木曽駒ヶ岳 きそこまがたけ 2956.1m
天候不順の夏ですがなぜか奇跡的な青空に恵まれて稜線漫歩
(2014年8月22、23日) こちら
各地で豪雨の被害が発生している中、前日に天気予報が変わって一日だけの好天を告げたので計画中止のつもりでいたのをそれとばかり出かけました。それでも関東ではまだ怪しい雲が流れていて不安な気持ちにさせられましたが長いトンネルを抜けて佐久に入ったら信じられないような青空、遙か前方には槍、穂高、鹿島槍、五竜など北アルプスがくっきり眺められました。
全国の豪雨のニュースの影響からか観光客も少なく、いつもは最大の難関になるバスもロープウェイもすんなり乗り継ぐことができてあっという間にピーカンの千畳敷へ立つことができました。
この夏の不順な天候のせいか高山植物の開花が遅かったようで8月も下旬というのに千畳敷カールのお花畑はまだまだ健在でした。稜線から見る南方岐阜県方面の聳えるような積乱雲が少々不安でしたが、今いる場所は気持ちのよい青空でのんびり2900mの稜線漫歩を楽しむことができました。
2日目は朝からの雨で予定していた三沢岳は諦めて早々に下山しました。(ロープウエイが運行中止となりましたがとりあえず下山したらちょうど良く千畳敷駅に着いたところで運行開始となって最初の乗客になりました。)
(2023年8月18日) こちら
徐々に体調も戻ってきて初心者コースなら大体歩けるようになってきました。そうなると高い山に登りたくてうずうずです。さりとてもはや北アルプスの稜線まで登る体力は戻りそうもなく、そんなときのために木曽駒ヶ岳があるって事でしょうか。(^_^)
前夜駒ヶ根で1泊して翌朝早出で木曽駒ヶ岳まで往復してきました。ほぼ10年ぶりの木曽駒です。
関連ページ 三沢岳 http://www.kimurass.co.jp/sannosawadake.htm
木曽駒ヶ岳頂上 千畳敷から仙丈岳 北岳 間の岳 西農鳥岳 塩見岳 遠く富士山も
【日程】 2014年8月22、23日こちら
2023年8月18日こちら【山域】 中央アルプス 【天候】 快晴、雨 【地図】 1/25000木曽駒ヶ岳
【アクセス】 中央自動車道駒ヶ根ICから西に向かって1.3kmほどで菅の台バスセンター駐車場。 【駐車地】 (三沢岳参照) 【コース】
千畳敷 - 乗越浄土 - 中岳 - 木曽駒ヶ岳
- 中岳巻き道 - 宝剣山荘 - 伊那前岳往復
- 宝剣山荘(泊) - 千畳敷
一日目行程 6時間
二日目行程 1.5時間
【メモ】
2014年8月22、23日
快晴の千畳敷:
千畳敷より宝剣岳を見上げる
何度来てもそのたびに圧倒される千畳敷の景観です。
時刻が早めでもありまた全国で発生している豪雨で出足が鈍ったか、いつもは観光客でごった返していてうんざりするのがこの日はハイカーの方が多く比較的静かです。
とはいえこれほどたやすく2600mに立てるとあって、だいたいは軽装備の日帰りハイカーです。私たちも稜線泊とはいえ至れり尽くせりの小屋泊まりですから似たようなものです。ここを起点に縦走を期して重い荷を背負っている登山者は場違いなほどです。
登山道は最初左手からスタートしてほぼカールの真ん中を突っ切って登っていきます。カールの地形そのままに緩い傾斜から徐々に急になり後半はジグザグ登りとなります。
天候不順な夏ですので高山植物も開花の時期をためらったのか8月下旬になるというのにまだまだカールの花は元気いっぱいです。クルマユリ、コオニユリ、シナノキンバイ、シナノオトギリ、ヨツバシオガマ、エゾシオガマ、ミヤマキンポウゲなどが目立ちます。さすがに雪解け一番に咲くコバイケイソウやキバナシャクナゲなどはすっかり終わっていました。
ぐんぐん高度を上げ道が電光を切るようになると背後に大きな景観が広がってきます。眼下に千畳敷ロープウェイ駅を見下ろし、その先に駒ヶ根の市街を中心にして伊那谷を見、さらに目を上げれば高々と南アルプスの雄峰が連なって見えます。左手から甲斐駒ヶ岳、仙丈岳、北岳、間の岳、西農鳥岳、塩見岳と続きますが、その右に連なる南アルプス深南の山々はもうどこがどれやらわかりません。そして西農鳥岳と塩見岳の間に富士山も頭を出しています。
だんだん岩がちの斜面になると植生も湿性草原のそれから乾性お花畑に移行してイワベンケイ、タカネツメクサ、チシマギキョウなどが多くなります。
稜線間近のオットセイ岩
頭上に稜線が見えるようになると左手にひょうきんな岩が現れますがその姿からオットセイ岩と言うそうです。
ここまで来れば急峻ながら稜線までわずかな距離ですから息が上がる前にもう乗越浄土に登り着いてしまいます。
稜線の道:
中岳を振り返る(背後に宝剣岳)
乗越浄土からは木曽駒核心の中岳方面が眺められます。木曽駒ヶ岳本峰は中岳に隠れて一部しか見えませんがそこから延びる馬の背と濃ヶ池が印象的です。左手には宝剣岳が大きく頭を持ち上げていててっぺんに立つハイカーもはっきり見えます。
乗越浄土は休憩にちょうど良い地形ですが風の通り道ですから長居していると身体が冷えてしまいます。ちょっと休んだら早々に木曽駒ヶ岳を目指して出発です。
宝剣山荘の裏手を通ってなだらかで広い尾根をわずかに進むと中岳の巻き道分岐があります。とりあえず中岳頂上を踏んで行こうとそのまま稜線を進みわずかな登りで中岳頂上です。大岩が重なり社が建っています。
中岳から急な下り道となりますが距離はわずかで頂上山荘のある鞍部まで一気に下り着いてしまいます。さらに一登りで待望の木曽駒ヶ岳山頂です。
この稜線はずっと岩と砂の乾性地質ですのでトウヤクリンドウ、タカネツメクサなどが見られます。一部コマクサが生育していますがこの山域ではかつて採取のために絶滅したということですからたぶん植栽したものが生き残っているようです。草津白根や八間山に植えられているのと同じどぎつい赤花です。他所からの植栽は本来の植生を乱しますのでどうかと思いますがとくに駆除もされてはいないようです。
木曽駒ヶ岳:
木曽駒ヶ岳頂上には2つの駒ヶ岳神社が鎮座しています。伊那側には伊那駒ヶ岳神社、木曽側には木曽駒ヶ岳神社がそれぞれ伊那と木曽を見守っています。
伊那駒ヶ岳神社
木曽駒ヶ岳神社頂上からは大展望が広がっています。それもそのはず、この地点が中央アルプスの最高点です。
のびやかに続く将棊頭山
ただ全国的に不安定な大気の影響からか遠方あちこちに積乱雲がわき上がっていて遠望はかないません。特に南方向には巨大な雲があってこちらを窺っているようです。(山小屋で聴いた夜のニュースでこの雲の下にあたる土岐で豪雨被害が出たと伝えていました。)そのため恵那山や御嶽山はほんの一部が時々顔を出す程度でした。一方周辺の山々は堂々とした姿を見せてくれました。なんといっても三沢岳のピラミダルな堂々たる姿には圧倒されます。空木岳、将棊頭山、伊那前山など中央アルプス北半の峰々も立派です。さらに松本あたりでしょうか、街並みも遠くに見えていました。
去りがたい山頂ですが次に伊那前岳にも登ろうということになり下山にかかりました。そのまま往路を戻るのも変化がないと思って中岳の巻き道を取りました。巻き道分岐には危険との看板があり、現に岩場が不安で戻ってきたハイカーと会いましたが、実際に歩いてみると通過に困難なことはありません。深く刻まれた滑川本谷や間ノ沢、宝剣沢の豪快な景観は尾根通しに歩いては目にすることはできないので山慣れたハイカーにはおすすめのルートです。
尾根道に合流するとすぐに宝剣山荘です。一旦宝剣山荘に寄ってから空身で伊那前岳へ出かけることに。
三沢岳
中岳巻道から滑川本谷、間ノ沢、宝剣沢を覗く
伊那前岳:
伊那前岳尾根から千畳敷を見下ろす
乗越浄土から千畳敷への道を見送って尾根を進むと伊那前岳への道となります。ほとんど水平道で右眼下に千畳敷の全景を見下ろしながら快適に足がはかどります。
向かいに宝剣岳、島田娘、檜尾岳、空木岳が並んでいるなんとも贅沢な眺めです。
2911m峰は脇をすり抜けるようにしてピークを踏むことはできません。(ロープで立ち入れないようになっています。)
さらに尾根を進むと勒銘石という石碑が建っています。天明年間に彫られたものということです。さらに尾根を進むと鉄パイプが立てられたちょっとしたピークに達しその先は高度を落としています。ここまでまったく山名板などないのでいったいどこが伊那前岳かわかりませんでしたがこの先ということはないようですのでここを伊那前岳として今日の行程はここまでとしました。空身で地図さえ携帯しなかったためここに三角点があることも気付きませんでしたが地図があればはっきり認識できたはずです。
ここから高度を落とした尾根上になかなか魅力的な景観が続いていますのでしばらく眺めていましたが、なんと下の方からハイカーが一人登って来ました。私たちが小屋に戻ってしばらくしたらそのハイカーがやって来たので少し話しましたがロープウェイを使わず8時間かけて自力でここまで来たということでした。さらにこのまま頂上小屋まで行ってテントを張り翌日一気に空木岳まで行くと言っていました。驚異的なスタミナです。
下山:
私たちは翌日は三沢岳往復の予定でしたが朝から雨でやむなく下山することにしました。
霧に包まれたモレーン湖・剣ヶ池
小屋での情報ではロープウェイが風雨のため運行中止しているとのことでしたがいずれ運行再開できそうだともいうのでとりあえずゆっくり下山にかかりました。
往路とはルートを変えてカールの底を回ってみることにしました。カールの底にモレーンとカール湖がセットされているカール典型の地形が広がっています。終盤ながらお花畑にはいろいろな花が咲き乱れていました。ロープウェイ停止のおかげで誰もいない静かな千畳敷を歩くことができてこんな幸運はありません。
というわけで予定通りの山行はできませんでしたが1日だけでも好天に恵まれ、また予想外の高山植物にもたくさん会えて大満足でした。
木曽駒ヶ岳花図鑑(写真クリックで拡大)
ハクサンイチゲ
チングルマ
チシマギキョウ
シナノキンバイ
シナノオトギリ
コマウスユキソウ
ウサギギク
コマクサ
ヨツバシオガマ
コオニユリ
2023年8月18日
菅の台バスセンターは大混雑:
富士山 農鳥岳 塩見岳
朝1番のバスに乗ろうとバスセンター駐車場に着いたときにはもうバス乗り場は長蛇の列。この先のリフト、登山道が思いやられます。
案の定、どこも登山者だらけ、自分もそのうちの一人だから文句は言えません。
人は多いもののやはり高所の空気は気持ちがいい。ところが同行の娘が高山病になってしまってタイヘンそうでした。どうやら2300mを越えるあたりから調子が悪くなるそうで、残念ながらこればかりは鍛えようがありません。
雷鳥:
那須からやってきた雷鳥
中岳あたりで2,30mほど先に2羽程の雷鳥を見ました。那須の動物王国で孵化したのをここに放鳥したらしいですが、元気に育ってます。【収穫】(^_^; 5片10g