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鋸山 のこぎりやま 764.9m豪雪の賜・豪快な山肌と全山埋め尽くす花々
春の越後の低山は残雪と花々と淡い新緑とが絶妙なコントラストを紡いでまさに雪国の春の喜びいっぱいです。
豪雪地帯特有の磨かれた山肌はこれが1000mに満たない山かと驚かされます。
鋸山はそんな典型的な越後の低山で、長岡の東に連なる東山と呼ばれる連山の最高峰です。まるで会越国境の厳しい山々と長岡平野を区切るような優しい姿をしています。しかし長岡の裏山といえどもさすがに豪雪地帯、一歩分け入るとミズバショウ、カタクリ、イチリンソウ、イカリソウなど至るところに咲き乱れ、残雪を踏んで豪快な山歩きを楽しむことができます。また、頂上からの大展望は特筆すべきで、真っ白な守門岳に圧倒されます。ぐるり360度遮るものがありません。
(2002-4-21)
歩き始めるや、いきなり谷を埋める大量の残雪と磨かれた岩盤に出くわし、低山といえども豪雪地帯の山の豪快さに圧倒されました。とにかくその花の豊富さにはただただびっくりするばかり。
(2003-4-27)
前年には気付かなかった雪割草(オオミスミソウ)群落、花は咲き残りの数輪しか見られませんでしたが角田山、弥彦山の山群以外にも意外に広く分布していることがわかりました。また頂上の先のイワウチワ群落はちょうど花盛り、可憐な姿を楽しみました。

  眼前に広がる守門岳の勇姿

【日程】 2002年4月21日
2003年4月27日
【山域】 越後
【天候】 薄曇り
【地図】 1/25000半蔵金
【アクセス】 長岡ICから国道8号長岡バイパス、国道17号と長岡を半周して悠久山公園を目指し、悠久山公園脇の狭い道ををすり抜けるようにして国道352号に出ます。国道17号を南進して352号へは直接下りられないので注意が必要です。
国道352に出たらあとはほぼ一本道、どん詰まりが登山口です。(国道352はヘンな国道で山越えができず途中で一旦消えてしまいます。)
【駐車地】 登山口に駐車可能。ただし山菜取りの車であふれて路肩に延々と駐車の列が続いています。いかに長岡市民に親しまれているかわかります。
【コース】 登山口(天狗の泉)−いっぷくもみじ−小雪田−花立峠−鋸山−電波反射板 (往復)
(4時間 初心者向き)

【メモ】 あふれる駐車場、なるほど人気の山:
栖吉を過ぎるとあたりは緑一色。山が迫って来ると山菜取りの人たちがあちこちの斜面に取り付いているのが見えます。長岡市民の格好のリクリエーションエリアのようです。
車道の終点近くでは路肩に駐車している車がざっと100台以上は数えられます。どうやら半数以上は山菜取りの人たちのようです。みんなビニル袋いっぱいに収穫してにこにこ顔で降りてきます。

いきなり豪雪地帯を実感:
沢筋を埋め尽くす残雪 あたりはコゴミの宝庫(2003-4-27)

駐車場脇が登山口となっていて、そこには天狗の泉と呼ばれる湧き水が勢いよく流れています。まずはここで水筒をいっぱいに。(車道をそのまま進んでもすぐ一緒になります。)
沢沿いの登山道をわずかに辿るともう残雪が小沢を埋めて、左右は雪に削られた豪快な岩が迫っています。さすが豪雪地帯です。
どうやらこのあたりはかつて出作りをしていたらしく、棚田の痕跡が見て取れます。そしてその平坦な耕作地跡には今はミズバショウがあちこちに顔を出して白い花を次々と見せてくれています。
少し乾いた場所にはカタクリ、キクザキイチリンソウ、ヤマエンゴサク、オオバキスミレなどが切れ目なく続いています。この花の繰り返しはずっと稜線まで続きます。またコゴミもたくさん繁茂していて山菜取りもここならあっという間に篭をパンパンに満たすことができそうです。
いっぷくもみじのあたりでは花の乱舞という感じでさらにアブラチャンの林も花盛り、なんとも贅沢の極みです。

稜線からの眺め:
やがて稜線に出ると一気に眺めが広がって、長工新道尾根の磨かれた岩場が豪快に落ち込んでいる光景が目に飛び込みます。たかだか700mの標高とはとても思えません。
さらに主尾根に出るとそこが花立峠、振り返ると海側の展望がひろがっています。長工新道を右に分け、さらに半蔵金(はんぞうがね)方面への登山道を右に分け、鋸山の名前の通りの細かい登降を繰り返してやっと鋸山山頂です。

息をのむ大展望:
頂上からの眺めは息をのむほどです。なんといっても圧巻は守門岳の勇姿。さらに浅草岳、毛猛山塊、八海山、平ヶ岳や、北に弥彦、角田の日本海沿いの山、南西には米山や遠く妙高の火打山まで越後をとりまく山々がほとんど見
守門田のミズバショウ
通せます。ただ、北東側だけは木の間越になってしまいますが、さらに尾根通しにわずかに進むと電波反射板があってそこから粟ガ岳や矢筈岳などの川内下田山塊が一望です。
また眼下の半蔵金の丘陵も独特な景観でちょっと魅力です。栃尾方面の丘陵帯もその広がりが爽快な眺めで、ここはいつまでいても飽きさせません。

ついでの脇道・守門田(すもんだ):
登山口まで戻り、そこから植林地を登り返すとミズバショウ群落があるという予備知識を仕入れていたので、天狗の泉そのすぐ脇のかすかな踏み跡を登ってみました。ミズ(ウワバミソウ)の生える陰気な荒れた植林地を登るほどにだんだん道形が怪しくなり、ついには出作り小屋の跡らしき建物のあたりで完全に踏み跡を失ってしまいました。うろうろ探し回ったところやや戻った場所に石塔がありその奥に分け入ってみるとぽっかり湿地がありました。縁を飾るようにちょうど良い咲き具合のミズバショウ群が並んでいました。ただ、周囲は薄暗く陰気な樹林の中なので、あまり人も来ないようです。鋸山の登山道脇でたくさん見た上、またここまで来る人もいないのでしょう。

鋸山花図鑑

  イワウチワ

  イカリソウ

  マンサク

  オオバキスミレ

コシノチャルメルソウ

  エゾエンゴサク

  ヤマエンゴサク

  ユキツバキ

  コウライテンナンショウ

  スミレサイシン

ショウジョウバカマ白花

 アラゲヒョウタンボク

 カンアオイ

 キクザキイチゲ

  キブシ

(2003-4-27)
頂上手前の西側が切れ落ちた場所に雪割草の群落がありました。遅れて咲いたのんびり屋の白花がいくつか見られました。
頂上の先、電波反射板を過ぎて50mほど左手斜面にはイワウチワ群落があります。頂上手前にもたくさんのイワウチワがありますが、花期はとっくに過ぎている上、花柄もちらほら、どうやら尾根筋は葉ばかり繁って花付きはかんばしくないようです。
電波反射板で休憩していたら南側斜面でドドッという音とともに小さな雪崩が。低山といえどもさすが豪雪地帯です。
【便利帳】

トイレ:登山口にはありません。悠久山公園とか長岡市内で済ませた方が無難です。
コンビニ:長岡バイパス