1/25000弥彦、角田山
【アクセス】 巻潟東ICを直進で出て、ずっと道なりに。途中西蒲警察署前を通りますので目安になります。
山塊が近づいて鷲ノ木で右手に長谷川酒店がある交差点を岩室温泉方向に左折、放水路を渡った先の栄交差点を右折して樋曽集落を通り過ぎると山に入ります。
間瀬峠で左折して弥彦スカイラインに入ってすぐ左右に駐車場。【駐車地】
数台駐車可。
【コース】
間瀬峠駐車場 - 尾根 - 樋曽山
- 福井山 - 五ヶ峠上ピーク(往復)
全行程 5時間(かなりゆっくり)
初心者向き ただし標識は一切ありません
【メモ】
遅い春:
この冬の異常な寒さの影響から花の開花時期が定まりません。例年4月始めには雪割草の満開を楽しめるのにいつになっても開花情報が届きません。しびれを切らすように今年も新潟の山に出かけました。
雪割草の咲く新潟の日本海沿いの山々のうちで角田山が人気ですが、あの大混雑には閉口します。以前ならバリエーションルートを歩いて静かに花を楽しむことも出来ましたが、最近はオーバーユースのため花々が痛んでしまった情報を聞くにつけ、角田山はそっとしておきたいと願うようになってバリエーションルートは遠慮しています。
そこで今年はお隣の樋曽山再訪にしました。樋曽山も状況は同じことなのですが、多少ともまだ入山者も少ないので1グループ増えるくらいは許容してもらえるかなと思っての計画です。
4月下旬というのに関越トンネルを越えた湯沢、石打、六日町あたりはまだ田んぼも雪で埋もれていました。寒さも降雪量も異常な冬だったことがわかります。それでも長岡まで来るともう田仕事も始まって春もそろそろ本番です。樋曽山麓の樋曽では桜も開花し始めていました。
いきなり急登から:
気分の良い雑木尾根
登山ルートは駐車場から峠の自動車道を渡って向かいの斜面に取り付きます。たくさんのスミレ、イカリソウが咲いていよいよ花の山に入るぞと期待を膨らませ登り始めましたが、いきなりの急登、折からの暖かさでのっけから大汗を絞られました。しかし、その急登も長くは続かず尾根に出るとチョウジザクラ、タムシバ、スミレ、カタクリの咲く気分の良い雑木の尾根道になります。ぽつぽつユキワリソウも顔を見せてくれました。
再度やや長く続く急登を頑張ると最初のピーク、ここからは登ったり下ったりの尾根が続きます。
カタクリ、カタクリ:
とにかくカタクリの多さにはびっくりです。至る所に群落を作っていて、はじめこそわぁきれいと喜んでいましたがそのうちカタクリには厭きてしまってほかの花ばかりを探してしまうようになりました。
カタクリの他の花と言えば、お目当てのユキワリソウ(オオミスミソウ)もちょっと最盛期は過ぎたとはいえまだまだ目を楽しませてくれました。キクザキイチリンソウ、コシノカンアオイ、ナガハシスミレ、スミレサイシン、マキノスミレなどなど次から次でした。珍しいところではコシノコバイモや白花のカタクリを見つけて大騒ぎになりました。花好きの山歩きはさっぱり足がはかどりません。
頂上はどこだ:
コース上に標識が一切ありませんのでいったいどこが樋曽山なのかわかりません。事前にネットを巡ってみてももどうも釈然とせず、とりあえず私たちの勝手な判断で296.7mを樋曽山と解釈してみました。どうやらもう一つ福井山というピークがあるらしいので、233mを福井山と解釈したのですが五ヶ峠からほどない235.0mかもしれません。ご存じの方のご教授をお願いしたいところです。
粟ヶ岳
233mピークの先からは雄大な景観を得られます。まず目を引くのが越後平野の向こうに構える粟ヶ岳、さすが越後の代表選手です。左に目をやれば真っ白な飯豊連邦、右に目をやれば守門岳が輝いています。いずれも前景は広々とした越後平野です。どの山もどっしりと雄大でまだまだ真っ白に雪を被っています。豪雪地帯の山は迫力が違います。
このまま花*花*花の尾根をたどって五ヶ峠手前のピークまで足を延ばして、帰りは往路をそのまま戻りました。低山といえ、小さく登降を繰り返すのでけっこう疲れてしまいました。
樋曽隧道、角海浜、巻原発:
福井山付近から足下の平野を見下ろすと一直線に放水路がこの山塊目指して流れています。大通川放水路です。
このあたりの水田の標高は6~7mほどで、かつ海岸に沿って国上山、弥彦山、樋曽山、角田山と続く丘陵が走っていますから越後平野に流れてきた信濃川水系の水が海に出るまでは傾斜の限りなくゼロに近い平野を新潟市まで流れていかねばならず排水はなかなかたいへんです。そこで樋曽山を貫く放水路がいくつか造られました。
樋曽山だけで3本の隧道が貫いています。どれほど困難な土木工事だったでしょう。そのおかげで越後平野が水浸しを免れているというわけです。
地形図を見るとその樋曽隧道の放水口付近に角海浜という地名があります。地名はありますがすでに集落はありません。「すでにない」と言うことは「かつてあった」と言うことです。角海浜はあの有名な越後の毒消しの本拠だった村で、きっと私の記憶の中の毒消し売りのお姉さんもここからはるばるやってきたのでしょう。そのため相当に豊かな村であったようです。
ところが海岸の浸食で村そのものが消えてなくなったそうで、住民は内陸に移住したようです。
そして時代は移りここ角海浜は巻原発の予定地として注目を浴びることになりました。巻町の原発を巡る闘いは記憶に残っていますが、住民はNOの意志を示して巻原発は着工することなく消えました。裕福な町であったことと無縁ではない気がしますが、今にして思えば賢明で先進的な住民だったことが証明されたわけです。
ユキワリソウ:
本来ユキワリソウという和名はサクラソウの仲間で、ここで取り上げたユキワリソウとは全く違います。
ユキワリソウ
ここで取り上げたユキワリソウは和名としてはオオミスミソウですが、しかしこのユキワリソウという俗名が一般的になっていますのでこのページではユキワリソウとしました。
日本海に沿った丘陵地で雪解けとともに真っ先に咲く姿はまさしく雪割草ですね。
樋曽山花図鑑 写真をクリックすると拡大します 花の名前は?付きですm(_ _)m
チョウジザクラ
イカリソウ
カタクリ
カタクリ白花
キクザキイチリンソウ
コシノカンアオイ
コシノコバイモ
マキノスミレ
ナガハシスミレ
スミレサイシン
セリバオウレン
タムシバ
ユキワリソウ薄青
ユキワリソウ青
ユキワリソウ白
【収穫】(^_^; 22片 130g