大真名子山・小真名子山 おおまなごやま2375.4m・こまなごやま2322.9m
針葉樹林が素晴らしい展望峰・大真名子、小真名子の両山は見ての通りの急登に次ぐ急登でした
そういえば大真名子山に登ってないなぁ、と思い立って出かけましたが、どうしてどうしてこれが深い樹林に被われたじつに気持ちのよい山で、さらに嬉しいことにぐるり大展望が広がっていました。
この日、くっきり青空が広がるピーカンというわけではなかったのになぜか遠望がきいて、なんと遠く槍ヶ岳、穂高連峰まで眺めることができました。北には飯豊連峰の姿も確認できました。この山域からこれほどの遠望が得られたのは初めてでした。
もちろん燧ヶ岳、至仏山など尾瀬の山、その先の平が岳、中の岳、会津駒ヶ岳、そして県境に連なる帝釈山、田代山、太郎山などは手に取るようです。しばし山名を確認しながら思いっきり広がる岳望を楽しみました。
大真名子山、小真名子山は日光連山のほぼ中心にあって男体山、女峰山、太郎山、日光白根山を間近に眺められる展望台ですから、山頂から周囲を見渡すといまさらながら日光の山々が連山と言われながらほとんど独立峰の集まりでありその意外な手強さを思い知らされます。
男体山に登るハイカーは多いのにこの山を訪れるハイカーは少なく静かなコースを楽しむことができました。折りしも連休の初日のためか志津峠の駐車地は満杯、男体山登山口の先の内緒の駐車地に停めざるを得ませんでした。関西、東北など遠来のナンバーが目立ちます。遠くからわざわざということはたぶん百名山狙いのハイカーのようで、皆さん男体山を目指しているようです。
【日程】 2007年10月6日 【山域】 日光 【天候】 晴れ 【地図】 1/25000日光北部
【アクセス】 国道120号から光徳入り口右折、1km弱走ると右に折れる分岐があるのでそこを右折、わずかでさらに裏男体林道に左折。途中太郎山方面への道を分けて志津駐車地。 【駐車地】 十数台。いっぱいなら手前の路肩へ。また男体山登山口方面に林道が延びていますが、こちらへ進んで路肩に停められます。
写真は男体山登山口先の路肩。【コース】 志津越え駐車地 - 大真名子山 − 鷹ノ巣(鞍部) − 小真名子山 − 富士見峠 − 馬立 − 志津越え
実行程約6時間
大真名子山頂上
大真名子山より小真名子山太郎山 左は燧ヶ岳 平が岳 奥に中の岳
【メモ】 日光道路から視界前いっぱいに連山を見上げて:
日光道路の今市料金所あたりからは眼前に表日光連山が視界いっぱいに広がり否が応でも登降意欲をそそられます。
朝も早いのでいろは坂もすんなり登れ、登山口の志津越えまであっという間でした。しかし、峠までの道は先の台風の痛手がまだそこかしこに見られ、すさまじかったその威力を見せつけられました。
志津越えの駐車地は早くも満杯でした。峠から南に分岐する林道を少し走ると何台か駐車できる路肩があって、ここに駐車する羽目になりました。
駐車地からは急登が思いやられる角度で大真名子山を見上げることになります。
気分の良い樹林の道:
最初こそ落葉松の植林地でゆったり登っていきますが、八海山神像に迎えられてからはいよいよ急登となります。とにかく、登る、登る。一服さえさせてくれない急峻さでこれが頂上手前まで緩むことなく続きます。
しかし、苦しい登りも時たま樹林の隙間から覗く男体山を見て自分の標高を計ったり、コメツガの樹林を眺めたりしながらそれはそれで楽しい道です。
八合目あたりから鎖や鉄ばしごが現れ、樹林も頂稜部のそれに変わります。三笠山神像を見るとその先は日光三険の一つ千鳥返しと呼ばれる難所ということになっていますが、実際には難所というほどのものではなくむしろ灌木混じりでところどころ展望も開けてやや高度感を楽しめる爽快な道です。
なお、三笠山神像は旧コース沿いなので新たにつけられた道を進むと通り過ぎてしまいます。高度感が出てきたなと思うあたりで戻るように道があったらその先が三笠山神像です。
樹間からのぞく男体山 自分の標高がわかります
気分の良い樹林の道:
最初こそ落葉松の植林地でゆったり登っていきますが、八海山神像に迎えられてからはいよいよ急登となります。とにかく、登る、登る。一服さえさせてくれない急峻さでこれが頂上手前まで緩むことなく続きます。
しかし、苦しい登りも時たま樹林の隙間から覗く男体山を見て自分の標高を計ったり、コメツガの樹林を眺めたりしながらそれはそれで楽しい道です。
八合目あたりから鎖や鉄ばしごが現れ、樹林も頂稜部のそれに変わります。三笠山神像を見るとその先は日光三険の一つ千鳥返しと呼ばれる難所ということになっていますが、実際には難所というほどのものではなくむしろ灌木混じりでところどころ展望も開けてやや高度感を楽しめる爽快な道です。
なお、三笠山神像は旧コース沿いなので新たにつけられた道を進むと通り過ぎてしまいます。高度感が出てきたなと思うあたりで戻るように道があったらその先が三笠山神像です。
遠望 左に浅間山 中央やや右四阿山の先に槍・穂大展望の大真名子山頂:
突然目の前に小さな社が現れると、そこが待望の山頂です。すぐ先には蔵王権現像が立っています。この社は御嶽山神社ということで、途中の神像とともに日光の修験道とは別の御嶽信仰によるものらしいです。八合目三笠山神像の銘を見ると文久年間となっていました。
山頂には素晴らしい展望が待っていました。数えればきりがありませんが、驚愕したのはなんと槍ヶ岳や穂高連峰まで見えたことです。ちょこんと尖った四阿山のその先にはっきり槍、穂高の特徴ある姿を認めて大興奮でした。また北へ目を転じれば遠く飯豊の山々が視界に入りました。関東の山からはあまり目にすることのできない南会津や県境の山々が手に取るように見え、あの特徴ある姿は田代山、のったりと広がるのは会津駒ヶ岳、意外に離れている燧ヶ岳と至仏山、その先の平坦な峰が平が岳、ドームのような中ノ岳、というように名だたる山々がうねうねと続く展望にしばし時を忘れてしまいました。
この山の本当の魅力は大真名子から小真名子まで:
樹林の中の最低鞍部・鷹ノ巣
富士見峠から志津峠までの林道歩きを考えると小真名子山まで足を延ばそうかどうか迷ってしまいますが、ご夫婦連れのハイカーが小真名子山への道をとって下山したのを見て、では、と私も小真名子山を回ることにしました。結果的にこれが幸いしてこの山の本当の魅力に触れることができました。
大真名子山は周囲から見ると急峻なピラミッドに見えますが実際は北にコブを派生していて、頂上から一旦下るとしばらくは平坦な尾根を歩くことになります。この間わずかな距離ですが東側の展望もあってちょっぴり高度感もあります。また眼下の大谷川が雲間に光って関東平野に注ぎ込んでいくさまもなかなか得難い景観です。
コブを抜けるといよいよ両山の鞍部に向けて急下降が始まります。
じつに深い樹林です。老樹、幼樹が入り乱れその林床をスギゴケが被っています。いかにも日光の山らしい景観です。
最低鞍部が鷹の巣、樹林の中のわずかな広さの草地ですが大きな倒木があって休憩ベンチにちょうどいい具合になっています。
一休みした後はまた急登が待っていますが、大真名子山よりさらに深い樹林帯で、ここが日光の奥の奥なのだということをひしひしと感じます。この深い樹林こそ大真名子山と小真名子山を結ぶコースの魅力で、大真名子山で引き返してはこの山の良さの半分も知らずに帰ることになると思います。大真名子・小真名子と山名がセットになっているようにやはりこの山は両山通して歩くべき山のようです。
あえぎあえぎの急登も長くは続かず、ひょいと小真名子山頂上に飛び出します。
小真名子山も大展望:
小真名子山の頂上は樹林に覆われていますが、東側つまり女峰山方面のみ展望が開けています。帝釈山と女峰山の重なりが圧倒的な高さで聳え、その大きさが実感できます。
小真名子山頂上
頂上から10mほど進むとどでかい電波反射塔があり、そこが展望地となっていて、むしろ頂上よりこちらの方が休憩に向いているようです。深い樹林に包まれたこの山に電波反射塔は似つかわしくありませんが、きっと日光の裏側にあたる川俣方面の電波状況にとって絶好の位置にあるのでしょう。
休憩にほどよい広さで先ほどの大真名子山からの展望とはまたちょっと違った眺めを楽しむことができます。眼下には川俣ダムが水をたたえているのが見えます。
また太郎山が対峙して間近く、その先には日光白根や金精山、温泉ヶ岳など湯元の背後の山々がほんの手の届きそうな近さで聳えています。
ガレ場の急下降:
いつまでも居たい頂上ですが帰りの林道が気がかりでそうそう長居もできません。
下山はいきなりの急下降で始まります。急登と急下降でここまでやってきましたが、小真名子山の下降はさらに険しく逆落としという感じです。やがて道はすぐにガレ場となります。真正面に帝釈山を見上げ、右手に大谷川の蛇行する姿、左手に川俣方面の樹林帯を見下ろす素晴らしい景観なのですが、そのガレ場の真ん中にコースが切ってあるので足場が危なっかしくて景色を楽しむどころではありません。かなり下方に登山者が一人下山中だったので落石を起こしては大変と冷や冷やでしたし、背後から大石でも落ちてきたらと気が気ではありません。なぜこんなコース取りで登山道を造ったのかと訝しい気がします。でも、途中の大岩に腰掛けてガレ場ならではの爽快な景観をしばし楽しみました。ここから見下ろす川俣湖までの深い樹林帯はほとんど私たちハイカーが足を踏み入れることのない場所で、日光の山が「観光地日光」に数倍する広大さと奥深さ有していることを実感します。
小真名子下山路ガレ場より帝釈山、女峰山
富士見峠から延々2時間の林道歩き:
ガレが終わるとやっと傾斜もゆるみ、すぐに富士見峠に降り立ちます。標識のある小広い草地に標識が立ち、林道が左右に下っていきますが左川俣方面へはすでに歩行者さえ通っている気配はなく草に被われています。一方、右志津越え方向は荒れ果てて車道としては機能していないものの小真名子山や女峰山からの下山に使われる道ですのでそれなりに車道の姿は保っています。
ここからこの林道を延々2時間、すでに気持ちは終わってしまっているのでまさに地獄の林道歩きが待っています。
大真名子、小真名子山中で3人ほど女峰山から通しで歩いてきたというハイカーに会いましたが、林道歩きの苦痛を考えると時間と体力と相談してそのコース取りもいいかもしれません。
退屈でつらい林道歩きですが、女峰山や今し方歩いてきた小真名子山、大真名子山などを見上げられる地点もあり、ここは口笛でも吹きながらのんびり歩くほかありません。
途中、先の台風による土石流で林道が押し流された箇所があり、その威力のすさまじさを目の当たりにしました。
なお、馬立の手前10分ほどの場所に治山工事基地があり、業者の好意で避難用のプレハブが建てられています。急な天候異変の時には助かるかも知れません。(工事完了後はたぶん撤去されるでしょうが。) 業者にとっては邪魔なだけの私たちハイカーでしょうが、こんな好意に感謝、感謝。
立ち寄り湯やしおの湯:
いろは坂を降りて清滝から小来川方面への道沿いにやしおの湯はあります。うっすら白濁したその湯はすべすべと肌に心地よく、最近は人気のようです。
この温泉へ立ち寄って山の疲れをいやすのはいつも日光を歩いた帰りの楽しみです。
八海山神像 登山口からすぐ
三笠山神像 八合目
蔵王権現像 頂上【収穫】(^_^; 36片 190g