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三沢岳 さんのさわだけ 2846.5m

カールとお花畑

中央アルプスの主稜から木曽側に延びた支尾根の先にどっしりとしたピラミダルな姿を見せている三沢岳。至近にある千畳敷カールや宝剣岳、木曽駒ヶ岳のむしろ喧噪といっていいくらいの賑わいが嘘のような静かな尾根歩きを楽しむことができます。
小さいながら山頂直下にはカールがあり、お花畑にはハクサンイチゲ、チングルマ、ハクサンチドリ、シナノキンバイなどたくさんの花が咲き乱れています。また山頂一帯は花崗岩の大岩が重なってハイマツの緑と調和した独特の景観を見せてくれます。花崗岩の大岩に腰掛けて雄大な展望を我がものにしながら過ごすひとときはまさに珠玉の時間です。

関連ページ:木曽駒ヶ岳 http://www.kimurass.co.jp/kisokomagatake.htm

     三沢岳三角点       極楽平から三沢岳
      三沢岳分岐より宝剣岳      三沢岳巻き道お花畑
【日程】 2012年8月2日
【山域】 中央アルプス
【天候】
【地図】 1/25000木曽駒ヶ岳

【アクセス】 中央自動車道駒ヶ根ICから西に向かって1.3kmほどで菅の台バスセンター駐車場。
【駐車地】
大駐車場ですがいかんせんシーズンにはたくさんの車がどっと押し寄せますのでハイカーは早めに着くようにしたほうが良いかと思います。
バスの始発は駒ヶ根駅となっていますが、シーズン中はバスセンターから始発便が出ます。
【コース】
千畳敷 - 極楽平 - 三沢岳分岐 - 三沢岳巻き道
- 三沢岳 (往復)

全行程 7時間
一般向き
【メモ】
朝一番で:
千畳敷カールと宝剣岳
 

稜線の小屋に泊まって早朝に歩き出すのがベストですが、今回は日帰りです。夏期は6時13分に菅の台バスセンターから始発が出ますのでこれに乗れるように30分前くらいには駐車場に入りました。
これならバスもロープウェイも始発に乗れますから一日の行動がかなり余裕を持てます。
ロープウェイで一気に千畳敷まで駆け上がります。すでに標高は2650m。眼前に千畳敷カールが広がり見上げれば宝剣岳が頭上にのしかかるようにそびえています。
ほとんどの乗客は千畳敷散策か宝剣岳方面を目差し千畳敷カールを登って行きます。
三沢岳方面へはロープウェイ駅から出て左手の駒ヶ岳神社に安全登山を祈願してからその左手へ続く登山道へ入ります。

花を楽しみながら極楽平へ:
最初こそ石の重なった道で歩きにくいですがすぐに丸太で階段をしつらえた歩きやすい登山道になります。
早くもチングルマ、モミジカラマツ、シナノキンバイなど高山植物のお出迎えですが、どうも今年は花付きがあまり芳しくありません。昨年があまりに花が着きすぎて今年は裏年のようです。
1株だけですがクロユリに会えました。
ぐんぐん高度を上げて30分ほどで稜線の極楽平に登り着きます。
山小屋に泊まって宝剣岳を越えてきたハイカーが10人ほど休んでいました。これから空木岳、南駒ヶ岳、越百山へと縦走するという単独の女性と少しだけお話ししましたが、すごいなぁ。
極楽平は乾燥した風衝帯でハハコヨモギ、チシマギキョウ、ツメクサなどが咲いています。そしてこの花に会いに来たとも言えるコマウスユキソウ、あっちにもこっちにも大きな密生で迎えてくれました。コマウスユキソウはほぼここ極楽平でだけ会える花で、その名に駒の文字を持ちながら駒ヶ岳方面にはあまり生育していない印象を持っています。探せばあるのでしょうが、これほどの密度で生育しているのは知る限りここだけではないでしょうか。小さな背丈のかわいいウスユキソウで、もこもこと暖かそうな綿毛をまとっています。
アップダウンの先に三沢岳が大きくそびえる
 

いよいよ三沢岳をめざして:
極楽平から西に三沢岳が端正な姿でどっしりと構えています。
三沢岳への縦走路はいったん宝剣岳方向に三沢岳分岐までなだらかに登ってから左にコースをとります。
最初こそは極楽平から続く緩斜面ですが右手に見える大岩の折り重なった小ピークを巻いてからぐんぐん高度を落としていきます。
極楽平からは単なる派生ピークに見えた三沢岳ですが縦走路から見るとじつに大きな根張りの堂々たる姿をしています。これからたどる尾根が見通せる様になると極楽平から見たときとはずいぶん印象が違ってそう簡単にはたどり着けない気がしてきます。
小ピークを巻いてからはハイマツのうるさい灌木帯に入りいくつかのピークを越えてアップダウンを繰り返します。なかなか消耗させられますが、それも最後の登りにかかるとすっきりした斜面に変わります。
全体花崗岩質の山体なので砂と白い岩と緑のハイマツの取り合わせが明るい景観にしています。
広々とした尾根をたどるようになるとケルンがありここまで来ればもうあと一息です。

山頂直下巻き道のお花畑:
ケルンからもうひと頑張りが必要ですが小さな乗越しを越えるとすぐに道が二分して左の巻き道に進むと両側がお花畑となっています。シナノキンバイ、ハクサンイチゲ、チングルマ、ヨツバシオガマ、ハクサンチドリなどが咲き誇り草付きとハイマツ帯の斜面を彩っています。この斜面の下部は三沢カールですからちょうどこのあたりはカールの最上部にあたります。
御嶽山
この山頂直下巻き道のあたりが三沢岳一帯で一番のお花畑ですが、裏年のようで花付きはイマイチでした。とにかくどの植物も花の数が少なく、アオノツガザクラなどはほんのぽつりぽつりという感じです。
とはいえ、平坦道の両側がお花畑で心和む巻き道であることには違いはありません。
戻るように登り着いたところが花崗岩の大岩が折り重なる山頂です。三角点は最高点の南数mの場所にあります。
大岩があちこちにありますから適当な岩に腰を下ろして展望を楽しむことに。
恵那山、御岳、乗鞍岳、わずかに穂高方面などが遠望できます。眼前には宝剣岳、木曽駒ヶ岳が荒々しい姿を見せています。
木曽駒ヶ岳は南側から見ると登った印象とは違って山全体は岩が折り重なってできている山で、宝剣岳をそのまま大きくした岩だらけの山体の頂上だけをなだらかにしたような山容をしています。

往復の帰路は大下りの後に大登り:
三沢岳頂上から主稜線(木曽駒ヶ岳、中岳、宝剣岳、島田娘)

展望を楽しみながら昼食をすませたら下山です。実際にはスタート点となった三沢岳分岐の方が三沢岳頂上より標高が高くて、おまけに最低鞍部は千畳敷のロープウェイ山頂駅とほぼ同じ標高なので大下りの先にそれ以上の登りが待っているわけで、むしろ往路より復路の方がたいへんです。
三沢岳登りですっかり体調を崩してしまいさんざんな帰路となりましたが、やはり静かで花がいっぱいで展望が素晴らしく、何度来ても三沢岳はいい山です。
          三沢岳カール          恵那山まで続く中央アルプス
極楽平を見返る
 
 
(山名について)
ガイドブックなどでは多くは三の沢岳あるいは三ノ沢岳となっているようですが1/25000地形図では三沢岳となっていますのでここでも三沢岳としました。読み方はいずれも「さんのさわだけ」です。

三沢岳の花(写真クリックで拡大

キバナノコマノツメ/千畳敷

 クロユリ/千畳敷

 モミジカラマツ/千畳敷

  ハハコヨモギ/極楽平

 チシマギキョウ/極楽平

 タカネツメクサ/極楽平

  イワツメクサ/極楽平

コマウスユキソウ/極楽平

  ハクサンイチゲ/三沢岳 

   ウサギギク/三沢岳

 ミヤマダイコンソウ/三沢岳 

 ハクサンチドリ/三沢岳 

アオノツガザクラ/三沢岳

   チングルマ/三沢岳

  ヨツバシオガマ/三沢岳 
【便利帳】  トイレ:駐車場、ロープウェイ駅
【収穫】(^_^; 13片 150g 

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