【メモ】 |
黒滝山不動寺:
馬の背渡り
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駐車場から急な舗装道を登ると黒滝山不動寺です。
よくぞこんな場所にと思うような断崖の中腹の平地に立派な寺院が建っています。
左手に鐘楼、右手に山門、本堂などが並んでいます。どれも立派なものです。それもそのはず、1675年開山という古刹で、黄檗宗黒滝派本山です。私たちがうろうろしていたわずかの時間にも何人もの参拝者が訪れていました。私たちもなにがしかのお賽銭を入れて今日の安全をお願いしました。
登山道は寺の前を通り過ぎて山道へと入ります。
いったん林道に出て峠で左の山道に入るといよいよ馬の背渡りの難所です。
馬の背渡り:
馬の背渡りは両側が切れ落ちた岩尾根でハシゴ、鎖の連続する急登です。転落すればただでは済まないでしょうから高所の苦手なハイカーは肝を冷やすかもしれません。
ハシゴも鎖もしっかりしているため慎重に登りさえすれば問題なく通過できますが、途中一カ所だけ大岩の鎖場がありその鎖が緩いため下りにとると難儀するかもしれません。
こんな尾根ですからあまり落ち着いて展望を楽しむ余裕も出ませんが、それでも振り返れば黒滝山から荒船山へと続く稜線の紅葉や今し方通ってきた峠道などを眼下に眺めることができます。爽快な眺めではありますが、足下を考えるとさっさと通過したくなる様な気分です。
尾根はきれいな落葉樹帯:
馬の背渡りの岩場を通過するとあとはなだらかな尾根道です。
とはいえ、左右は切れ落ちていますから気楽に尾根を外すと危険です。
見晴台直前で左に捲き道があります。見晴台は行き止まりなので展望を楽しんだらここまで戻ってその捲き道で見晴台の先に回り込みます。
九十九谷分岐を経てさらに尾根上を進むと最高ピーク観音岩で一気に西上州の展望が広がります。しかし、残念ながら折からの季節外れの黄砂でうっすら影絵のような展望でした。
それでも隣の四ッ又山や鹿岳(かなだけ)、大屋山、立岩、大岩、碧岩、大津など周囲の山々の展望は見事です。
圧巻の九十九谷:
分岐まで戻って西に下る尾根道をたどると徐々に露岩の道となり九十九谷の縁の絶景ポイントに飛び出します。尾根直下から底瀬川の谷まで落ちる巨大な一枚岩で紅葉に纏われてそれは素晴らしい景観です。
見下ろせば上底瀬の集落と山畑がまるで箱庭のようです。
しばし展望を楽しんだらさらに先に下ります。上底瀬への下山路分岐を過ぎ一登りで鷹ノ巣山頂上。ここも展望台なのですがや
上底瀬の山畑
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はり黄砂に遮られて近場の山々しか望めませんでした。
分岐まで戻り九十九谷への下山路を一気に下ります。あの一枚岩を下る豪快な道かと思っていましたが、案に反して樹林の中の単調な下りです。
かつてこの道はあまりはっきりせず仕方なし下底瀬へ下山したことがありましたが、そちらも崩壊して落石に肝をつぶしたことがあります。こんないい道ができてこの周回も安全に歩けるようになったものです。下底瀬への道も分岐を見た限りではしっかりした道になったようです。)
最後は荒れた竹藪を抜けて上底瀬の道路に飛び出しました。
のどかな山村風景:
上底瀬は典型的な西上州の山間の集落の風景をしていて下山後にのんびり歩くのもまた楽しいものです。
ちょうど蒟蒻芋の収穫後で蒟蒻芋でいっぱいのパレットがたくさん置いてありました。
農家の庭先で収穫した蕎麦の殻打ち作業をしていたのでちょっとお話をお聞きしました。自家消費分だけを作っているそうですが、今年は気候のせいで草丈ばかりが大きくなってしまいあまりよいできとは言えないそうです。
その上流の別の農家では小豆の乾燥作業の最中でした。やはり今年の天候の異変をこぼしていました。イノシシの被害も多いそうです。のどかな風景は休日だけ遊びに来る私たちだけのもので、やはり山村の仕事は厳しいものです。
案内標識に従って林道に入り、黒滝山不動寺まで約1時間弱かかって戻りました。
山名等:
黒滝山は黒瀧山と旧字体を使う例もありますが村の教育委員会では黒滝山を採用しているようです。もちろん不動寺は黒瀧山かもしれません。ただし、寺院内の表記にも黒滝山としているものもあり、いずれも使われているようです。
九十九谷は「くじゅうくたに」が正しい読み方です。現地には「つくもだに」と仮名がふられた案内板もありますが不動寺の和尚様に伺ったところ看板屋が間違って書いてしまってそれが一部に広まってしまったそうです。
ちなみに下底瀬に下山したところにある橋は九十九谷橋で「くじゅうくたにばし」と彫られてあります。 |