【メモ】 |
第1お花畑の大雪田と緑岳
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いきなりの急登、その先の大雪田:
大雪高原温泉には温泉旅館とヒグマ情報センター、森林パトロール事務所があります。登山カードに記入していざ出発。(高根ヶ原に登るルートはヒグマ出没のため通行止めとなっていました。)
温泉特有の噴気の昇る平坦地の先で登山道に入り、いきなり急登です。混交林のなかの暑苦しい道で、ここは我慢。やがて傾斜が緩むと広大な雪原に飛び出します。第1お花畑です。前方に緑岳を高く見上げることになります。雪が消えれば湿性お花畑となるそうですが、地元ハイカーの話では、これだけ雪が残っていると花は8月になってからだろうとのことでした。左の写真に写った先を歩く2人のハイカーを見れば雪田の大きさが解ります。
雪田は3カ所あり、いずれもまだまだ広大でしばらくは消えそうにありません。最後の3番目の雪田は傾斜も急で、滑落しないように細心の注意を払いながらの通過となりました。その上部端末は崩壊地となっていて特に注意しなければなりません。
雪田を通過すると今度はハイマツ廊下となります。途中わずかに裸地となっているところがあり、ここにコマクサが咲いていました。頭上にはうんざりするほどの高さで緑岳がのしかかっています。
緑岳の急登:
緑岳〜小泉岳の乾性お花畑
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緑岳の登路は急登ですが、背後に石狩岳、左に高根ヶ原を望んで気分のよい道です。眼下には今しがた歩いて来た雪田やハイマツ廊下が一望です。
緑岳は見上げるとその名の通りハイマツの緑に覆われていますが、歩いてみると大岩が折り重なっていて実際は岩屑の山です。そのためけっこうバランスを要求される急登です。
徐々に高山植物が多くなり、イワウメ、イワヒゲ、マルバシモツケなどが目につきます。やがて突然のように緑岳頂上に飛び出します。下から見上げると大きな山体ですが、行く手の小泉岳がさらに高いためか頂上は単に通過点という感じでちょっと拍子抜けしてしまいました。しかし、最初のピークですから展望は素晴らしく、高根ヶ原や白雲岳など大雪山の大きな広がりを実感できます。
乾性お花畑、次から次と花、花、花:
緑岳から小泉岳までは乾性お花畑の連続です。小石を敷き詰めたような表土をたくさんの花が覆っています。とりわけイワウメとエゾオヤマノエンドウがここの主役で、薄クリーム色と濃紫の取り合わせがなんとも鮮やかです。ほかにホソバウルップソウ、チョウノスケソウ、コマクサ、エゾタカネスミレ、エゾタカネツメクサ、キバナシオガマなども彩りを添えています。とにかくここの花の種類と量、並みじゃありません。小泉岳までずっと切れ目なく花は続きます。
小泉岳登りのお花畑と緑岳 遠景は高根ヶ原、化雲岳方面
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どこが頂上なの? 小泉岳:
平坦な小泉岳 飽きるほどに花は続く
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ヤンベタップ源流雪渓を横切って白雲岳避難小屋に通じる道を左に分けると小泉岳までのだらだら登りが始まります。この緩やかな小泉岳南面を小泉平と呼ぶそうで、乾性高山植物の大群落となっています。花を楽しみながらですからつらい登りではありませんが、見た目より意外に時間もかかります。
小泉岳頂上はケルンがなければ気付かずに通り過ぎてしまいそうです。そのくらい小泉岳はだだっ広く平坦です。赤岳方面からの道に出会って初めてそこより今通り過ぎたケルンの地点の方が高いことに気付くことになります。
銀泉台、赤岳から来た道との出合いには休憩にちょうど良いベンチが置かれています。いままで見えなかった北海岳、凌雲岳などをここで初めて見ることが出来ます。熊ヶ岳、間宮岳など先年裾合平を目指して歩いた稜線も見えます。。
白雲岳が間近に見えますが、実際には見えるのは手前外輪山で頂上はその先になります。
白雲岳:
構造土の平坦な火口跡と白雲岳
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白雲岳へは緩く下って白雲分岐、そこから岩の折り重なった外輪山を越え、さらに典型的な構造土の火口跡を左に見ながら進みます。この火口跡はまるでスタジアムのような平坦な地形で、周囲には湿性お花畑が広がっています。小泉岳までの乾性お花畑では見られなかったチングルマ、エゾコザクラ、エゾツガザクラ、ハクザンイチゲなど湿性高山植物がきれいです。
最後に大岩を縫うように登れば待望の白雲岳頂上。なんという大景観。まず眼に入るのが後旭岳の縞々模様の雪渓です。その雪渓の下った先の旭岳南面域の平坦な原生林と湖沼湿地帯も魅力的です。そして高根ヶ原から忠別岳、化雲岳を経てその先にひときわ高いトムラウシ山、なんと雄大でかつ優しい景観でしょう。高根ヶ原にはかつてトムラウシ目指して歩いた道が一筋続いているのがはっきり見えて懐かしい気分に浸りました。
雲もすっかりとれて遠望が効くようになり、十勝連峰のオプタテシケ山、十勝岳などもはっきりしてきました。
(下山の途中では阿寒の山、斜里岳、さらにはなんと知床まで遠望できました。)
しばらくはこの展望を楽しみながら休憩して、下山は往路をそのまま戻りました。
最後にダイセツヒナオトギリに逢う:
いろいろ花のうんちくを語っていただいた帯広のカメラ小僧氏が別れ際にダイセツヒナオトギリの生育場所を教えてくれました。
ホントに小さな花ですが、よく見るとなるほどオトギリソウそのものです。この生育地、そこだけにしかない絶滅危惧種(Cr)だそうです。
白雲岳火口跡のキバナシャクナゲ
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