【メモ】 |
星野の里はセツブンソウの花時季:
高原山は永野川源流ですからちょうど星野の里の奥になります。おりしもセツブンソウの花時季、ちょっと寄って写真を数枚。
保護地になっているためでしょうか、安心したように咲き競っていました。
それにしても、あの演歌をがなり立てるスピーカ、なんとかならんか。まあ、もとは自生地といえ、所詮見せるための保護地ですから、望む方が無理ですかね。
入山は送電線巡視路から:
寺沢林道をしばらく走ると右に送電線巡視路の標識を見出します。送電線が頭上になったら行き過ぎ。左に林道が分岐したらさらに行き過ぎです。巡視路入口の手前と先に駐車可能地があります。
しっかりした橋がありますので対岸に渡り、涸れた小沢沿いに付けられた巡視道をたどります。やがて道が左右に分岐しますが右がNo.188鉄塔、左がNo.187鉄塔へと通じているようです。左にルートを取りましたが、コースとしては右にとるべきでした。というのは稜線に出て気付いたのですが、No.188鉄塔をスタートとすれば全尾根を走破できたのです。私は左にとったため尾根の途中に出たことになります。
つづら折りといえ相当な急坂でガニ股歩きをしないとふくらはぎが悲鳴を上げそうです。やがて鉄塔で道は消えます。ただし、そこから方向を右に折れてかつての作業道の痕跡が枝尾根の高みを消えたり現れたりしますので不安になることもありません。藪は薄く先ほどの巡視路よりむしろ歩きやすいくらいです。アカマツ、ツガ、ヒノキの巨木がそこここにあり神々しい雰囲気さえ漂う枝尾根です。
いよいよ岩稜の登降:
日だまり
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スタートから40分、鉄塔から20分、やっと尾根に飛び出しました。ここが最初のピーク。たぶんNo.188からたどっても途中は小ピークなので、ここを1峰と考えていいかと思います。黒木に覆われたなんの変哲もないピークですが、降りにかかると様相が一変します。この尾根を特徴づける豪快な岩稜が始まるのです。尾出山と同じ硬く角張った岩で、手がかりに困ることもなく、この先岩場が終わるまで慎重にルートを探せば通過できます。
全体が黒木に覆われているので展望はありませんが、かえって深山の雰囲気が漂って山に来たなぁといううれしさがこみ上げます。ここの黒木は頂稜部はツガが優勢で、周辺に古い時代の植林と思われるヒノキが取り巻いています。でもそのヒノキもすでに自然化して山全体に風格があります。足下には赤茶けた葉のイワカガミがたくさん見られます。花時に歩いたらまた別の魅力があるかもしれません。
2峰は上り下りとも岩を直登、降下できます。3峰はちょっと大きな岩で手強いので単独のため自重して左を巻きました。仲間がいれば通過も困難ではないと思います。4峰は今までの小振りな岩峰とは違って大きな山体で一山登るという感じです。この登りも岩を縫うように通過して、これでひとまず岩尾根はおしまい。
4峰から次の669m峰(5峰)はほとんど平に繋がっていてこれからしばらくはさほど標高差のない植林地の退屈な尾根が続きます。平らな道とは言っても間伐された木が横たわって道を塞ぎかなり難儀させられます。さらに悪いことにだんだん雪が深くなってきて、なかなか足がはかどりません。
尾出山の全貌を見る・・・でかい:
岩尾根
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退屈な植林地の縦走も終わりかける頃、一カ所だけ尾出山の全貌を見上げる展望地があります。わ、でかいなぁ、と思わず感激。高原山方面から見る尾出山は全貌を見ることができず迫力もいまひとつですが、この展望地から見上げる尾出山は視界いっぱいのでかさで迫って威圧的でさえあります。しかもこちらから見上げるとどこを登ったらいいのか途方にくれるほどの急峻さでのしかかっています。
一旦最低鞍部で気合いを入れて、いよいよ尾出山の登りに取りかかります。いっそ積雪が多ければいいのですが、落ち葉の上に数センチほど積もった雪というのはタチが悪く枝をたよりに体を支えないと足を取られてしまいます。高度を上げるほどに傾斜は増し、さらにさらに難儀な登りとなりました。振り返ると谷倉山、高谷山の稜線の先に栃木方面と思われる平野が望まれますが、とても展望を楽しむ余裕などありません。
やがてあたり一帯が大岩とそれらが崩壊してできたらしいガレ場となり、落ち葉から解放されたと思う間もなく岩クズを雪が隠したこれまた歩きにくい不安定な斜面となります。つっころんだらひとたまりもないような急峻さで、四つ足の野生動物にでもなったつもりでやっとこさ稜線にたどりつきました。積雪は20cmほど。鹿の足跡が一筋あるだけの寒々とした尾根で、ちょうど尾出山から北に延びる尾根の一角に当たる地点です。
雪の中、折からの季節風に激しく揺られてマンサクが満開となっていました。
雪に埋もれた尾出山頂上:
頂上には今日つけられた2,3人の登山者の足跡がありましたが、すでに下山して時間も経ったらしく耳を澄ましても風の音ばかり。日光、足尾の山々もすっかり雪雲の中です。
雪の中の格闘で足が痙攣気味となってしまったので、しばし休憩して念入りにマッサージをしながら遅めの昼食をとりました。
降りも簡単ではない:
豪快な尾根を見上げる
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急な降りとはいえ良く踏まれた道ですから一気に駆け下りるつもりでいましたが、こちらも落ち葉の上に積もった数cmの雪がいたずらしてなかなか足がはかどりません。
とくに岩場が終わる尾出峠の直前と峠から左に下山する沢筋ではかなり緊張させられます。沢筋で2カ所ほどナメを高巻く地点では落ち葉が深く積もってその上を数cmほど雪が覆っていて、足を出すのも恐る恐るです。林道に出るまで1時間半も費やしてしまいました。
あとは雪に覆われた林道をダラダラと下って駐車地まで、これまた疲れた足を引きずりながらうんざりするような30分の苦行が待っていました。
途中、高原山から下る林道に少し登り返してみました。ちょうど最初の岩の登降の尾根が頭上です。お、なかなかすごいじゃないか、と充実した一日を思い返してシアワセ気分。 |