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小三床山周回 こみとこやま

関東平野を望む展望尾根周回

一年ほど前、三床山に登った際に小三床山から烏ヶ岳まで足を延ばしてみましたがその尾根の先につつじ山、桜山などがあることを知りました。周回コースもとれるようです。これは一度行ってみなければ。
ネットを巡るとみなさんずいぶんと非効率的なコース取りをしているようで、これならばもっと省力で周回できるぞという計画を立てて出かけたのですが...。

入山のルート、下山のルートは一般ハイキングコースではありません。

関連ページ
三床山(梅園より周回) http://www.kimurass.co.jp/mitoko.htm
三床山(鹿嶋神社より) http://www.kimurass.co.jp/mitokoyama.htm
三床山(岩崎より周回) http://www.kimurass.co.jp/mitokoyamaiwasaki.htm
小三床山 http://www.kimurass.co.jp/komitokoyama.htm



      日だまりのつつじ山頂上
          三床山 小三床山分岐付近より 後方に三毳山、太平山
【日程】 2016年12月10日
【山域】 安蘇
【天候】 快晴 強風

【アクセス】 田沼から桐生田沼線を飛駒方面に。山形の三叉路の1km先、大きな工場の前を右折して梅園方面に。6〜700mほど走り右奥に小さな工場が見えたらカーブミラーのあるところで狭い舗装道に右折。そのまま道なりに墓地まで。
【駐車地】 墓地脇に数台駐車可
【コース】
墓地脇駐車地 - 稜線 - 320m峰(通称一床山)
- 三床山往復 - 小三床山 - 栗谷坂峠
- 烏ヶ岳 - つつじ山 - 桜山 - 林道跡
- 川東 - 烏ヶ岳 - 墓地脇駐車地

一般向き 3.5時間(一部藪)
【メモ】
入山の林道跡(ほぼ藪)
入山点を探してうろうろ:
ネットを巡ってみるとなぜかみなさん周回するのに三床山南麓の鹿島神社から入山し三床山頂上を踏んでから小三床山〜桜山を縦走して、そこから一旦梅園側の麓まで下りさらに320m峰(通称一床山)へ登り返して周回しているようです。このコース取りですと周回するためには2回も稜線まで登らなければならず周回と言うよりも2回登山することになります。むしろ梅園側からスタートすれば1度の登りで周回できるわけで効率的です。(この梅園側からのコース取りができないことは最後に里に下りたときに判ることになるのですが。)
当然スタート点として考えられるのは梅園側の山麓の320m峰(通称一床山)への登り口ですがそれがどこなのか全く情報が得られていません。ここから登った例はネット上でも見当たりません。
とにかく現地に行ってみようと思いそれらしい入山路を探してみましたがどうもはっきりせず、地元の方に聞いてみたところどの道も大きく抉られたり崩落したりしていて進入はできないとのことでした。320m峰への登路もまったくご存じないようでした。それどころか通称一床山の名前さえ首をかしげていました。三床山周辺の登山道そのものが地元には無縁のようで、山名もルートもハイカーだけに通じる狭い世界のことのようです。
仕方なし、320m峰へ直接登るのはあきらめてこれまで何回も通っている川東の古い山道跡から入山することにしました。
梅園の谷を貫く狭い道路から川東で右に折れて山裾に入り墓地の前に車を止めて稜線へ向かいました。いきなりスタートからネザサの覆う道になりました。以前はかなり奥まで刈り払われていましたが現在はまったく手を入れていないようです。道跡は途切れ途切れでいずれは道を失うことになりますがかまわず上へ上へ登れば尾根筋に出られます。尾根に登りついた地点が主尾根なら左へ向かえば320m峰(通称一床山)です。支尾根に出てしまったら右へたどって主尾根に出ます。(飛び出した尾根から関東平野が展望できるならそこは主尾根です。)

小三床山分岐付近から高松と関東平野を望む 右奥は大小山
320m峰の大展望:
しばらく展望のよい尾根を東に進むと320m峰(通称一床山)頂上、抜群の大展望が待っています。
まず目に入るのは関東平野の広がりです。その先にはスカイツリーもはっきり見えます。東京、横浜、幕張のビル群も見えますがその数は年々増えていまや東京のビル群は(かつて都心、新宿、池袋などがそれぞれ区別できたのですが)ひとかたまりになってしまいました。
そして関東平野の広がりの先にはやや右寄りに秦野の大山から始まって丹沢、奥多摩、奥秩父の山々が連なりその向こうには真っ白な富士山が堂々とした姿を見せています。
西、北の展望は季節風のせいで雪雲が覆って限定的でしたがそれでも浅間山、榛名山、赤城山などはどうにか見通せました。また日光、足尾の山々は残念ながら雪雲に隠されていましたが安蘇山塊は全山が一望でした。うねうねと折り重なって続く安蘇山塊は一般にはあまり知られてはいないようですが、晩秋から初春までの山行では半分以上を安蘇山塊に出かけている私たちには馴染みの山々ばかりです。
頂上は風が強く寒くていつまでもいられないので早々に三床山へ向け縦走にかかりました。
小三床山分岐から三床山未踏の仲間が往復するのを見送って私たちは南斜面の風の当たらない場所で日向ボコ。関東の広がりを眼下にのんびりと至福の時間です。

つつじ山の先の露岩尾根

小三床山へ向けて縦走:
仲間が戻るのを待っていよいよ今日の目的のコース小三床山方面へ向けて縦走開始です。大下りして登り返すと小三床山頂上、東に展望が広がっています。至近に三床山が逆光で黒く聳えています。
さらにまた大下りして栗谷坂峠、古い峠で峠道の痕跡があります。(実際にはすでに道型が失われていて峠道で峠を越えることはできません。かつてはまだ道跡がしっかり残っていて下山した経験がありますが今はすでに完全に消えてしまっています。)
峠から登り返すと334m峰の烏ヶ岳、ここまでは前回足跡を付けています。烏ヶ岳では展望はあまり期待できません。樹間に周囲の山や里が覗ける程度です。
これまでの尾根道はチャートの露岩の多い明るい広葉樹林でところどころヒノキの植林地になっています。この先も同じような景観が続きます。この地方の典型的な山の姿です。
安蘇山塊では標高が1000mほどでは林床がミヤコザサ一色となりますがまだ安蘇山塊前衛のこのあたりでは所々にミヤコザサが見られる程度で林床を埋め尽くすほどには至っていません。
峠から登り返すとつつじ山、その名の表すとおりヤマツツジが多く見られます。12月というのに返り咲きのヤマツツジが見事に咲いていました。

桜山頂上
周回コース最後の桜山:
ツツジ山で尾根は左に折れます。尾根道もそのまま尾根通しに続きます。
やや急登の先のピークが桜山、小さな石祠が建っています。「下講中」の文字や建立年の「文政」の文字が認められます。文政と言えば1820年頃、シーボルトが活躍した時代ですからびっくりです。しっかり文字も判読できるとは。
一方、「下講中」は何のことかわかりません。この石祠の神社を信仰する講の呼び名なのかあるいは全国にいくつか例のある集落の名(いわば住所)なのか、いずれにしてもわからないなりに興味深い石祠です。
ここが周回コースの最後のピークです。この先尾根通しに歩くと金原山へと通じているということですが、たぶんその途中と思われるピーク大姫山を記した案内板が掛かっています。聞いたことのない山名ですから行ってみたいとちょっと気に掛かります。
桜山というからにはヤマザクラが特段多いかと想像していたのですが尾根道ではそれほどのことはなく相変わらずコナラやクヌギの雑木林で下層の低木はヤマツツジが占めています。
桜山頂上石祠
周回コースはここで主尾根を離れ左の支尾根を一気に下ります。滑りやすくまた落ち葉が積もっていて気が抜けません。途中何カ所か展望地がありぐるっと馬蹄形状に歩いてきた尾根が一望です。けっこう歩いたもんだとちょっと自慢な気分です。また、北の方角を眺めると金原山へと続く尾根が延々と続いています。
登山道は支尾根から左に尾根を離れて下降します。途中に古い石祠がありました。
さらにしばらく下降すると古い林道跡に降り立ちます。
林道跡を右にわずかに下るとネザサの密藪を切り開いた320m峰への登路を見ます。これが周回コースとして歩かれているルートです。一床山と記された案内板がありますのでそれと判ります。一方、逆コースをとった場合は桜山へのとりつきには案内板はなくテープマークのみですから判りにくいかもしれません。
林道跡をしばらくたどると人家の前に飛び出します。
ところがその林道跡への起点に通行止めの柵があって「私有地につき通行禁止」の看板が掲げられていました。つまり勝手に私有地を通過しない限りこの林道跡を歩く周回コースは成り立たないことになります。これでなぜみなさんが周回するために鹿島神社から入山して桜山から麓まで一旦下った後にまた登り返したりして都合2回も登らなければならないコース取りをするのか理解がつきました。

このページで紹介したコースは立ち入り禁止とされているルートを通過しています。(逆方向で気付きませんでした。)
トラブルにならないために周回コースとしては南側山麓から入山して桜山から下山後再度320m峰(通称一床山)へ登り返すことをおすすめします。
あるいは桜山から下山した支尾根を途中から林道跡へと下らずにそのまま尾根通しに歩いたらどうか、そのうちに探ってみます。


  マンリョウ

  ヤマツツジ
【便利帳】 コンビニ:国道293沿い
トイレ:近くにはなし あらかじめ足利市樺崎町・北の郷や佐野市旧田沼街・道の駅どまんなかたぬまのトイレを利用
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