蓼科山 たてしなやま 2530.3m
日本の中部山岳ほぼすべてを展望
西日本にも北日本にも素晴らしい山はたくさんありますがやはり日本の山の代表格は長野県を中心とした地域に集中していると言っていいかと思います。その山々のほぼ真ん中に2500mの高さで構えているとあればその展望の広さは言うまでもありません。
展望好きなのにこれまで登ったことがなかったのは、リゾート地にあってリゾート地のシンボルのような山で、あまりにもよく知られた山で、その上日本百名山となれば誰がそんな山など登るか、というへそ曲がりゆえです。しかし、仲間と登るとなれば折れるしかなく、台風の去った快晴の秋の日、頑張って登って来ました。
北は立山・劔、白馬、西は槍・穂高、南は木曽駒ヶ岳、空木岳など中央アルプス、北岳、塩見岳など南アルプス、東に浅間山など上信の山とぐるり日本の代表格の山々の豪華な展望を楽しみました。その展望だけでもまさしく名山、へそ曲がりで今まで登らなかったことを大いに反省せざるを得ません。
火口跡に大石の折り重なる蓼科山頂上 一等三角点 蓼科牧場から見上げる前掛山と蓼科山
【日程】 2012年10月21日 【山域】 北八ヶ岳 【天候】 快晴 【地図】 1/25000蓼科山
【アクセス】 佐久IC出口で左折して国道141に出て(左折)佐久平駅の先で右折して県道44(中山道)バイパスへ。
国道142に合流したら望月を通り越して立科町でショッピングセンターとホームセンターのある交差点を左折。道なりに蓼科牧場、女神湖脇を通って白樺高原で戻るように左折、そのまま旧夢の平有料道路(現在は無料)を登ると登山口。【駐車地】
登山口前とその手前の2カ所に駐車場。手前の駐車場は数十台駐車可能。【コース】
七合目駐車場 - 将軍平 - 蓼科山山頂
- 展望方位盤(往復)
全行程 4.5時間
【メモ】
スタートはすでに1900m:
苔の密生したコメツガ林
駐車場からわずかに車道を進むと右に蓼科神社鳥居があり、そこから山道が始まります。標高1900mからのスタートです。
最初はカラマツの林ですがすぐにコメツガの深い森となります。地表や倒木を苔が覆っていかにも八ヶ岳の山域の風情です。
ずっとコメツガの森を歩くのであまり展望は期待出来ませんが、途中何カ所か展望が得られる場所もあります。なかでも天狗の露地は登山道から数mほど右手に外れた大岩のあるガレ地で、北西方面が見通せます。小休止にちょうど良い場所です。
徐々に傾斜がきつくなり、また傾斜が増すのに合わせるように道を覆った石ころが大きくなって歩きにくくなっていきます。
将軍平・蓼科山荘前
蓼科山荘が建つ将軍平:
樹林の前方が明るく透けて見えるようになると程なく将軍平です。将軍平は蓼科山と前掛山の鞍部の小平地で蓼科山荘が建っています。ここまでほぼ1時間ちょっと、休憩には絶好の場所で、山荘前で一休み。
ここは四方から登山道が通じていて、今登って来た七合目からの登山道の他に大河原峠からの道、天祥寺原からの道を併せ南西方向へ蓼科山山頂へと向かいます。
将軍平からは蓼科山の特徴あるドームを直登する急登となります。今まで石のごろごろした歩きにくい道でしたがここからは滑りやすい岩を乗り越えながらの登路になります。ところどころ樹林が切れて振り返れば前衛峰の前掛山を見下ろす爽快な眺めに急登の苦労も忘れます。
岩だらけの蓼科山頂上:
岩の折り重なる頂上火口跡
やがて頭上に山小屋が現れると頂上の一角です。
小屋は蓼科山頂ヒュッテです。登路ですれ違ったハイカーに聞いたところではこの小屋から見た前夜の星空と朝のご来光は素晴らしかったということでした。山頂で一夜を過ごしたハイカーには日常では得難いようなプレゼントがあったわけです。
小屋からわずか登ると一等三角点のある蓼科山山頂です。
山頂一帯は直径100mほどもある平頂で大岩が折り重なった特異な景観をしています。登り着いた三角点のある最高点はその平頂の北東端にあたり、その反対側南東端には方位盤のあるもう一つの高みがあります。そしてそのほぼ中間に蓼科神社が鎮座しています。
これ以上はないような大展望です。三角点からでもぐるり見渡せますが、方位盤のある高みの方が北アルプス方面の眺めが広いのでちょっと難儀ですが岩の折り重なる火口跡を横断します。岩はおおむね安定していますがバランスを崩すと岩の隙間に足を取られてしまいますので足場を選びながらまずは鳥居のある蓼科神社まで。さらに足跡をたどって進むとわずかに高い一角に人工の台座が造られてありその上に方位盤が建てられています。各方角には山の絵と山名が彫られていますのでゆっくり岳望を楽しむことにします。私たちはあらかじめ展望をプリントして用意してきましたので細かく山名同定をしながら存分に大展望を楽しみました。
それにしてもなんという広大な展望でしょう。どこの山に登ってもその特徴的な姿を見ることのできる蓼科山ですから山頂からどこの山をも見通せるのは当然です。
まずは南に秀麗な裾を引く南八ヶ岳。さらにその先には南アルプスも高々と頂を持ち上げています。仙丈岳、甲斐駒ヶ岳を従えて白く雪を被った北岳が目を引きます。そしてそのさらに先にはなんと塩見岳まで見通せました。もちろん中央アルプスも視界の中で木曽駒ヶ岳、宝剣岳、空木岳などが目立ちます。西から北の方向には北アルプスが豪華に並んでいます。左に遠く木曽御嶽山、乗鞍岳。ともに孤高の3000m峰です。そして北アルプスの盟主と言うに相応しい高さで穂高連峰と槍ヶ岳。槍の穂先もはっきり見えます。その手前には蝶が岳や常念岳が並びます。右へ鹿島槍、五龍岳、唐松岳の後立山と続きさらに遠く白馬三山まで届く大展望に思わず歓声を上げました。
鉢伏山、美ヶ原の先に北アルプス全山が
八ヶ岳
一方、東には浅間山が控えています。火山で樹林がないためあと1ヶ月も経てば真っ白になるはずです。
穂高岳、槍ヶ岳
立山、劔岳 近景は美ヶ原
往路を戻って下山:
いつまでも見飽きない展望で去りがたい山頂ですが下山にかからなければなりません。下山路はいくつかとれますが私たちは車なので往路をそのまま戻りました。大岩の重なる道は下山では細心の注意が必要です。
山麓から見上げた前掛山
駐車場に戻ったときには早朝に駐車していたエリアはほとんど帰ってしまっていて、私たちののんびり具合を証明されてしまいました。 帰路、途中の蓼科牧場から見上げた蓼科山のなんと高いこと。【便利帳】 トイレ:七合目登山口 蓼科山荘(有料)
コンビニ:国道142号 国道を離れるとありません【収穫】(^_^; 39片 380g