野々海池 ののみいけ 1135.5m(長野県最北端峰)
残雪とブナとミズバショウの信越トレイルで遊ぶ
初夏の信越トレイルの楽しみは残雪とブナの新緑です。加えて、野々海池一帯は湿地が多いためミズバショウ群落がそこかしこにあって魅力は尽きません。
野々海池から野々海峠、長野県最北端峰、深坂峠(みさかとうげ)とつないで周回してきました。
じつは前週にも出かけたのですが雨にたたられて撤退したのです。なんとしても今年も残雪とブナの新緑の中を歩きたくて2週続けての信越国境旅となりました。
前週はまだ一面の雪でしたが、たった1週間でこれほど消えちゃうものかとびっくりするほど少なくなっていました。尾根通しの信越トレイルはほぼ雪の上を歩くこともなく拍子抜けでしたが、やはりそこは豪雪で知られる地方ですから沢筋や鞍部はまだまだ大量の雪で埋まっていました。
関連ページ:
天水越ブナの森 http://www.kimurass.co.jp/amamizukoe.htm
天水山・三方岳 http://www.kimurass.co.jp/amamizuyama.htm
信越トレイルの一角・長野県最北端峰
ミズバショウ群落
雪解け水を湛える野々海池
雪田に遊ぶ
【日程】 2015年6月13日 【山域】 信越 【天候】 晴 【地図】 1/25000松之山温泉、柳島
【アクセス】 塩沢石打インター出口を右折して国道17へ。国道を左にとって600mほどで右折して国道353へ。峠越えして山崎で国道117左折。
2015/06現在国道353は工事中で時刻により通行止めとなります。その時は逆に国道17を右折して砂押交差点左折、県道経由で国道117へ。
国道117で津南を過ぎ長野県栄村に入ったら飯山線平滝駅先で案内板に従って野々海池方面に右折。林道を走ること約10kmで野々海池。道はそれほど狭くはなく急坂もありません。カーブで対向車(山菜採りの車が多数入り込んでいます。)に注意して走れば比較的走りやすい林道と言えます。【駐車地】
野々海池キャンプ場駐車場。10台以上駐車可。(キャンプシーズンに駐車可能かどうかは不明です。)
【コース】
野々海池キャンプ場 - 野々海峠
- 長野最北峰 - 深坂峠 − 湿原 - 駐車場
実行程約3.5時間 経験者向き(残雪有り)
【メモ】
野々海池:
長い林道も高原状の緩やかな森の中を走るようになるとほどなく左手に野々海池の湖面を見ます。そこからすぐに野々海キャンプ場、右手に駐車場があります。
道はここで二分し、直進すれば深坂峠を経て松之山方面へ、左折すれば野々海峠を経て菖蒲高原方面へと通じています。とはいえ、この季節はまだ雪に阻まれてどちらもすぐに通行止めとなっています。全線開通はまだ先のようですし、深坂峠の先は夏も通行止めとなる年が多いようです。
野々海峠付近の雪田
私たちは野々海峠から深坂峠へと縦走するつもりでとりあえずは左折する林道へと進みました。道の左側には野々海池、右側には湿原が広がっています。ともに周囲は雪に覆われています。その雪の解けた場所には早くもミズバショウがあちこちに咲いていました。
また、道沿いにはタムシバ、ユキツバキ、ユキグニミツバツツジ、オオバカメノキなど雪解け一番の花が咲いて花好きにはとても楽しい道です。
林道は緩い傾斜のまま蛇行していますので沢筋と交差する箇所ではまだまだ分厚い雪の層の下となり標高が高くなるにつれ雪の上を歩くことになります。
野々海峠は特徴のない峠ですがそのまま峠を越えて新潟県側を少し歩いてみたら安塚方面の展望が得られました。
峠から先は北斜面ですので雪の量はさらに増えて沢筋はすっかり雪に埋もれています。。
峠まで戻り、ここからいよいよ信越トレイルです。
峠で新潟側を向いて左手の尾根には須川峠からトレイルが延びてきていて、一方右手の尾根は深坂峠、さらにはトレイルの終点天水山を目指しています。
余談ですが、トレイルの方向はどちらから始めてもそれぞれの好みですが、パンフレットなどを見るとどれもトレイルは東進していて始点を斑尾山、終点を天水山としています。たぶんアプローチの関係で取り付きやすい方を始点としているのでしょうが、最後が(三方岳〜天水山間の)ブナの美林で締めくくりというのも理にかなっているように思えます。
まだ足跡もない信越トレイル:
ここまで林道の雪面でも、トレイルの尾根道でも足跡は見かけないのは雪解けが半ば進んでからはどなたも歩いていないということのようです。
長野県最北端付近の信越トレイル 普通の藪尾根(^_^;
尾根道はすでに雪もなく普通に低山歩きの気分でたどれます。峠から僅かに登ってからすぐに下降道になりますので少し面食らいます。雪に覆われていればうろうろしてしまうかもしれません。しかし夏道が現れていますのでここは迷い易いというほどのルートではありません。
野々海峠からしばらくはブナも少なく低木が雪のせいで道に倒れていて少し歩きにくいところもあり、せっせと行程を稼いでしまいたいようなルートです。このあたりは尾根というより高原の一角と言っていいような地形でひとたび道をはずしたらきっと難儀するかもしれません。信州側は浅い谷を埋める雪田を下れば林道に出ることができますが、越後側は山深くいずれ断崖に出くわしますので要注意です。雪に覆われている時期はナビがないと無理かもしれません。私たちも夏道を歩いたのですがそれでもナビを手にしたまま歩きました。実際途中の鞍部では雪に覆われた箇所で道迷いをしてナビの助けでルートを修正したほどです。
このルートは長野県の最北端にあたります。ちょうどこの場所かな、と思われるところでパチリ。なんの特徴もない藪に囲まれた場所でした。
道はそこからやや南寄りに曲がって進みますがすぐに三角点を見ます。今回の最高峰で、ここが長野県最北のピークということになります。北側が刈り払われていて展望が得られます。
三角点を過ぎると小さな登降の繰り返しになりますが、前半と違ってブナの巨木が見られるようになり信越トレイルらしい景観が楽しめます。地形的にもここまでのなだらかな高原状のそれとは異なり越後側に激しく落ち込む断崖上のルートになります。灌木や笹に隠されて危険は感じませんがそれだけに却って危いかもしれません。
深坂峠:
深坂峠
尾根上の鞍部の雪道での道迷いして少しうろうろしましたが突然見慣れた深坂峠に飛び出しました。
北側に大きく展望が開け米山、刈羽黒姫山などがうねうねと連なる頸城丘陵とともに一望の下です。眼下にはいかにも新潟の山間らしい風景が広がっています。
右手に深坂峠道が天水山直下を目指して続いていますがすでに雪も少なく、峠でお会いしたハイカーがすたすたと歩いてあっという間に豆粒のようになりました。2回ほど歩いた経験では雪の急斜面で難儀に難儀を重ねてやっとの思いで通過したのですが雪があるのとないのとではこれほど違うのかとびっくりです。もっとも雪がなくなってあの豪快な景観も消えてしまってはいますが。
ミズバショウの湿原:
湿原の周囲は深いブナの森
峠から舗装道を下ると左手に雪解け水が溜まった池があり周囲にミズバショウが数輪咲いていました。
昨年天水山から歩いたときにさらにこの先に雪田の中に現れた池にたくさんのミズバショウが咲いていましたのでそちらはどうなっているかと思って行ってみると池は雪解けが進んでさらに大きくなっていてミズバショウもたくさん花開いていました。
ここのミズバショウは尾瀬のミズバショウなどと違って小振りでかわいい花です。小さいのは僅か10cmほどです。
道に戻り少し進むと舗装道のカーブする地点から歩道が別れています。もちろん私たちはそちらにルートをとりました。しばらく下ると前方が開けて大きな湿原に飛び出します。まだ雪解け直後なので枯れ草色の湿原ですがミズバショウだけは早々と咲いていました。
平らな湿原の僅かな高低を探りながら続く水流に沿って白い列を作っていました。
またミズバショウとともに注目したいのは湿原周囲の深いブナの森です。ぐるりブナに包まれたこの湿原の水の供給元と言うことでしょうか。
さらにその森の縁片にはタムシバが群れ咲いて素晴らしい景観を見せてくれていました。いつまでもこのままでいて欲しいものです。
野々海池花図鑑(クリックで拡大)
ミズバショウ
オオバカメノキ
タムシバ
ユキツバキ
ユキグニミツバツツジ【便利帳】 トイレ:道の駅さかえ 【収穫】(^_^; 5片 50g