【メモ】 |
白樺林からコースが始まる:
登山口から少し登ると分岐があり右をとると山道らしくなります。あたりは白樺林です。以前は左手の沢筋にミズバショウ群落もあり山深い印象でしたが、向かい側斜面が大規模に伐採されて丸坊主、なんとも殺風景な景観になってしまいました。
しばらく程窪沢沿いを坦々と歩き、丸太の架かった渡渉点で左岸に渡ると本流から別れて登山コースは右の平滑沢へと入ります。本流はここから入小屋沢となります。(ここの渡渉点には丸太が架けられていましたが、下山時には折れて水流の中に倒れていました。どなたか水流にざぶんとやったらしく気の毒ながら自分でなくて、ほっ。飛び石で渡るのはかなり危なっかしいのでいずれまた丸太が架けられるかと思います。)
楽しい平滑沢:
平滑沢
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平滑沢に入るとやがて長い長いナメが始まります。ちょうど靴底程度の水流で、ピチャピチャやりながら登る気分はガキに戻ったようで楽しいこと。川底は緑褐色の藻の上に足を置かないようさえにすればフリクションの効く歩きやすい岩質です。(藻に足を乗せると滑ります。)
所々深みもあり巻くこともあるものの、概ねナメをそのまま登るのが楽なようです。私は布靴でしたが、台風や秋の長雨の後でも靴を濡らすことも少なく快適でした。皮靴ならさらに安心です。
途中、2,3カ所ロープもありますが、水に浸かっていて、あまり信用しない方が安全です。
沢を離れる地点がちょっと迷いやすく「沢からは左に離れる」ことを念頭に入れて置いた方がいいようです。ナメが終わった先に右(左岸)に巻くような取り付きがありますが、この道はやがて消えます。この踏み跡を進んでその先の次の沢まで行きそうになったハイカーがいたとキノコ採りのおじさんが言っていました。気をつけなければならないポイントです。沢を離れる正しいポイントはさらに沢を詰めて左にはっきりした道が上がっていく地点です。
ブナとしゃくなげの急登:
平滑沢から離れるとブナの森の中の急登となります。所々展望が得られ、眼下のブナの見事さを味わいながら休憩にちょうど良いポイントとなります。ブナの森のなかにぽっかりと沼の平の湿原が見下ろせます。
しばらく我慢の急登をこなすと大岩が現れ、あたりはシャクナゲの群落となります。かなりの密度の群落で、開花期は見事なことでしょう。
さらに大岩を超えたり木の根をまたいだりの登りになりますが、それもわずか、突然、灌木帯に飛び出します。ここが賽の河原です。
大展望の頂上:
荒海山・日光方面の展望
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尾根に出たら右にわずか登ると待望の七ヶ岳山頂、一等三角点と立派な山名標識があります。背丈の低い灌木が取り巻いているものの、展望の邪魔にはなりません。素晴らしい展望です。遠く、飯豊連峰まで届く大展望です。
山岳展望もさることながら駒止湿原と田代山湿原、目の下には沼の平と3つの湿原が眺められるのもご愛敬です。
また、先ほどたどった程窪沢の上流、入小屋沢流域のブナの森は圧巻です。しかし、登山口から続く大規模伐採が迫っていて運命が危ぶまれます。この森が大川、ひいては阿賀野川の豊かな水の源であることを思うと、案じないわけにはいきません。
会津駒から三岩岳に続く山脈、燧岳、帝釈山脈、荒海山(太郎山)、男鹿山塊、那須、二股山、大戸岳、小野岳、博士山、志津倉山などを中景に、それより遠く浅草岳、越後三山、上越国境、日光連山、磐梯山、吾妻連峰、飯豊連峰、下越の山々、下田の山々など第一級の大展望です。近くには田島から駒止に続く準平原、奇怪な岩を連ねる唐倉山なども見下ろせます。まさに去りがたい頂上の眺めです。
休憩にはちょうど良い雰囲気の頂上ですが、10数人でいっぱいになるくらいの広さですから、わずかに戻ってガレ地で休むのもいいかもしれません。風が当たるのと東側が断崖なのでちょっと注意は必要です。
ただ一つ目障りなのはたかつえスキー場方向の高倉山に電波塔が場違いな姿で建っていることです。
幻の滝:
入小屋沢滝
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下山は往路をそのまま戻りました。ナメを下るのですから登りよりも気を使わなければならず、けっこう消耗します。
平滑沢が本流に合流する地点に右に別れる踏み跡があります。古い地形図には破線の記入がありますが、現在ではそれはすぐ先で消えてしまいます。その道をたどるとすぐに本流の入小屋沢に出ますが、そこから木の間越に大きな滝を見つけました。かつては道があったのですから知られていない滝ではないでしょうが、今は簡単には近づけません。沢づたいに進んだものの行き詰まってやむなく高巻くと傍まで達することができました。じつに豪快で、それでいて美しい滝です。轟音を響かせていますが、今これを知っているのはたぶん自分の他にはほとんどいないのだろうな、と思うと興奮しました。秘密の滝です。
一見の価値あり、です。
色づいた白樺林を下山
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