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地蔵岳 (赤城山) 新坂峠から じぞうだけ 1673.9m

夏の暑い日には陽差しを避けてミズナラ林が心地よい

2013年8月18日(こちら)
今年は異常に暑く、おまけに夏期休暇でどこも混雑して出かける気が失せる夏ですが、静かで涼しいところはどこかと考えて赤城の地蔵岳に出かけてみました。
赤城山、ポピュラーすぎて静かに歩けるはずはないと思うとじつはそうではありません。観光地化した赤城山ですが観光客に占領されてしまったのは湖畔や売店、せいぜい遊歩道くらいなもので、ハイカーが敬遠する分、山道はとても静かです。なかでも地蔵岳はあまりに有名すぎていまさら歩く人も少なく、新坂峠からの登路では誰とも会わず、湖畔目指して下山した道でもわずかに3人のハイカーに会ったのみでした。
小沼に来た観光客がけっこう登って来る八丁峠からの道は木製の階段で整備されて登りやすいのですが夏場は脳天を灼かれてたまりません。その点、反対側の新坂峠からの道はずっとミズナラ、ダケカンバのきれいな森を登るので涼しくてこの季節にはもってこいのルートです。

2020年8月8日(こちら)
コロナ禍で遠出もままならず今年の夏山はお預けです。せめて山の花だけでも見たいと思って足慣らしを兼ねて近場の赤城山地蔵岳へ。

関連ページ 地蔵岳 http://www.kimurass.co.jp/jizou.htm


         地蔵岳頂上
         頂上より大沼、黒檜山
【日程】 2013年8月18日(こちら)
2020年8月8日(こちら)
【山域】 赤城山
【天候】
【地形図】  1/25000赤城山

【アクセス】 前橋から赤城道路で登り切ったところが駐車場と登山口のある新坂峠。
【駐車地】
赤城道路が登り切った新坂峠の右手に駐車場。さらにわずかに進むと大駐車場取付道路があって右折すると数十台分の駐車場。
【コース】
駐車場脇登山口 - 見晴山駐車場分岐
- 地蔵岳 - 台地状前衛峰
- 少年自然の家分岐 - 湖畔道路
- 遊歩道 - 見晴山駐車場 - 見晴山往復
- 赤城山総合観光案内所 - 駐車場

約2.5時間(休憩含む) 初心者向き

【メモ】
ミズナラ、ダケカンバの涼しい登路
2013年8月18日
涼しい登路:
私たちの世代では地蔵岳はロープウェイで登ってしまう山の印象が残っていて、ロープウェイがとっくに廃止になった今も自分の足で登るということが未だにピンと来ません。それにロープウェイはなくなっても山中すみずみまでに車道が入り込んで歩くことなく赤城を楽しんでしまう人たちのエリアと言ってもいいような昨今の状況です。
とはいえ、簡単に登ってしまえる赤城山ですが案外に標高が高く最高峰の黒檜山は1828mもあって夏はその涼しさがうれしいですね。
そうは言っても、夏の陽差しをまともに受けてはどんな山でもたまりません。この地蔵岳も東側の八丁峠からの登山道はそんな感じでカヤトが広がって陽差しを遮るものもなくこの暑さでは敬遠せざるを得ません。
その点、新坂峠からの登路はミズナラやダケカンバの深い樹林の中を歩くので樹間に吹く風がじつに心地よく足もはかどります。
林床にミヤコザサを配して疎らなミズナラとダケカンバが続いて赤城、足尾の典型的な景観を見せています。
どこから見てもドーム型の山体は急な登りを想像しますが、意外に急な登りもないまま1時間もかからずに明るい頂上の一角に登り着きます。


地蔵岳頂上アンテナ群
アンテナの林立する頂上:
頂上一帯はたくさんのアンテナがひしめいていてさながら電波銀座といった感を呈しています。
それぞれフェンスで囲まれていますが、皮肉なことにそのフェンスの中には高嶺の花が守られて元気に咲き誇っています。マツムシソウ、ハクサンフウロ、ツリガネニンジン、ヨツバシオガマ、ネジバナ、キオンなどかつて頂上一帯に群生していた花々がフェンスの中だけで元気で居られるというのはなんだか複雑な気持ちにさせられます。その昔、高山植物の宝庫であった地蔵岳も現在では丈夫な一部の植物以外は目にできなくなってしまいました。それが自然の景観を台無しにしてしまったアンテナ群のおかげで生き残れているというのは痛烈な皮肉と言うほかありません。
アンテナ群の脇を通って左手に回り込むと1等三角点のある頂上です。たくさんの石仏が並んでいます。
その石仏のあたりからは眼下に大沼を見下ろしその向こうに最高峰黒檜山を見上げる絶好の展望が広がっています。そして大沼の左手奥に五輪尾根、さらには野坂峠道のその先に沼田方面の町並みも見えます。
天候に恵まれれば奥利根、尾瀬、日光なども視界の中ですし、さらに場所を少し変えれば(広い頂上なので歩き回らないと360°の展望は得られません。)槍ヶ岳、鹿島槍など北アルプスまで届く大展望が得られるはずですが、残念ながら雲が湧いて赤城周辺だけの展望に限られてしまいました。
それでもお地蔵様と並んで腰を下ろして一緒に赤城の山々を眺めながらおにぎりでもほおばればなんだかにこにこ気分です。
台地状前衛峰から振り返る地蔵岳
下山は大沼目指して:
駐車地の新坂峠まで戻るには往路をそのまま下山すれば簡単ですが、一応足慣らしに歩きに来たので少し遠回りにはなりますが大沼を目指して下山することにしました。
見下ろすとちょっと気になる台地状の尾根があって、どうやらそこを通るようです。
石のごろごろした道を下り始めるとすぐかつてのロープウェイの痕跡らしき場所を通過します。さらに下ると樹林の中の道になりますが登路に取った新坂峠からの道に比べてあまり歩かれてはいない様子です。滑りやすい岩に気を遣いながらさらに下ると大きな石の折り重なった道になります。石の積み重なり具合が自然にそうなったとは思えないので何か意図があって集めたのかと思いますが歩きにくい道です。
平坦な鞍部に下り着くとすぐに先ほど見下ろした台地状の前衛峰です。裸地になっていて振り返ると地蔵岳頂上がよく見えます。あたりは草原になっていてレンゲツツジが群生しています。
気分のよい場所ですが、夏の陽が当たって暑くて長居はできません。
再び樹林の中に逃げ込み、さらに下ると分岐があり右は大洞、左は赤城少年自然の家へ、ともに大沼湖畔ですが少しだけ駐車地に近い赤城少年自然の家への道をとりました。
込み入った林からすっきりしたミズナラの森に変わって来ると程なく湖畔の車道へ降り着きます。

歩道をたどる:
遊歩道脇には句碑が

炎天の車道を戻る覚悟でいたらなんと車道にほぼ並行して遊歩道が整備されていました。チップを敷き詰めた歩きやすい道で周囲は落葉樹林なので涼しくて並行する車道の炎天が嘘のようです。樹林を通して見える車道にはランニングや自転車のツーリングのみなさんが大汗流しながら頑張っていましたが、こっちは涼しい道をのんびり散歩気分です。
所々歩道の脇に句碑が建っています。地元ゆかりの俳人や赤城を詠んだ句が多いようです。遊歩道から数メートルほど外れている碑が多いため中には夏草に覆われているものもあってちょっとかわいそうな気もします。
遊歩道は最初はミヤコザサとミズナラの中を通りますが徐々に笹が消えてさっぱりしたミズナラ林に変わります。きれいな小沢などもあってとっても気分の良い道です。山歩きは困難だというみなさんもこんな道を歩くだけでも自然に浸ることができるはずです。
車道がヘアピンで登りにかかるあたりで遊歩道も登りになります。登り切ると車道に合流して遊歩道は一旦終わり見晴山登山口前駐車場に出ます。
ついでに見晴山に登りました。風だけはよく通って涼しかったですが、特に見晴らしがいいというわけではなくレンゲツツジの時期以外は無駄かも知れません。
あとは駐車場まで車道を戻るのみです。(見晴山の下から牧柵沿いに歩くこともできますが、この時期は夏草が多くて歩きにくい様子でした。)

     遊歩道

      遊歩道脇の小沢

地蔵岳の花(画像クリックで拡大)

   キオン

  マルバダケブキ

  マツムシソウ

  ツリガネニンジン

  ヤマユリ

  イタドリ 

  オニアザミ(?)

  オオハナウド

2020年8月8日
足慣らしに再訪:

    頂上に咲き乱れる花々 シモツケ、コバギボウシ、ツリガネニンジン、ヤマハハコ 

コロナ禍と大雨の続いた梅雨で長期ブランクが続いたためすっかり足が弱ってしまいました。出直し山行というわけです。
暑いのはたまらんと思って赤城の樹林下を歩ける新坂平から地蔵岳へ。頂上までずっと樹林の中なので面白味には欠けますが地蔵岳への登路としては八丁峠からの階段登山道とならび楽ちんに登れるファミリー向けのコースと言えます。
赤城山は高山植物の群落というほどの規模のものには会えませんが花の種類はけっこう多くて道ばたの花だけを追ってもけっこう楽しめます。

地蔵岳の花(画像クリックで拡大)

 シモツケ

 コバギボウシ

  コオニユリ

  ノコギリソウ

  タマガワホトトギス

  シオガマギク

  ウスユキソウ

  ウバユリ
【便利帳】 トイレ:赤城山総合観光案内所
【収穫】(^_^;  2013-8-13 61片 220g
2020-8-8 48片 490g
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