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三本槍岳 さんぼんやりだけ 1916.9m

会津側から登る静寂のルート

いつもは表那須から登る三本槍岳、ときには裏からそっと。思っていたより奥深く、思っていたより手強く、思っていたより花いっぱいの山でした。
車道の通行止めのおかげで余分に歩かされて(普段のトレーニング不足も加わって)けっこう難儀な山行となってしまいましたが、それをもってしても充分すぎるほどの素晴らしい山行となりました。静寂の登路、広闊な大展望、そして満開の花たち、ほぼ私たちだけ独り占めの那須を心ゆくまで楽しんできました。

関連ページ
三本槍岳 http://www.kimurass.co.jp/sanbonyari.htm


            三本槍岳頂上

       満開のアズマシャクナゲ
【日程】 2018年6月2日
【山域】 那須
【天候】

【アクセス】 東北道白河ICから国道4号(白河市街方向)へ。わずか走ってすぐに左折、1kmほどで国道289号との交差点を左折して国道を道なりに新甲子、甲子トンネルを通過して、道の駅しもごうの先で観音沼森林公園の案内に従ってショートカット道へ左折し、その先は観音沼森林公園を目標に走ります。
ただし2018年6月現在、道の駅しもごう付近は国道の工事中でショートカット道は臨時の通行止めなどもありますので適宜案内に従って観音沼森林公園まで。
観音沼を過ぎたらほぼ道なりに日暮の滝(ひぐらしのたき)駐車場まで。
かつてはさらに先まで走行可能でしたが現在は道路崩壊のため通行止めです。
【駐車地】

日暮の滝駐車場、満杯ならやむを得ず林道途中の路肩余地に。
【コース】
日暮の滝−旧駐車場 - 鏡ヶ沼分岐 - 鏡ヶ沼 - 稜線 - 三本槍岳
−大峠分岐 -大峠 - 林道終点 - 日暮の滝

実行程約6時間 一般向き
〜やや健脚向き(かつての行程に林道歩きが加わりました。)

【メモ】
あらら、通行止め:

       緑のシャワー(林道をひたすら歩く)

かつては林道終点近くまで一気に走って奥深くまで行けたのですが現在は道路崩壊のため日暮の滝駐車場で通行止めです。
約1時間の車道歩きの苦行が待ち構えていました。
覚悟を決めて林道を楽しみながら歩くほかありません。
この道はかつての大峠を越えて会津から関東へ通じる会津中街道跡で石畳の痕跡や一里塚跡もあります。戊辰戦争の折りにはこの街道筋が戦場となりました。かつての街道を思いながら歩くのもまた一興です。
ところどころ前方が見通せる場所もあり、これから登る三本槍岳やこれまで幾度となく登っている流石山が高々と聳えて見えます。あんな高い所まで登らなきゃならんのか。
途中通行止めの原因となった崩壊箇所があり、その様子を見れば足元深く剔られて道路補修は簡単ではないことがわかります。果たして車で簡単に林道終点まで行ける日が来るかどうか。


    鏡ヶ沼付近の笹原とダケカンバ
鏡ヶ沼:
車道歩きにうんざりしたところでかつての最奥駐車場、さらに少し歩いて林道終点にたどり着きます。
林道終点の先は山道になりますがかつての街道ですから平坦で広い道が続きます。
少し先で左に鏡ヶ沼への道が分かれますのでこちらへルートをとってしばらくは樹林の中をたどります。
樹林内とは言ってもはじめはカラマツ植林地、次いでダケカンバ疎林、そして笹原の明るい平坦地と多少変化のある登路です。笹原まで来れば鏡ヶ沼はもうすぐです。
笹原は広々とした気分のよい別天地で、前方に須立山(すだてやま)、目を転ずれば三本槍岳(実際は大峠分岐尾根)、ともに高々と頂上をもたげてこれからの登路の苦労が思いやられます。

    鏡ヶ沼
笹原を少したどると鏡ヶ沼に飛び出します。
周囲が開けて休憩にはもってこいのポイントです。頂上まで登らずともここを目標としてのんびり歩くのも楽しいかもしれません。
凹地のせいか風もなく文字通り鏡のように背景を映して静かに水をたたえていました。
水中にはサンショウウオの卵がたくさん漂っていました。

主稜線から見上げる三本槍岳
 
急登の先に大展望の主稜線:
鏡ヶ沼を半周してからいよいよ稜線まで一気に登ります。固定ロープもありますが滑りやすい土壌なのでかなり難儀を強いられます。腕で登る覚悟で頑張るしかありません。
沼から30分ほどで稜線に達することができます。鞍部ながら広大な展望が広がっています。ここまでずっと樹林の沢筋を登って来たのでその風光の明るさは心地よくここで大休止にしました。
見上げる三本槍岳はまだ先です。頂上の米粒のように見える登山者は数えれば2,30人を優に越えています。たぶん茶臼岳、朝日岳方面からと思われますが、会津側からの登山者は極端に少なく会ったのは3パーティー10人程度だったのに比べると山頂のハイカーの多さには驚かされます。
尾根にはシャクナゲ、ムラサキヤシオが開花してちょうど見頃ですが期待していたミネザクラはもう終盤で咲き残りの花が見られる程度でした。
一方、シャクナゲは当たり年らしく斜面をピンクに染め上げてそれは見事です。

    三本槍岳斜面のアズマシャクナゲ群落

三本槍岳:

     大峠分岐付近から旭岳、須立山、鏡ヶ沼

シャクナゲやサラサドウダンなどの花に歓声を上げながら灌木の尾根をひたすら登ると待望の三本槍岳頂上です。小広い頂上ですがほぼハイカーで満員状態です。せっかく一等三角点で風格あるのに三角点付近にもザックがいっぱいでいい具合にカメラに収まりません。どうにか証拠代わりの山頂山名板だけ撮影して早々に退却を決めました。
とは言え、山頂からの大展望を満喫してからじゃないともったいなくて下山はできません。
いやはやすごい展望です。なんと言っても飯豊山が白く輝いていたのは驚きです。また吾妻連峰、安達太良山、磐梯山など福島の山々、尾瀬の燧岳や守門岳など会越国境の山々、そして間近に西に流石山、大倉山、北に旭岳、大白森山、南に朝日岳、茶臼岳など那須一帯の山々が手に取るようです。

花に歓声、大峠への道:
下山は大峠を目指します。大峠分岐から県境尾根をたどりますが、まずは頂上で摂れなかった昼食をケルンのある鏡ヶ沼展望地で摂ることに。
この展望地は休憩には絶好です。周囲の斜面をのぞき込むとたくさんのシャクナゲが満開で迎えてくれました。見上げる三本槍岳はじつに雄大です。鏡ヶ沼を見下ろし、目を上げれば旭岳の鋭峰が小気味よく、その先には会津の山々が重なっています。
ちょっとのんびりしすぎましたが、ここから大峠まではさらに小一時間ほど下らなければなりません。
しかし小一時間では足らなかったようでさらに時間を費やすことに。たくさんの花が次から次、なかなか先へ歩を進めさせてくれません。この尾根が花の尾根とはついぞ知りませんでした。
ミツバオウレン、ハクサンチドリ、ユキワリソウなど県内ではなかなか会えない花にも会えました。
三本槍岳の花(クリックで拡大)

 ハクサンチドリ

  ミネザクラ

  ムラサキヤシオ

  ノビネチドリ

  オオバキスミレ

  アズマシャクナゲ

  ユキワリソウ

  トチ

大峠から会津中街道跡をたどる:

     大峠石仏 

最近の大峠はかつてのような広々とした草地ではなくなっています。灌木も背丈が大きくなっていずれは樹林に覆われてしまうかもしれません。休憩するならむしろ少し流石山方向へ登ったあたりの方が良いかもしれません。
この大峠を挟んだ三斗小屋宿から野際にかけての街道筋はかつて戊辰戦争の激戦の舞台となったところで会津藩軍が敗走を重ねた悲劇の地でもあります。その供養のためか峠には石仏が多く建立されています。
峠からはかつての街道の跡をたどります。昔、参勤交代(会津藩、村松藩)も通った道なので広くて平坦な歩きやすい道です。(新道の山道の部分はその後に新たに付け替えられた部分です。)いまは緑の森に半ば埋没していますが石畳の痕跡や一里塚などにその歴史を見ることができます。
やがて鏡ヶ沼分岐、林道終点まで来るとあとはまたうんざりするような車道歩きが待っていました。

 森に埋もれた会津中街道一里塚 2基並んでいる間に街道が通っていたようです 
【便利帳】 トイレ:道の駅しもごう、観音沼  どちらも水洗のきれいなトイレです。
コンビニ:白河市内で。道の駅しもごうで飲料などは買えます。
【寄り道】 道の駅しもごう アスパラの生産地らしくたくさん販売していました。
【収穫】 20g 12片
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