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  日和山 ひよりやま 3m  

日本一低い山 
 

日和山に登ってきました。「登った」と言うか? 標高3m。
日本一低い山です。


関連ページ
天保山 http://www.kimurass.co.jp/tenpouzan.htm

超低山巡り(栃木県) http://www.kimurass.co.jp/teizan.htm


   日和山頂上

   わずかに残る蒲生湿地の名残の沼に遊ぶカルガモ
【日程】 2017年10月2日
【山域】 東北
【天候】  曇り 
【アクセス】 仙台東部道路仙台港IC出口で左折して県道を走ると工業・流通団地に入り、右手に注意して案内板を見たら右折。さらに案内板に従って左折して工事中の地区へ。
あたりは震災復旧の工事現場となっていてすべてが「仮」の状態です。日々変化しているようですので日和山を示す案内に従って駐車場まで。
また要所にガードマンがいて案内もしてくれますので指示に従って行けば間違いありません。
ただし工事完了後は一帯が一変するはずです。
【駐車地】 工事用駐車場が日和山登山者(!)のために解放されています。ただし工事完了後は一帯が一変するはずです。
【コース】 工事現場の中を歩く感じです。工事進捗により日々変わっているはずですからガードマンに道を聞いてから踏み込んだ方が賢明です。
実行程約0.5時間 一般向き 
【メモ】
日本一低い山:
日和山は現在のところ日本で一番標高の低い山です。標高3m。
「日本一高い山」はもちろん富士山で、これを山じゃないとは誰も言いませんが、低い山となるとなにをもって「山」というかという難問が起こります。はたして標高3mが山なのか。
こんな時はお上の意向(威光)に添って、国土地理院の地形図に山の表記(山名と標高値)がある地点を山とみなしましょうというのが大方の共通認識のようです。
その見方で全国の「山」を比較すると仙台市蒲生の日和山が日本一低い山ということになるそうです。
これにはいろいろ変遷がありしばらく前までは大阪の天保山が日本一低い山でした。さらにこれも変遷がありもっと以前には日和山が日本一低い山だったこともあります。つまり日本一の栄光はあっちへ行ったりこっちへ来たりを繰り返してきたらしいです。要は国土地理院の地形図に記載されているかどうかということなんですが。
記載があるかどうかは置いておいて現実に標高を比べてもどちらが日本一低いかには変遷があります。悲しいことにそれは震災の結果です。
実際の標高は2011年3月11日までは天保山が標高4.5m、日和山が標高6.05mで天保山の方が低いという事実の上で国土地理院の意向次第と言うことで推移してきました。どっちが日本一低い山になろうと標高は天保山の方が低いというわけです。
ところが2011年3月11日つまり東日本大震災で津波が直撃したことと地盤沈下が起こったことでその日以来日和山は標高3mとなってしまいました。(築山の結果もあります。)
これを国土地理院で調査して地形図に記載したため名実ともに日本で一番低い山となったわけです。
かつて日本一低い山に登ろうと意気込んで大阪まで出掛けて天保山を訪れたことがありますが、こちらが一番になったと聞いては行かねばなるまい。
ところが天保山へは面白半分で出掛けたもののこちら日和山はどうしても震災を抜きに触れられないものがありなかなか足が向かないまま年月が経ってしまいました。それでもやっぱり行かなくちゃな。

日和山へのアプローチ
あたりは仙台港隣接の工業・流通団地:
仙台港ICから海方向に向かうと仙台港隣接の工業・流通団地へ突っ込んで行きます。途中から日和山の道案内に従って団地内から臨海の震災復興工事現場へと導かれます。もう全体工事現場の中でどこをどう通過したか皆目わかりません。
ガードマンに尋ねて駐車場と日和山への通路を教わっておそるおそる工事現場の真っ只中をくねくねとたどりました。
ずいぶんきれいに整備された通路ですが、それだけ日和山とか蒲生海岸とかかつての景観の痕跡を訪れる人たちに気を遣っている証拠かも知れません。
それにしても日和山への通路にこれだけ費用と労力をつぎ込むとは。通路部分はぬかるまないよう砂利を敷き詰め、トラック道路との境界にはネットのフェンスを作って安全を図っています。日和山登山者様という感じです。
写真の中央が歩道、左がトラック道、さらに左が工事中の防波堤(あるいは道路を兼ねているか)です。

わずかに残る蒲生の景観の痕跡:
かつての黒松が数本
震災の復興工事は大規模ですでにかつての景観は消えてしまっています。しかしよくよくあたりを見るとほんの痕跡程度ですが湿地もありまたかつて一帯を緑で埋めていた黒松の数本も見えます。小さな池でカルガモの親子がのんびりと水面を泳いでいました。生き物たちの図太さには降参です。

日和山全景
日和山:
湿地帯を回り込んで土手状の道を進むと日和山です。現在は裏手から回って行き着く格好になってしまっています。工事中ですから仕方ありません。
小さな築山の上にケルン状に石が重なりその中心に日和山山頂標識が立っています。全体に手作り感が溢れています。
かつての(震災前の)写真を見ると13〜14段の階段がありしっかりとした柵に囲まれたけっこう立派な築山でしたが現在は6段の階段と手書きの標識だけの素人造りがありありとわかる姿をしています。それはそれでほほえましく復興のひとつの姿かもしれません。聞けば震災直後は消滅していた日和山をみんなで盛り土をして(元々が盛り土で造った山)復活したということです。地元の愛着が心に響く話です。
ここはもう海縁で後背湿地を挟んですぐ先は海岸です。今はのっぺらぼうとなってしまった海岸ですがいつかまた昔の姿を取り戻してくれるかな。あるいはこの一帯の復興工事と共に人工の園地となって自然の痕跡もない姿になってしまうかな。できることなら昔のような野鳥の群がる海岸になってほしいものです。
震災の爪痕が残る海岸
【便利帳】 トイレ:なし
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