【メモ】 |
うんざりする林道:
中倉尾根、皇海山、国境平
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標高1356mまで安蘇沢林道本線が延々と登っていきます。かつては山肌が赤裸だったせいでこの林道が年ごとに伸張していくのが手に取るように眺められましたが、現在は緑に被われてきてよくよく見ないと気付きません。この道は林道というより治山工事と植生復活の作業用のようです。
三川堰堤の駐車場からすぐにゲートをくぐり、久蔵沢林道を見送るとあとは安蘇沢沿いの舗装道をひたすら登ります。途中何台かの車に追い越されましたが、熊の生態を観察している皆さんでした。
林道は安蘇沢沿いになってから分岐が2回ほどあります。最初の分岐は右にとります。ここは行く手を考えると直進しがちで先人のハイカーはみなさんここでロスをしています。そのおかげで後追いの私たちは効率よく歩けるというわけです。高度を上げて展望が広がってからの分岐は左にとります。直進すると拭沢へ進んでしまいます。
車道はかなりの高度まで延々と続きますがやがて右上に監視カメラを見出し終点となります。
ここまで約2時間余。後半は展望も広がって気持ちよい道ですが、とにかく長くてうんざりしました。
松木尾根:
左手からトラロープを伝ってカメラのある高みに登るとそこからはっきりした道がトラバース気味に登っていき、これをたどっていよいよスタートです。
ところがすぐに道は怪しくなってついには鹿道となりあらぬ方向に延びてしまい、尾根に戻るのに一苦労しました。下山時に判ったのですが、スタート地点で右にやや薄い踏跡があってこちらが尾根道でした。(基本的にルートは尾根をはずれることはありません。踏跡は現在では鹿道になっているため時々交錯したり消えたりしますが尾根さえはずさなければ大丈夫です。)
林道をたどったため尾根歩きは途中からとなったわけですが、この尾根は三川堰堤から始まって大平山まで登る長大な尾根で大平山の足尾側の呼称(ピークだけの呼称ではなくこの一帯の呼称)松木山から松木尾根と称されているようです。
ダケカンバ疎林の笹尾根
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はじめはミズナラ、リョウブなどの落葉樹林、次にカラマツ林を経て1600mを越えたあたりからダケカンバ疎林の笹尾根となります。
この笹尾根で展望も一気に開けます。眼下に松木沢を見おろし、その先には三川堰堤や足尾の赤倉も一望です。また松木沢を隔てた中倉尾根(石塔尾根)の迫力は圧倒的です。さらに眼を右に転じれば皇海山が高々と聳え、そこから北に続く国境平あたりもすぐそこという感じです。この皇海山から北へ続く尾根は山麓からは見ることの出来ない位置にあってその全容を眺められる場所は限られています。
1805m点付近は展望も笹尾根の景観も申し分なく休憩には絶好のポイントです。大岩に腰掛ければこの景観を独り占めです。
主尾根から大平山頂上:
さらに笹尾根を一頑張りで主尾根に登り着きます。尾根を境に景観は一変します。登ってきた東側斜面は明るい笹原ですが西側はコメツガ林で深山の雰囲気が濃く、どちらも足尾の山の二面性の特徴を示しています。
笹は背丈が腰ほどで難儀するほどではないにしてもこれまでとはうって変わって押し分けて歩かなければなりません。しかしそれも束の間、すぐにコメツガに被われた待望の大平山山頂です。二等三角点といくつかの手製山名板があるだけの変哲もない山頂ですが永年暖めてきただけに少しばかり感激です。
主尾根から日光白根
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頂上は黒木に囲まれてはいるものの東側斜面はすぐに笹原となっていますので登ってきた疎林の尾根が一望です。新緑のダケカンバが笹原のそこかしこに疎らに立って風に揺られている様はじつに優しい風光です。
ここまでやってこないとこの風光に接することが出来ないんだという感覚はまた格別です。
往路を戻る:
下山のコースをあれこれ考えましたが、時間も限られていたので無難に往路を戻りました。
登りでも気付きましたが、1750m付近で明瞭な道跡に出くわしました。笹に埋もれてはいますが明らかに登山道とももちろん鹿道とも違う幅1m以上もある道で、尾根を通ることなく水平道に近い感じのなだらかな道です。踏み固められて自然に出来た道とは異なり明らかに掘削して造った道です。家の串や六林班峠では上州側へ馬さえ通える山越えの道があったということですし、袈裟丸山南面でも水平道が延々と山肌を縫っています。はたしてこの道跡がそれらと同じものかはわかりませんがかつてのこの山域の歴史に想像が膨らみます。
喘ぎ喘ぎ登った尾根もさすがに下りとなれば速いものであっという間に監視カメラまで降り着きました。
ここからまた2時間の地獄の林道歩きが待っていました。
大平山東斜面 |
霧晴れる男体山、社山 |
壮絶・中倉尾根(石塔尾根)
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