【メモ】 |
いきなり沢沿いの急登:
次々に現れる滝を眺めながら登る滝入りコース
|
登山口は2つのコースの分岐点でもあります。左が今回下山路にとった水無コース、右がこれからたどる滝入りコースです。
駐車地付近からは尾根がのしかかるような角度で見上げられます。(しかしこの尾根はほんの支尾根にしか過ぎず、本格的な尾根まではさらに高度を上げなければならないことに後で気付くことになりす。)
鉄製の橋を渡ると沢沿いの道となります。合目標識があって位置を知ることができて便利です。2合目で比較的大きな滝を見ながら右岸に渡ります。
八海山、越後駒ヶ岳
|
秋ですから水量はさほどではありませんが、次々と滝が現れて楽しませてくれます。優美に岩肌を落ちる滝、豪快に滝壺に落ち込む滝、さらさらと緩い一枚岩を滑るナメ滝、沢全体が滝の連続です。
この沢沿いのルートは滝入りコースと名付けられていますが、時たま飛び石で渡ることはあるものの沢を登るわけではありません。沢沿いに道がつけられているだけのことで、この季節ですと藪に阻まれて見えにくい滝もあるくらいです。
一般的には沢沿いの登山道ですと最初は緩傾斜で最後の源頭部で急登となるのが普通ですが、この金城山は見ての通りの鋭鋒ですから沢コースといってもいきなりの急登です。そしてそのまま頂上まで一時も許してはくれない急登に次ぐ急登です。沢筋で好展望ということだけでその急峻さが知れようというものです。
気をつけなくてはならないのは、この山全体とても滑りやすい岩質で、特に沢筋では岩伝いに飛んで渡るのは禁物です。
尾根に出ても急登は続く:
頂上より最高点(避難小屋)
|
沢から離れ尾根に登り着くと電波反射板方向から来た道を併せます。大月コースと呼ばれているそうです。このコースはかなりの高度まで車で入れるらしいのですが、しかしあまり歩かれていないようで藪に半ば覆われていました。
尾根に出ると展望はさらに大きく広がって、背後に高倉山、越後三山、右手に六日町、東頸城丘陵、遠く刈羽黒姫山まで望めました。8合目で雲洞コースを併せます。さらに梯子坂という名の通りの急登を経てやっとこさ兎平・9合目。展望はさらに大きく、大月コースの先にはかわいい尾根が続いて、小さいながら端正な姿の坂戸山で終わって、魚野川を隔てて六日町市街もまるで航空写真のように手に取るようです。南西には飯士山の鋭峰が霞んで見えました。
いつしかブナが多くなり、気分の良い樹林帯の最後の急登で頂上岩稜に飛び出します。
足のすくむ頂上岩峰群:
ひょっこり飛び出した頂上からの景観は劇的です。足下は一気に切れ落ちて錦繍の谷、見上げると高々と巻機山の大きな山体が目に飛び込みます。
イワキの頭までの鋭い尾根も魅力的で、その山容は高山のそれで、とても1300mそこそことは思えません。
あまり縁に近い場所は落ち着きませんのでちょっと岩縁から離れて昼食にしました。
頂上岩峰群を縫って最高点へ:
金城山の最高点は隣にありますが、そちらは笹の茂ったパッとしない頂上なのでこちら岩峰を頂上としているようです。最高点が頂上とは限らない、ということでしょうか。
頂上岩峰群
|
わずかな距離ですが、この岩峰群を越えるには鎖をたよりに登ったり降りたりしなければなりません。しかし、うまいことルートができていて見た目より楽に通過することができます。やや先で振り返ると岩峰群全体を眺められます。自然の造形の妙に思わず拍手です。色付いた木々を纏った姿にしばしほれぼれして見とれてしまいました。
ほぼ中央の岩上に3体ほどの石塔がありました。私たちは岩上に登る鎖に気付きながらやり過ごしてしまったので間近に見ることは出来ませんでした。もっとも、その岩に立つなど怖くてまっぴらですが。
岩峰群を後にして笹の茂ったなだらかな尾根をだらだらと登ると最高点で、避難小屋が建っています。ガイドブックなどには別にトイレもあるということでしたが、どうやら撤去されているようです。
最高点の先は緩い斜面で二重山稜となっていて、そのためか小さな湿地となってミズバショウがもう元気はありませんが大きな葉を茂らせていました。
覚悟はしていたもののあまりの急下降に難儀:
赤や黄を纏った水無コース尾根
|
緩やかな斜面も9合目からは一変します。土も岩も木の根もとても滑りやすく気が抜けません。おまけに登路の滝入りコースと同じくらい、いえ、それ以上に急な道で、足で歩行というより木の枝や灌木を頼りに腕で降りる感じです。鎖やロープが次から次と現れますが、鎖なしにはとても下降できるものではありません。
やがて7合目を過ぎると話に聞くトラバースの鎖場。見たところなんということもないのですが、いざ取りかかってみると岩全体が濡れていて滑りやすく危なっかしいことこの上ありません。肝を冷やしながら何とか通過しましたが、すぐまた10mほどの鎖。さらにこの先次々と鎖が現れ、結局最後まで鎖のお世話になりっぱなしでした。
水無コースは上半分と下半分とでは趣が異なります。中程までは大岩を縫ったり巨木を巻いたりしながらひたすら降るという感じですが、後半は灌木帯のやせた岩稜となり、あたかも宙を歩く感があります。見上げると天然檜の黒木と黄や赤に色付いた広葉樹との取り合わせがなんとも美しく、振り返り見上げてはしばし見とれて、いい山だねぇ。(^_^)
結局この下山路は最後の最後まで普通に歩けるような傾斜はほとんどなく、ズリ落ちてきたといってもいいくらいです。でも、そのくらいの急峻さですから、越後のこのあたりの山の多くがそうなのですが、終始空にいるような気分でじつに楽しい尾根でした。
しかし、それにしても急峻な山でした。あとから地形図を見て納得、標高差は1000mほどもありました。それを一気に登り、一気に下るわけで、見かけは里山といえあなどれません。
今年は越後の山にちょっとのめり込んだかっこうでした。樋曽山、米山、刈羽黒姫山、唐松山、そして金城山。花、雪、展望、紅葉、どれもどれも楽しく素晴らしい山でした。 |