高岩 たかいわ 1084m
かつての小気味よかった岩峰はすっかり荒れて険悪な岩の登降を強いられました
2008-9-14
上信越道を走るとき碓氷軽井沢IC直前で頭上に覆い被さるように聳えている岩峰を誰しも見ているはずです。
高岩、あるいは懐にある集落の名を冠して恩賀高岩と呼ばれています。いったいあんな岩峰に登ることができるのか、登れるにしてもどこをどう登ればいいのかといぶかしく思えるほどの怪峰です。
かつてこの小さな岩峰が気に入って毎年通っていたことがありますが、上信越道の工事が始まってからあたりが一変し、それ以来足が遠のいていました。今回籠の登山に登ってあまりにあっけなく物足りなかったのでもう一つ登ろうということになり、久しぶりに高岩へ寄り道しました。
しかし10年以上経っての再訪でしたので以前の小気味よさはすっかり影を潜め、荒れに荒れた険悪な岩の連続となっていました。寄り道どころか激しい登降と緊張で下山したときにはもうヘロヘロ。(^_^;
2010-11-27
初冬の葉が落ちて展望が拡がった季節にネット仲間と再訪しました。
穏やかな天候に恵まれて展望を満喫しました。
(一般ハイキングコースではありません。)
【日程】 2008年9月14日
2010年11月27日【山域】 西上州 【天候】 晴れ 【地図】 1/25000南軽井沢
昭文社山と高原地図 浅間山
【アクセス】 上信越道碓氷軽井沢ICを出てすぐの交差点を恩賀方面へ右折してわずか、恩賀手前で旧道へ坂道を左折。しばらく走ると高岩登山口の標識。 【駐車地】 どうにか登山口付近の路肩に1,2台。 【コース】 登山口 - 林道跡 −荒れ沢 - コル - 雄岳(往復) - 雌岳 - 下山分岐 - 展望テラス(往復) - 下山分岐
- TV中継アンテナ跡 - 岩場 - 平坦落葉樹林 - 林道 - 高速取付道路(県道松井田軽井沢線) - 登山口
実行程約3時間
恩賀から見上げる高岩 左雌岳 右雄岳
雌岳
ツリフネソウ
【メモ】 2008年9月14日
判然としない道:
高岩に足繁く通っていたのは10年以上前ですので、さすがに高速道のためにあたりはかつての面影はなく、のっけから入山点が見つからずうろうろしてしまいました。昔 は確か野外活動センターがあってそこから簡単に取り付けたのですが今はその影も形もなく、おまけにあたりの杉林も荒れに荒れて記憶をたどることさえ出来ません。
荒れた沢を直登する登路
あちこち探し回ったあげく昔とは反対側に入山点の標識を見つけました。
恩賀の旧道をたどると左手上に別荘らしき立派な門扉の家が見られますがそのすぐ先になります。
あたりに駐車地もないのでしかたなし路肩に停めてスタートしました。コンクリート舗装の坂を登るとすぐに左にじめじめとしたえぐられた道が分かれます。こんな荒れた道でいいのかと不安のまま荒れ放題の杉林の中の踏みあとを拾って進むと古い林道跡に出ます。少し林道をたどるとまた踏み跡が分かれやっと山道らしくなります。林道あたりはわかりにくいですが小さな標識やテープマークもありますのでそれらを注意深くたどれば間違えることはないはずです。
大岩の基部にある壊れた神社跡を経て急な登りになるとやっと覚えのある沢筋の踏みあとにたどり着きました。荒れた涸れ沢を直登しますが、以前に比べてなんという荒れようでしょう。
だんだん両側が岩の断崖となり喘ぐことしばしで雄岳、雌岳の間のコルに達します。
風が心地よい落葉樹の中の優しいコルです。
雄岳:
荷物をコルに置いて、尾根道を右にとり急登すること5分ほどで壁に突き当たります。雄岳の山体です。岩壁にはイワマツが張り付いて所々にイワギボウシが遅い花をつけていました。
道は左と右に分かれますが、まずは左に登ると行き止まりとなりそこが展望棚になっています。眼前に谷急山が聳えその奥に裏妙義が奇怪な峰を重ねています。真下には上信越道が覗けます。またやや左には稲村山がけっこうな存在感で構えています。しかし、この棚の前には樹木が成長してしまってかつてのような足がすくむような感じはありません。
雄岳
左に微かな踏み跡が下っているのでそれをたどるとすぐにもう少し展望のきく棚上に出ます。ここからならほぼ真下に高速道を覗くようになります。まるで行き交う車がオモチャのようです。
先ほどの分岐まで戻りそのまま進むと岩棚となりここが雄岳のとりつきになります。不動尊と彫られた石塔があり高岩が信仰の山だとわかります。岩棚の先に進むと垂直の壁となりクサリがだらんとぶら下がっています。腕力の弱い私はパスしましたが仲間は勇躍登っていきました。仲間の話ではオーバーハングしているところもありますがチムニー状なので腕力任せで一気に登るようなこともなく途中で足を踏ん張って休むこともできるそうで、結局頂上まで頑張って登ってきたということでした。
コルからの登り返し:
一旦コルまで戻り尾根通しに進むとまた壁の登りとなります。ここはしかし岩壁ではなく木の根頼りの登りです。でも一部崩壊してその頼りとする木の根があまり頼りになりません。この登りは以前よりかなり危険度が増している印象です。ルートを選びながら慎重にこの壁を乗り越すと歩き易い尾根道となります。しかし灌木に隠れているものの覗くとそのまま一気に切れ落ちていて、もしものことがあると命と引き換えということになりそうで油断は禁物です。
所々小さなコブがあり岩上に登ると爽快な眺めが得られます。ただし慎重の上にも慎重に。
雌岳と展望岩棚:
壁を登ってからはほぼ平坦尾根ですが、この一帯の尾根全体が麓から見上げたときの雌岳に当たるようです。雌岳の頂上といってもどれがそれに当たるのかは判然としません。しかし、ひときわ険しい岩塔に向かってあたらしくロープが固定されていましたのでたぶんこの岩塔を頂上と見て登る登山者もいるようです。しかしこの頂上は私たちの技量ではとても登ることはできません。たぶん岩登りの範疇ですし道具なしではちょっと無理のようです。
雌岳をやり過ごすと泥の崩壊斜面となりこれを登ると左に下山道が分かれています。この分岐を記憶に入れておいて、さらに尾根を進むと岩棚で行き止まります。振り返れば雄岳が一枚岩をこちらに向けて聳えています。反対側には碓氷バイパスの峠がこちらより高い位置に見えます。下を覗くと上信越道が山の反対側となって見下ろせます。
ここで昼食の休憩としましたが、すぐ向かいの岩棚が豪快な垂直の断崖の上にあることを考えると、ここもきっと足下のわずか先は100mを越すであろう断崖だと思ってお尻がムズムズして落ち着けません。
雌岳先の展望岩
下山も岩の下り:
先ほどの下山分岐まで戻り急下降するとしばらくなだらかな落葉樹と笹の尾根道となります。TV中継アンテナを見てわずかで尾根から左へトラバースしていきます。
一箇所だけ岩の下降がありますが、以前難儀したこの岩場も現在はしっかりしたロープが固定されて楽になりました。しかし、長い1本のロープなので振られないように慎重に下りなければなりません。
岩場を下りるとあとは気持ちのよい緩斜面の樹林帯を抜け古い林道に出て、ほどなく碓氷軽井沢ICと軽井沢を結ぶ自動車道路に飛び出します。道端にツリフネソウやキツリフネの咲く舗装道を駐車地まで戻りました。見上げる高岩のなんと豪快なこと。
2010年11月27日
落葉後の展望を期待して:
初冬、葉が落ちて展望が拡がった季節に再訪です。
前回登った折には鬱陶しかった入山口付近もこの季節は比較的すっきりして快適に登れます。
一時荒れていた稜線までの涸れ沢の登りもマークがしっかり付いて登りやすくなりました。
雄岳、雌岳間の鞍部は冷たい風が通りますが穏やかな天候のおかげでむしろ気持ちよいくらいでした。
岩登りのグループも登っていてこの山もすっかり賑やかになりましたが、対象は雄岳、雌岳だけのようでその先の展望岩棚や下山の岩場はいつも通り静かに歩くことが出来ました。
恩賀下方から高岩を見上げる
浅間山(展望棚から)
下山路の岩場
展望岩棚からは大きな展望が得られます。なんといっても眼前に大きく構える浅間山。頂上部はもう真っ白でした。南西方向に目をやれば蓼科山や北横岳もやはりもう白くなっていました。
下山路の岩場を過ぎると穏やかな雑木林になります。緊張の連続の稜線とは一転して日だまりハイクで締めくくりとなります。
陽射しの優しい雑木の斜面【便利帳】 トイレ:なし(サービスエリアで済ませて置くことをおすすめ)
コンビニ:上信越道軽井沢ICを出るとすぐ登山口ですから買い物は高速道SAで。【収穫】(^_^; 26片 96g