大将旗山 額取山 たいしょうはたやま 1056.29m ひたいとりやま 1008.6m
郡山西方に連なる安積山地の盟主2座を結んで
郡山の西に標高1000mほどの山々が連なっています。安積(あさか)山地です。
那須と安達太良山、磐梯山の間には目立った山が見当たらず登山対象について言えば空白帯のように思えるかもしれませんが、親しんでみるとけっこう楽しい山があってとりわけ安積山地の大将旗山、額取山は地元では人気の山でハイカーでにぎわっています。
これらの山の魅力は何よりその眺望です。那須、猪苗代湖、磐梯山、安達太良山、吾妻連峰、飯豊山、阿武隈山地など福島を取り巻く山々が一望です。さらには遠く蒜場山など新潟の山々まで届く大展望です。
また阿賀野川、猪苗代湖を駆け上ってきた風の通り道ですので一帯が風衝帯の草原となっていてアズマギクや矮性のヤマツツジが地にへばり付くように咲いて花期には楽しめます。
額取山頂上
大将旗山から飯豊連峰、猫魔ヶ岳、磐梯山、猪苗代湖
【日程】 2016年5月21日 【山域】 安積山地 【天候】 晴
【アクセス】
東北道郡山南ICが最寄りのICですがここからの経路はちょっと複雑です。
ICから県道47に出て(右折)さらに県道29(途中ショートカットで近道できます。)に出て北へ走ります。県道6号と交差したらその少し先で左折してごれいびつ荘方面へ。県道6で左折しないように注意が必要です。
ごれいびつ荘前で道が蛇行しますが道なりに走りその先で左折して御霊櫃峠まで。
途中人家の前で戻るように右に折れますがあとはほぼ1本道です。【駐車地】
御霊櫃峠 10台以上
【コース】
御霊櫃峠駐車場 - 黒岩山 - 大将旗山
- 額取山(往復)
全行程 4時間 一般向き
【メモ】
風の道:
ヤマツツジの登路
つづら折りの林道を走って御霊櫃峠に着くとそこは灌木と草原の風衝帯で標高880mとは思えないような景観が広がっています。四季を通じて吹く強風で樹木が育たずに風衝帯特有の植生が見られます。
それもそのはず、1000m前後の連山といえども歴とした脊梁の分水嶺です。額取山の前衛峰までは左手が日本海側、右手が太平洋側となっていてこの尾根を分け目にしてそれぞれに降った雨は遠く分かれていくことになります。
地図上でこの分水嶺をたどってみると額取山前衛峰で左に折れ中山峠、天狗角力取山を経て安達太良山をかすめ吾妻山まで複雑に走っています。つまり福島中通りと会津を分ける尾根が分水嶺で猪苗代湖や裏磐梯、会津盆地などは日本海側ということになります。
御霊櫃峠から登りはじめるとまず目につくのはヤマツツジです。地に張り付くように枝を這わしています。どういうわけかここのヤマツツジは色が濃く真紅の花弁をびっしりと付けています。眼が痛くなるほどの色です。ただ、時期が早かったのか開花にはもう少し時間がかかりそうな株がほとんどで開花しているのは2,3割というところです。
芝草の生えた斜面にはアズマギクの薄紫のかわいい花が咲いていてちょうど開花時期の瑞々しいデイジーのような花を楽しめました。
石を敷き詰めた歩きにくい歩道を10分ほど登ると最初の小ピークです。御霊櫃峠を見下ろす気持ちのよい高みで猪苗代湖の一端も見通せます。雨神、風神の石祠が並んでいます。
いよいよここから登ったり下ったりの縦走路が始まります。見上げる先には黒岩の断崖を纏った黒岩山と連山の最高峰大将旗山が高々と聳えています。
黒岩山を経て大将旗山:
黒岩から御霊櫃峠方面
雨神風神ピークから一旦樹林の中の下りになりますがすぐにまた灌木草原帯の登りになりアズマギク群落が目立つようになります。
黒岩山は見た目ほどには険しくはなく最後だけ少し急登なだけで簡単に登り着けます。
頂上直下の黒岩からの眺めは爽快です。もちろん頂上からも北に大きく展望が広がっています。眼下に今しがた通ってきた御霊櫃峠や雨神風神ピークさらには猪苗代湖を見下ろし、目を上げれば磐梯山がどっかと聳えています。
展望を楽しんだらまた樹林の尾根を下って大将旗山を目指します。
ここで額取山から戻ってきたハイカーがクマに遭ったので頂上まで行かずに引き返してきたと言うのでちょっと緊張しましたが、足はさっぱり動かないのにわいわいがやがやと口ばかりが動くような私たちですから向こうも先に気付くはずです。(^_^;
大将旗山手前はアズマギクが群生する草付きの斜面でそれがちょうど満開で遠景の磐梯山や飯豊山を背景に素晴らしい景観を見せてくれました。
大将旗山からはこれまでにも増して広い展望が得られます。南に那須や二岐山、西に大戸岳や御神楽山、北に飯豊山や猫魔ヶ岳、磐梯山、安達太良山と豪華な眺めです。
また会津布引山の風力発電風車群が印象的です。その数じつに33基だそうで、もちろんここからは数えられないもののその林立する光景は見ものです。
アズマギク群生 背景は磐梯山
ここまで登ればあとは額取山まで稜線の縦走です。
ところが展望を満喫しながら稜線漫歩と思いきや実際は樹林の中の登降を繰り返す尾根で額取山まではけっこう頑張らなければなりません。
額取山:
ブナ平
大将旗山からの縦走路は時たま展望が得られる場所もありますがおおむね樹林の中を歩くことになります。ブナの若木が多くきれいな林相です。
ネマガリダケが繁茂してタケノコも多いのですが放射能の心配があってあまり採る人もいないようです。
何回か登降を繰り返し最後の大登りで額取山頂上へ。
これまでの展望に加え阿武隈の山々全体が視界いっぱいに広がっています。また郡山市周辺の眺めもちょうど田植えのために水が張られていてこの時期独特の景観を見せています。
頂上はハイカーがいっぱいなので展望だけ楽しんでから手前の平坦地でお昼にしました。
下山は往路をそのまま戻るだけですが登降の繰り返しなので意外に時間もかかります。
峠に戻るとハイカーの車は少なくなっていましたが代わりにドライブにやってきたみなさんの車が多く駐車していました。みなさん雨神風神ピークまで足を延ばしているようです。郡山周辺の人たちには馴染み深い山なのかもしれません。
大将旗山、額取山の花(クリックで拡大)
アズマギク
ムラサキヤシオ
オドリコソウ(薄黄)
オキナグサ
オウレン(実)
ラショウモンカズラウマノアシガタ
ヤマツツジ【便利帳】 コンビニ:郡山南ICから登山口までコンビニはありません。買い物は高速に入る前に。
トイレ:御霊櫃峠【収穫】(^_^; 14片 40g