神居山 195m
住宅地に隣接した駅裏の低山ですがクマゲラやエゾシカが棲息していて大興奮
雪解けが始まった時期の北海道は観光客に会うことも少なく、どこに行っても静かです。もともと観光ルートからはずれた地方ならなおさらで、広大な台地や丘陵がまだら模様を描いて春の準備をしている様は北の大地の感が深くとても魅力的です。
十勝の北の縁にあたる本別の低山を歩いてきました。山といっても町の中心の駅裏、住宅地のすぐ裏ですが、なんとクマゲラに会ってしまいました。まさかクマゲラがこんな場所にいるなんてと半信半疑でしたが、宿に帰って聞いてみたら「クマゲラですよ、近くに営巣地がありますから」と軽く言われました。もっともったいつけてくれればいいのに。(^_^;
翌日、駅のホームでぼんやりその山を見ていたら、目の前を十数頭のエゾシカの群れがどどどっと走り抜けていきました。思わず、おーっ、おーっと叫んでカメラを取り出しましたが、地元の人は気に掛ける様子もなく、きっと珍しくもなんともないのでしょう。
【日程】 2006年3月23日 【山域】 道東 【天候】 曇り 【地図】 1/25000本別
【アクセス】 本別町、本別駅裏 【駐車地】 国道242から駅の北の踏切を回り込んで銀河アリーナの裏を通り駅の反対側に登山口。
数台駐車可。【コース】 本別駅 − 踏切 - 銀河アリーナ - 登山口 - 神居山(展望台) - 諏訪神社跡 - 伐採尾根
約1.5時間 初心者向き
駅前から見上げる神居山(謎の展望台)
山頂からの眺望・町の向こうには利別川、美里別川と広大な台地
ちほく高原鉄道ふるさと銀河線・本別駅到着
【メモ】 駅裏に魅力的な低山が:
本別は十勝平野の利別川沿いの最も奥まった位置にある町です。
ちほく高原鉄道ふるさと銀河線の本別駅。この線も廃止まであと一ヶ月ということで、駅の雰囲気もなにか寂しさが漂います。
町の中心から駅の向こう側に標高200mほどの低い山並みを見上げることができます。落葉疎林とササの林床が消えかけの雪のまだらとあいまって美しく、ちょっと登ってみようかなという気にさせてくれました。見上げるとなにやら不思議な建造物、どうやら展望台のようです。
駅の左手(北)に回り込み、踏切を渡って駅裏に出ると大きな登山口の看板が目に入ります。よく整備されているようですが、今は雪解けの季節で、落ち葉の下は凍った雪、日当たりの良いところはぬかるみといった歩きにくい状態で、あまり人の入っている様子もありません。
少し谷に入ってから右手の斜面をジグザグを切りながら一気に高度を上げます。この山道はやたら鹿の糞だらけ、たくさんの鹿が棲息していそうです。
クマゲラが:
尾根まであと一息と言うところで、キツツキのドラミングとコンコンと幹を穿つ音が聞こえました。見上げると真っ黒で大きなキツツキがこちらを警戒する様子もなくせっせと幹をつついていました。夕刻でおまけに逆光でしたので頭の赤色はわかりませんでしたが、たぶんこの黒さと大きさですからクマゲラに違いありません。絶滅危惧種だそうで、こんな町に隣接した丘陵で見ることが出来るなんて驚きです。(帰ってさっそく宿で聞いたら、軽く、クマゲラですよ、と言われてしまいました。この山の反対側にクマゲラの営巣地があると言うことです。)
クマゲラ
尾根に出るとさすがに北国、冷たい風がたまりません。ちらちら小雪も舞ってきました。
神居山頂上、やはり展望台でした:
わずかに尾根を歩くと神居山頂上です。見上げた不思議な建造物はやはり展望台でした。
頂上からは東大雪方面の眺望が得られるはずですが(前日、町はずれから見た雪山は圧巻でした。)曇っていて手前の台地が見えるだけでした。でも、延々と続く台地もはるばる来たなと思わせるに充分な雄大さです。
頂上から一旦急下降してあとは平坦な尾根を坦々とたどります。左の駅側は笹に覆われた優しい斜面ですが、右側は急峻に落ち込んでいます。
道は尾根の途中で右に本別公園へ向かって降りますが、このコースをとって本別公園に降りてしまうと駅まで戻るのにかなり舗装道を歩かなければならないようです。そこで道はかすかになりますが尾根を進んで後は適当に笹の斜面を突いて下山することにしました。
尾根の先のもう一つの頂上は諏訪神社跡となっています。標高はほぼ神居山と同じ。神社の土台が残っていて、そこから左に小笹の中に明瞭な道跡が降っています。大きな鳥居もあり、かつてはちゃんとした神社だったようです。このあたりの笹は丈は低いものの密度が濃くとてもきれいな林床になっています。それだけを眺めれば深山の雰囲気がありながら、ひょいと見下ろすとすぐ眼の下に住宅地、なんとも不思議な景観です。
ササの林床
やがて人家が近づくと伐採地となり、舗装道路に飛び出しました。
エゾシカの群れ:
翌日、ちほく高原鉄道ふるさと銀河線に乗ろうと駅のホームで待っていたところ、向かいの前日歩いたあたりの斜面を十数頭のエゾシカの群れが走り抜けて行きました。
慌ててカメラに収めましたが、先頭の群れは視界から消えて中程の数頭だけが写っていました。一番大きく貫禄のあるヤツが最後尾を悠然と歩いていました。きっとリーダーなのでしょう。
それにしても、こんな住宅地裏にエゾシカの群れ、なんて楽しい町、本別。(^_^)
住宅裏を走り抜けるエゾシカ 【便利帳】 トイレ:本別駅 【収穫】(^_^; なし。雪の下?