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会津布引山 あいづぬのびきやま 1060m

風力発電風車が林立する高原

猪苗代湖方面から南を見ると延々と連なる平坦尾根とその稜線に並ぶたくさんの風力発電風車に気付くはずです。布引風の高原と呼ばれているそうですが、じつに33基もの風力発電機を擁する国内最大クラスの風力発電所です。
一帯は高原農場として開拓されていて、ちょうどそばが満開でした。キャベツ畑では収穫の最中でした。

     猪苗代湖を見下ろす       満開のそば畑に孤高の大木
【日程】 2012年9月1日
【山域】 湖南(猪苗代)
【天候】
【地図】 1/25000岩代福良、羽鳥湖

【アクセス】 郡山南ICより郡山湖南線で三森トンネル経由、湖南へ。このあたりから「布引風の高原」の案内標識が要所要所にありますからこれに従って福良、赤津とたどり赤津から南へ折れて山間道路を布引風の高原まで。
【駐車地】 大駐車場があります。トイレ、売店有り。
【コース】
散策 約1時間

奥に展望台があります。車でも行けますがひまわり畑の中の歩道を行けばちょうど良い散策コースとなります。
【メモ】
ずっと気になっていた会津布引山:
赤津のカツラ
 

会津布引山のことはずっと前から気になっていました。その特徴的な平坦な山容はいやでも目に入ります。
安達太良山、磐梯山から南には那須に至るまで1000mをわずかに越える程度の平坦な地形が続き、登山対象となる有名な山は見当たりません。(静かで魅力的な山がいくつかはありますが派手さを好まないハイカー向きです。)
自衛隊の布引山演習場(こちらは白河布引山)や羽鳥湖周辺のリゾート地などむしろ高原が続いていると言った方が的確かもしれません。そんな高原上の開拓地のひとつが会津布引山です。自衛隊演習場のある布引山と区別するために会津布引山と呼んでいるようです。
最近、大規模な風力発電基地ができ、その見物客で賑わうようになり、そのためか案内標識もしっかりして間違うことなくたどりつけるようになっていました。
猪苗代湖の南一帯を湖南と呼びますが、北側の猪苗代町が湖岸の平地なのに対しこちらは湖が近い雰囲気はなく山間の集落が点在しています。なかで福良の町は古くからの集落らしく町並みのたたずまいが宿場町の雰囲気を見せていて魅力的です。福良の次が赤津、ここから南に折れて山間の道路を上っていけばその先が会津布引山です。
途中、道路の脇に国指定天然記念物の赤津のカツラがあります。樹齢400年とのことです。けっこう知られている有名な巨木ですが、道脇に普通に立っていていつかは見たいと思っていた割には拍子抜けでした。

林立する風車群
 

広大な高原に林立する風車群:
頭上に風車を見るといきなり平坦な高原の一角に飛び出します。大きな駐車場と売店、トイレなどがありここが散策の起点となります。
開拓の碑がありこの一帯が農地として開拓された経緯などが記されています。ここからの展望は素晴らしく、猪苗代湖、磐梯山、飯豊山など一望です。振り返れば高原野菜の畑地が広がってその中にたくさんの風車がゆっくり回転しています。
散策路のつけられた周囲はひまわり畑やコスモス畑になっていて花の中を周回することができます。
周回散策路から離れた場所ではそば畑やキャベツ畑が広がっています。かつて布引大根が栽培されていたらしいですが見当たりませんでした。
ここもご多分に漏れず農業従事者の高齢化とかで耕作を維持できない畑が目立ちます。
とりあえず人の多い周回散策路はパスして奥の車の来ない道を歩いてみました。そばが満開で所々に巨木がすっくと立って、それが風車とマッチしてなかなか得難い景色でした。売店付近はたくさんの人がいたのにここまで来ると散策する人もまれで、頭上でゆっくり回る風車の風を感じながら一人歩いているとなんだか不思議な気分になります。
そば畑に立つ風車
風車は一見自然の風に任せてのんきに回っているように見えますが、よく見ていると、ガチャ、グィーン、ギギギなんてなにやらせわしく動いています。たぶん風向や風速に最適な調整をしながら稼働しているのだと思います。見た目余裕でもその実、見えないところで頑張っているんだと思うと、なかなかやるな、風力発電。
散策路の先に展望台が見えますので駐車場まで戻り車で行ってみることに。
奥にも駐車場がありそこから山道を10分ほど歩いて展望台へ上ることができます。
駐車場脇には避難所があり急な雨などのときに利用できます。

熊に出くわす:
駐車場に車を止めて歩こうとしたら前方の畑でひまわりが揺れています。と、いきなりクマが走り出しました。ほんの10mほどの距離でびっくり。
のんびり歩くツキノワグマ
会いたくてもこれまで会えなかったツキノワグマ、慌ててカメラを取り出しました。しかしさすが野生のクマ、相手の方が素早くてタッチの差でカメラに納めることはできませんでした。中くらいの成獣で目の前のゆっさゆっさと走る姿は感動的でした。あまり怖いという気はせず、おお、かっこいいなぁと見とれてしまいましたが、もちろん車に半分足をかけて体勢だけは怖々と言えば怖々でしたが。(^_^;
写真に撮れなかったので残念な気持ちで展望台へ。
平坦な高原で顕著な高みもないのでここは貴重な展望地です。ぐるり福島の山が見えるはずですがあいにく雲が掛かってきて東の阿武隈方面や西の会越方面は見えませんでした。それでもあまり遠くない周囲の山々はしっかり見通せて、駐車場付近で見えた北側の山々に加え南側の那須連山、二岐山、大戸岳などが意外な近さでした。
この展望台で眺めていたらなんと先ほどのクマが100mほど先の林道(農道)をのんびり歩いているではありませんか。たった今大慌てで走り去ったと言うのにのんきなもんです。立ち止まったりゆっくり歩いたりしながらしばらく林道にいましたが、やがてヤブの中に入っていきました。ちょっと遠いですが望遠で姿をカメラに納めることができました。
きっとひまわり畑のひまわりの種子を失敬しようと出てきたのでしょう。
これまで会いたくて会いたくてずっと機会を待っていたのに、最初の遭遇がなんだかコソ泥みたいなクマだったのでちょっともの悲しい気分です。本州の野生の王者としてもっと気概を持って生きろよ!ってクマ公に言いたいですね。もっともオレたちの領域を勝手に畑にしちゃったんだから食うのは当然の権利だとか言うかな。

北国は集落を花で埋める:
北海道とか東北、新潟など北の地方へ行くと集落が花で埋まっています。冬が長い分だけ春夏を大切にして花で飾るのでしょうか。
赤津の町のはずれできれいに咲いたひまわりとコスモスの畑を見ました。 

     山麓の赤津で見かけたひまわりとコスモス畑

会津布引山の花(写真クリックで拡大

    キンミズヒキ

  ツリフネソウ
【便利帳】  トイレ:駐車場

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