【メモ】 |
2010-12-19
荒れた涸れ沢を登る:
シモバシラ
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駐車地からしばらく林道をたどり山道になるとほどなく登山道が大雨の繰り返しで沢になってしまったという感じの涸れ沢を登るようになります。(本物の沢は右下を流れています。こちらも涸れ沢です。)刈り払いをしてありますが道の左右を見ると刈り払い前はトゲのある木や雑草が生い茂っていたようです。
途中でシモバシラを見つけました。地上部が枯死しても維管束を伝って水分がしみ出しそれが凍って茎に霜柱様の氷がつく不思議な植物です。
小滝、といってもポタポタと水滴が落ちているだけの崖ですが、そこをトラロープをたよりに登ると山道らしくなり背後の山々も振り返られるようになります。
ふと左上部を見上げると突然奇っ怪な岩塔が目に飛び込みました。これがじじ岩ばば岩か。自然の造形というにはあまりに奇怪な。
唐突な対面に一瞬不思議な感覚に包まれさえしました。
登り道で頭上を見上げることはあまりないのでそれと気づかずに通り過ぎてしまうこともありそうです。
そのまま山道をたどるとあたりはきれいな落葉樹林になりすぐにじじ岩ばば岩に続く尾根の鞍部に飛び出します。これまでの登路とは一変してすっきりとした尾根です。
見上げると御堂山辺りはまだまだかなり登らなければならないようで、ひとまずじじ岩ばば岩を目指すことにしました。
不思議な岩塔:
じじ岩ばば岩に向かう尾根はやせ尾根ですが木々が適度にあってさほど危険は感じられません。むしろ岩を縫ったり木の根頼りに登ったりの楽しい道です。最後に急登をこなすと突然至近にばば岩とじじ岩を眺める岩棚に飛び出します。
自然の不思議としか言いようがありません。よくぞこの微妙な形状のまま存在しているものだと感動します。さらに驚いたことにはばば岩は一体ではなくなんと左側部分がわずかな隙間で分離していました。
じじ岩ばば岩から帝釈岩上部尾根
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露岩の馬の背尾根をわずかに進むとじじ岩基部まで、さらにはじじ岩を少しだけ登ることもできるようです。私たちは危険そうなのでじじ岩基部まで行って見上げるだけにしました。
嬉しいことには振り返れば大きな展望も広がっています。なんと言っても大きく横たわっている荒船山が雄大です。その手前には物語山がめんべ岩を従えて聳えています。のどかそうな山村風景も信州街道沿いに伸びています。
さらに浅間山、高岩、鼻曲山なども見えます。
いつまでも座って眺めていたい場所ですがまだまだ頂上は先のようですから先ほどの鞍部まで戻り、頂上を目指しました。
急登で御堂山頂上へ:
鞍部からしばらく落葉樹林の登りですが一登りすると薄暗い檜植林地となります。斜面をトラバース気味にたどり高石峠分岐の鞍部に出ればそこからさらにひとがんばりで御堂山頂上です。
しかし期待に反して樹木のせいで展望はあまり得られず、わずかに表妙義が木々の間に眺められる程度です。とはいえ、妙義山の展望としてはけっこう特異な方向のようで、妙義山を真正面から見る角度となっています。それだけに迫力十分です。
数十メートル先に小ピークがありましたので頂上を避けそちらで昼食にしました。ここまではハイカーも来ないので初冬の日を浴びて静けさを楽しみました。
この小ピーク手前に熊棚を見つけました。こんな頂上近くまで登ってくるのにはびっくりですが、あのでっかい身体でかなり枝先まで登ることにもまたびっくりです。
帝釈岩へ:
帝釈岩の尾根からじじ岩ばば岩の好展望が得られると聞いていたので回り道してみました。
頂上から戻り、いったん大下りして登りの際にチェックしておいた尾根の踏み跡に入りました。あまり人の入っている気配は少ないですがそれでもどうにか踏み跡はたどれます。
帝釈岩上部尾根の展望岩からじじ岩ばば岩の全貌を見る
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ここも尾根の両側は落葉樹が美しい斜面で、尾根も露岩を縫って快適です。右手には木の間越しにじじ岩ばば岩が対峙し、一方左手には赤松の尾根を眺め(結局地形図上のどの尾根か判断できませんでした。)その先に上州の平野を見通せます。
やがて大岩を回り込んで岩棚に出ると素晴らしい景観が待っていました。
じじ岩ばば岩の好展望台であるばかりか、その先の物語山、荒船山などが一望です。振り返れば大桁山が大きく、小沢岳など下仁田南部の山々もすぐ隣です。
一方、遠景もさることながら御堂山から滑る落ちるように高度を落とす周囲の枝尾根もなかなかの景観です。赤松と岩尾根の取り合わせはなんといっても日本の風景そのものです。
ここで地形図を眺めて、どうもこの岩棚は地形図上に記入のある帝釈岩とは別の場所なのではないかと気づきました。ではこの目の前の景観のどこが帝釈岩なのかというとそれらしい岩場も見当たりません。結局今も解らずじまいです。とりあえずは帝釈岩上部尾根と解釈して自分の中では決着。(^_^;
峯沢を下る:
いったん尾根を戻り、さらに高石峠分岐まで戻りました。
できれば峯沢を下って本宿に戻り周回コースとするもくろみですが、データがありません。果たして行けるのかどうか。もし下れないようなら尾根通しに進んで高石峠周りとして車道歩きを我慢するつもりでした。
高石峠分岐からは植林地をトラバース気味に下って再び尾根に出ます。尾根をわずかにたどると本宿分岐を指し示す小さな案内板がありました。難路と注意書きが加えられていますがどうやら行けそうです。直進すると高石峠のようです。
分岐した道は最初こそはっきりしていましたが植林地の中の急降下をしているうちにほぼ消えてしまい、その先をさほど多くはないテープマークをチェックしながらたどると枝尾根は左右の涸れ沢の合流で尽き、沢を歩くようになりました。ほぼ涸れ沢ですが落ち葉が岩を埋めていますので歩きにくいことこの上なく、なるほど難路だと納得しました。ところが難路の意味はこんなことではなかったのです。下るうちに周囲が高い岩壁となってきていやな予感はしたのですが、そのうちゴルジュ状の谷となり沢はナメ滝となりそれが落ち葉に埋もれて足下が判断できません。そして最悪だなぁとうんざりしたことにはナメ滝の末端で小滝の上に出てしまいました。なんとか右手に足場を探して回り込んで降りましたが尻をついて濡らしてしまいました。沢を下るのは禁物と言われますが、さすが岩だらけの山、こんな低山でも鉄則は鉄則だと再認識しました。
しかし難儀はしたもののこの辺りの景観は左右の岩とナメ滝と落ち葉を敷き詰めた落葉樹林とがなんとも素晴らしい雰囲気を見せてくれました。
やがてはっきりした山道に出てその先は奥深く伸びた林道となり、猿に出くわしたりしながら程なく本宿の駐在所先に飛び出しました。駐車地までは車道をのんびり戻りました。
熊棚 |
パワースポットだそうです(^_^; |
2017-11-11
ババ岩
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荒れた登山道:
前回訪れたときに比べて林道も登山道もすっかり荒れてしまいました。それだけに登山者も少ないようで、この日他の登山者に会うこともありませんでした。
途中、小滝の脇を登る岩場に固定ロープがありますがすでに古くなって体重を掛けるのに躊躇してしまいます。でもそれ以外は足場は悪いものの注意を払って歩けば特に危険なところも少なくやがてジジ岩ババ岩分岐の鞍部に登り着きます。鞍部から左の尾根を進み岩峰を右に巻いて木の根頼りの急斜面を登るとジジ岩ババ岩手前の岩棚に飛び出します。ここで奇岩を眺めながら昼食にしましたが、見れば見るほど奇っ怪な自然の造形です。
あまりにインパクトが強いせいで、一同ここですでに本日の山行は完了という気分になってしまって頂上はカットすることに全員一致。(^_^;
展望岩から眺める奇岩群:
先ほどの鞍部まで戻り少し登り返すと右に戻るような踏み跡がありここから展望岩までかすかな尾根道が延びています。
展望岩からはジジ岩ババ岩の岩峰群を近景に背後に荒船山を重ねて素晴らしい景観が広がっています。見下ろす一帯の支尾根の複雑な形状を見るにつけ木々を纏ったその下に存在する岩の重なりを想像して今更ながら西上州の山の魅力や怖さを思うことができます。 |
鮮やかな紅葉の中を下山:
ゴロゴロと石の重なる登山道や固定ロープに頼る小滝の下降などまだまだ駐車地に着くまでまで気が抜けませんが周囲の紅葉の鮮やかさが気分を軽くしてくれます。
全体黄色に色づいている樹木が多いのですがその中にもこれでもかというほど真っ赤な紅葉も混じっていて思わず立ち止まってカメラを構えることが何度もありました。 |
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【便利帳】 |
トイレ:山中にはありません。道の駅しもにたや下仁田駅で済ましておいた方が無難です。 |
【謝謝】 |
参考ガイドブック 新・分県登山ガイド 群馬県の山 山と溪谷社 |
【収穫】(^_^; |
2010-12-19 48片 30g
2017-11-11 16片 180g |
【寄り道】 |
姫街道を走って本宿(もとじゅく)の中程にある古月堂の「本宿どうなつ」は仲間の一押し和スイーツです。あんドーナツですがまぶした砂糖がなぜかさらさらのままで甘党には絶品です。
「ドーナツ」じゃなくて「どうなつ」ってのがいいですね。
本宿はかつての宿場の雰囲気を残している風情のある町で、お行儀悪いですが本宿どうなつをほおばりながら歩くのもいいかも。 |