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田島尾根周回 たじまおねしゅうかい 267m(城の砦じょうのとや)

ココファームワイナリから名草城址を経て関東ふれあいの道へ

誘われて近所の藪尾根を歩いてきました。山麓は普段のお散歩コースですが、今までこんなただの藪尾根を歩くなんて発想そのものがなくて、足を踏み入れたこともありませんでした。でも、どんな里山にもかつての人々の行き交った跡があり、峠越えの古道や多くの石祠などがそのまま残っていることにびっくりしました。またはっきりそれと分かる城跡もあり、この一帯が足利氏の北の守りであったことがうかがい知れます。
予想していた以上に充実の尾根歩きでした。

一般ハイキングコースではありません。


             梵天のあるピーク

           ココファームブドウ畑と三角点峰
【日程】 2011年1月29日
【山域】 安蘇
【天候】
【地図】 1/25000足利北部

【アクセス】 足利市街中心部から昭和通りを北へ向かい山に突き当たったら右折。道なりに進んで橋を渡った先の変則交差点でココファームや足利城ゴルフ場の案内に従ってやや右の中央の道へ。ココファームの案内に従って北関東高速道をくぐってからココファームの案内が右折を示した丁字路を直進すると右に田島町自治会館。

ナビ設定情報:田島町自治会館 栃木県足利市田島町1650
【駐車地】
田島町集会所の裏に広い空き地があります。登山者用の駐車場ではありませんが内緒でそっと停めさせていただきました。
ココファームの奥にも駐車場がありますがこちらも登山者用の駐車場ではありません。

【コース】 田島町集会所 − ココファーム - ブドウ畑最上段 - 三角点峰 - 石仏石祠
−名草城址(城の砦 じょうのとや)−梵天ピーク −ふれあいの道合流−三角点峰−319m峰
−林道−青沼(おおぬま)−田島町集会所

実行程約5.5時間 道なし ベテラン向き
【メモ】
スタートはココファームから:
展望広場から行道山
 

ココファームのブドウ畑の道を登ると最上段は展望広場になっています。眼下にはココファームとこころみ学園を見下ろし左手には足利市街を見ることができます。西の向かいは行道山、大岩山が大きく聳えています。いよいよここからスタートです。
広場から北へわずかに広い道がありますがすぐに消えていきなり藪を突いて直登します。消えかかった踏み跡とテープがあったのは意外でした。
木々を頼りに這い上ること数分で三角点峰に登り着きます。尾根通しには比較的はっきりした尾根道が残っていますが、ほとんど踏まれている形跡はなく藪が掛かって快適な道とは言えません。もう山全体人の手が入っていないので倒木が多くそれらを乗り越えながらの前進です。ただ、ずっとそういう難儀な道というわけではなく道形のしっかりしたところも多いので思ったよりは順調に進めました。
しばらくは落葉樹の尾根を坦々と進みます。これといって見所もなく道がはっきりしたり消えたりしながら登降を繰り返します。時々藪の薄い地点から左に田島の里、右に名草の里を見下ろしますが、この尾根は田島と名草を分けるかつての村界尾根だったわけです。
途中からブルドーザ道の跡が尾根と並行していて所々に謎の鉄管がうち捨てられていました。何かのパイプラインでも敷設しかかった跡なのでしょうか。 
石仏
 
石祠群:
やがて左にゴルフ場を見てなだらかな頂上へ達するとそこに3基の石祠と1体の石仏が並んでいました。
奥の石祠は明治の年代が彫ってありますが他はもっと古く銘が読めません。寄進者の名前を見るとここからは旧足利町の反対側にあたる渡良瀬川筋の北猿田、南猿田の住人で、なぜこんな足利の山奥にと不思議です。昔の人の信心ははかりしれません。
石祠は祀った人々の住む村を向いていることが多く、この石祠も確かに猿田方向を向いていました。そのことから類推して他の石祠はたぶん田島村で祀ったものと思われます。 
名草城:
落葉樹に覆われた名草城址
 

尾根は相変わらず笹藪や雑木藪が続き小さな登降を繰り返しながら徐々に高度を上げていきます。
地形図の破線部分には確かにかつての峠越えの道跡が残っていました。しかしはっきりしているのは尾根越えの部分のみですぐ下方では笹などが道形を覆ってたぶんそのまま麓まで続いているとは思えない状態です。
石祠群から大きく下って登り返すと落葉樹に覆われた平坦頂上に登り付きます。平坦地は土塁に囲まれ明らかに自然のままの地形とは異なります。たぶん城跡、おそらく名草城址と予想しましたが下山後調べてみたところやはり名草城址とのことです。

名草城についてはこちら
http://osanponikki.fc2web.com/050409_jounotoya.html

あたりは少々荒れ気味の落葉樹林ですが山ツツジなどもあって春には新緑と朱の花できれいなことでしょう。
ここから名草の谷を隔てた尾根でかつてやはり藪漕ぎの尾根歩きの途中に駒戸山城址に出くわしたことがあり、このあたりの山城の散在は興味をそそられます。
駒戸山城址 http://www.kimurass.co.jp/nagusa.htm

梵天ピーク:
名草城址から直角に向きを変えて植林地の急な尾根を下ってまたしばらく尾根をたどると岩の頂上に登り付きます。多少展望が開けていて北に続く尾根の高みや西の田島の谷の最奥部が見通せます。北に続く尾根の先には438m峰が高々と聳えていて登高欲をそそります。ただし上部が植林地らしくたぶん展望などを期待してもどうなのでしょうか。
頂上の立木にたぶん梵天を立てた跡と思われる竹が立ててあり、その先の岩陰には小さいながら手の込んだ造りの石祠があります。竹の先にはまだ梵天の一部が残っていましたので現在も梵天上げが執り行われているようです。田島側からなのか名草側からなのか、石祠の建てられている状態からして名草側のようにも見受けられますが一度麓で聞いてみるつもりです。 
梵天ピークから下っていくと地形図の破線の集中する鞍部になり、確かにしっかりした道が尾根を越えています。昔、名草と田島の人々が行き交った古道なのでしょう。
このあたりでエネルギー切れをしないよう、落葉樹林の中でゆっくり昼食としました。

関東ふれあいの道(山なみの道):
関東ふれあいの道

291m 峰で左に折れてからぐんぐん高度を上げ438m峰から延びる尾根に達するとちょっと地形がはっきりしなくなります。踏み跡を確認しながらトラバース気味に平坦尾根を進むと突然よく整備された尾根道に飛び出します。名草巨石群から行道山へ続く関東ふれあいの道です。左斜面はヒノキ人工林ですが右斜面はきれいな落葉樹林で冬のハイキングには格好のコースのようです。
これまでの藪尾根から一転してすたすたと足がはかどります。多少のアップダウンはあってもよく整備された道ですからあっという間に三角点峰に登り着きました。
予定では田島の谷に下るつもりでしたがすでに下降点を見つけられないまま谷の最奥に下る最初の破線を通り過ぎてしまったわけです。
頂上にはベンチもあり休憩にはちょうど良いポイントです。
三角点峰の先にも田島に向かって地形図の破線がありますがこれも尾根道を調子よく下ってしまって逸しました。どこかで下降しないとこのまま馬打峠まで行ってしまいかねないので319m峰で強引に藪を突いて一気に林道目指して下ることにしました。
すでに田島の谷には降りられず青沼(おおぬま)奥の林道に下ることになります。南東に小さく飛び出した小尾根を下りましたがヒノキ植林地はすでにヒサカキとシラカシが繁茂して常緑広葉樹林と化していました。途中一面ヤブコウジの斜面に出くわしましたがすでに赤い実はほとんど落ちていました。12月頃なら見事だったかもしれません。

山麓ではもう梅が開花
 
林道から舗道歩きでスタート点へ:
林道を下ると県道坂西大月線(馬打峠道)へは1kmもありません。県道に出たらあとは駐車地まで1時間以上の舗道歩きが待っていましたが、田島に降りなかったので仕方ありません。
駐車地に戻ると、田島川の脇からスタート点と歩いた尾根を見上げることができます。なかなかのロングコースでした。
【便利帳】 トイレ:ココファーム
【収穫】(^_^; 48片 800g もちろんハイカーが捨てたゴミじゃなさそうです。