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  熊の山 盛金富士 くまのやま 306m もりがねふじ

展望の熊の山からイワウチワ咲く盛金富士
熊の山と盛金富士は奥久慈の入り口に久慈川を挟んで互いに対峙する両門番のような存在です。門番と言ってもたかだか300mちょっとという標高ですからあまり威厳はありません。普通の脚のハイカーならついでのもう一山とか言いながら両方登ってしまっているようです。
でも登りやすいからと言って凡庸な山と言うことはありません。両山ともその展望はすばらしく、小さな山がひしめく準平原のような山並みは常陸の山ならではの景観です。さらに盛金富士のイワウチワ群落はこの山に登山者を集める理由のひとつです。淡いピンクの可憐な花群は常陸の山に春を告げる便りです。

関連ページ 盛金富士 http://www.kimurass.co.jp/moriganefuji.htm
【日程】 2020年3月22日(こちら)
2023年4月1日(こちら)
【山域】 奥久慈
【天候】
【アクセス】 那珂インターから国道118、あるいは日立中央インターから峠越えを繰り返して袋田の滝経由で国道118。
下小川駅を目標にしますが国道から下小川駅は標高差がある上に久慈川を隔てているので直線距離ではすぐ近くなのに回り道をしなければならず意外に遠いです。
なお以前は自動車も通れた平山橋は現在(2020年3月)一部破損していて自動車は通行できません。
また現在(2020年3月)水郡線は下小川駅の次の駅から(西金〜大子間)水害被災のため運休となっています。鉄道でのアクセスは下り方向では差し支えありませんが上り方向では代替バスとなるため不便です。2021年夏再開の予定だそうです。


(追記)平山橋は自動車通行可能となりました。車幅2.3mに制限されていますので大きめの車は難儀します。やはり下小川橋から回り道するほうが安心です。なお、水郡線は全面開通になっています。
【駐車地】
水郡線下小川駅前に大きな駐車場。
駅の駐車場ですが実際は登山者用駐車場になっています。トイレ、水道、自販機があります。
写真の建物はかわいい駅舎。
【コース】

下小川駅駐車場 - 平山橋 - 登山口 - 見晴台 - 字合流点
- 熊野神社石段 - 熊の山 - 丁字合流点 - 墓地 - 下小川橋
- 盛金富士登山口 - 伐採地−下小川駅駐車場

一般向き 4時間
      熊の山            イワウチワ群落
【メモ】
(2020年3月22日)
下小川駅:
平山橋

下小川駅からスタートですが駅にたどり着くのがなかなか難しく、その理由は国道が駅の対岸の高いところを走っていて駅の段丘まで降りるのにちょっと遠回りする必要があるからです。おまけに久慈川を渡る平山橋が先の台風19号の被害で一部破損していて自動車は通行できずかなり先の下小川橋まで行ってから戻らなければなりません。
下小川駅はこぢんまりとしたかわいい駅舎です。もちろん無人駅。駅前には広い駐車場がありさらにはきれいなトイレ、自販機などもあってハイキングコースのスタート点としてはこれ以上は望めないくらい恵まれています。
駅前から左手に舗装道を進むと踏切の先で平山橋を渡ります。沈下橋として有名ですが一部破損しています。
台風の当時には濁流が狂ったように流れる映像を見ましたが今はいつもの清流がゆったり流れています。川底を覗くと大きな魚が幾匹も泳いでいました。
清流久慈川
久慈川は山間を流れる川ですが意外に急流箇所は少なく渓谷を縫うような激しい流れは袋田〜西金間くらいなものです。むしろゆったり流れる河川の印象があります。
下流側は常陸大宮からは平野を流れますし、上流側は大子から源流部の八溝山まで高原状の地形となってこれもゆったり流れています。興味深いのは、にもかかわらず両岸(特に左岸)の地形は切り立った断崖が続き袋田の滝や奥久慈男体山、奥久慈岩稜など険しい景観が続いています。地形の不思議さを感じる山域です。

石仏を祀った小さな堂はヤブツバキが満開
花いっぱいの山里歩き:
国道を渡り急な舗装道を登るとやや平坦な道となります。ゆったりと住宅が点在する里の道です。南向き緩斜面のためかどのお宅も陽当たりがよく花が咲き乱れて心和む風景です。ちょうど水仙やクリスマスローズが満開の季節を迎えて賑やかでした。
最後の人家の近くに石仏を祀った小さな堂がありました。ヤブツバキに覆われてなんとも和やかな風景です。
道はそのまま山道に変わりしばらくはなだらかな雑木林の中を歩きます。
広葉樹の尾根道
おおむね樹林の中の道ですが熊の山・熊野神社へ通じる参道ですからよく手入れされて歩きやすい道です。
徐々に急登となり途中展望台と示された展望地や三角点峰などもありよい休憩ポイントになっています。
展望台からは西に大きく立ち上がっている盛金富士を望むことができます。
何度か登降を繰り返し丁字路に達します。左が下小川橋へ通じる下山路、右が熊の山方向です。
熊の山方向へは尾根から外れて巻き道となっていて少しだけ深山の雰囲気が感じられます。ヤブツバキが多くたくさんの深紅の花を開いていました。しばらく水平巻き道をたどると左手に熊野神社の鳥居と石段が現れます。200段以上と聞いていますがけっこうきつい石段です。

熊の山頂上・熊野神社
熊の山:
登り着いた頂上からは一気に展望がひろがります。久慈川を下った先には遠く水戸方面の平野が見えます。その先には太平洋も見えるという話ですがあいにくもやっとした天気で遠望はききません。平野と言えるのはそこのみで後はぐるり山ばかりです。標高が低いためほとんど注目されない常陸の山ですがうねうねと小さな山がたくさん連なって準平原のような独特の景観を見せています。知れば知る程にその魅力に気づかされる山々です。
久慈川を挟んで間向こうにはいつも対で語られる盛金富士が均整のとれた姿でどっかと立ち上がっています。
一方北の方向に目をやれば奥久慈を代表する男体山も視界の中です。天候がよければ日光方面も見えるらしいですが今日はかないません。
暑いくらいの陽差しの下でゆっくり昼食としました。

       盛金富士

ヤブツバキ

下山路では花を楽しむ:
下山は下小川橋へ直接下る道をとりました。
ここまであまり山の花には会えませんでしたがこの下山路では楽しい花たちに会えました。印象的だったのはヤブツバキです。とにかく個体数が多く熊の山直下ではほぼ純林と言えるほどです。
さらにくだって沢筋に近づくとマムシグサやハナネコノメなどが楽しめました。
足任せにどんどん下って突然国道脇の畑に飛び出しました。
ここで国道に出てしまうと思わぬ難儀をすることになりますので畑中の農道を右にたどってからさらに急下降して国道をくぐって下小川橋たもとに下り立ちます。
下小川橋で対岸に渡り次の盛金富士に向かいました。
下小川橋付近は台風19号の傷跡が生々しく残って目を覆うような惨状を見ることになります。床上浸水のあとも痛々しい住宅や大量のゴミが引っかかった竹林などが放置されたままです。

盛金富士:
イワウチワ

疲れた足を叱咤激励して盛金富士へ。もちろんイワウチワが目的です。以前は花期は4月に入ってからでしたが最近はかなり早い開花時期になっているようです。それにしてもちょっと早いかなと心配していましたが先にこちらに登ってから熊の山に登ってきたハイカーの話ではちょうどよい咲き具合とのことでこれは行かずばなるまい。(郡山からというその方は私たちがまだ熊の山だというのに盛金富士でイワウチワを楽しんで早くも熊の山まで登ってしまったわけで、我々がダメ過ぎるのかあちらが健脚すぎるのか、きっと両方ですね。)
盛金富士はみなさんによく知られている頂上直下の群落とは別の秘密の花園へ。最近イバラに覆われてちょっと行きにくくなってしまいましたがやっぱり人知れず咲くイワウチワ群落に会えると、おお、また会えたねとうれしい気持ちになります。

(2023年4月1日)
秘密の群落には行けず:
前回同様のコースで巡ってきましたが残念ながら秘密の群落へ通じる作業道跡がヒノキ植林地となって消えていました。ちょうど3〜5年程度の若木でまだ枝打ちもされていないためとても通過できる状態ではありません。また遠望したところ群落の場所もヒノキ林に覆われてしまっていました。残念。
仕方なしに重い足を持ち上げながら頂上直下の群落まで登りました。こちらは終盤ながらまずまずの咲き具合でした。

みごとな山桜:
目指していた秘密のイワウチワ群落はちょっと残念でしたが、その代わりと言ってはなんですが見事な山桜を楽しむことができました。盛金富士の登路から西方向の尾根斜面を薄ピンクに染める大群落です。
近くまで行って眺めたいものですが地形図を見ても尾根が複雑に入り組んでいて同定できません。いつか満開の機会に探し当ててあの花の中にたたずんでみたいものです。

 
【便利帳】  トイレ:下小川駅
コンビニ:国道を走っているうち早めに。
【寄り道】 道の駅常陸大宮・かわプラザ
舟納豆ファクトリー 工場見学
舟納豆は道の駅かわプラザでも買えます。

    舟納豆
【収穫】 2020年3月22日 16片 120g  (^_^;
2023年4月1日  3片 10g
 
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