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浄土山2831m 立山大汝山3015m

これ以上はないような好天に恵まれ中部山岳の眺望をわがものに
 
あまり山慣れていない仲間たちの3000m初体験におつきあいのつもりで出かけたのですが、おつきあいどころか中部山岳はもちろん遠く関東の山々まで見通せる大展望に出会えて、ここ数年のうちでもっとも印象深い山行の一つになりました。ほんとうに山は天気次第ですね。
以前歩いた時にはずしてしまっていた室堂山の展望台と浄土山もちょっと楽しみでしたが、実際歩いてみるとこのコースは魅力満点で、回り道のご褒美は想像以上でした。展望台から見下ろした立山カルデラの偉容は圧巻でした。また浄土山の静けさはここがアルペンルートの大観光地の一角とはとても思えないものです。
翌日の立山も静かで室堂の喧噪が嘘のようでした。この日ももちろん1日目以上の快晴に恵まれ、3000mの高度感を楽しみました。別山に対峙する劔岳の雄々しいこと。さらに後立山の峰々、とりわけ五竜岳のなんという大きさ。
仲間たちにとっても私自身にとってもとても印象深い2日間の山行となりました。
【日程】 2002年8月31日、9月1日
【山域】 北アルプス
【天候】 快晴
【アクセス】 扇沢からの例の乗り継ぎの難関はちょっと季節をはずしただけでフリーパス同然のスムーズさでした。
早朝出発して11時にはもう室堂を歩き始めていました。
【駐車地】 扇沢駐車場。やはり季節によるのでしょう、楽に駐車できました。
【コース】 室堂ターミナル - 室堂山展望台 - 浄土山 - 一の越山荘(泊) - 雄山 - 大汝山 - 富士の折立 - 真砂岳
− 別山 − 別山乗越 − 新室堂乗越 − 雷鳥平 − 地獄谷 − みくりが池 − 室堂ターミナル
(一般向き)
      朝、富士、北岳を望む
 
    タテヤマリンドウ(拡大)
                雷鳥沢への下山路から立山

【メモ】 ちょっと時季をはずしただけなのにアルペンルートはスムーズ:
8月末という時季は観光にはあまり出かけないものらしく、地獄の乗り継ぎと聞いていたアルペンルートは土曜日というのにしごくスムーズに通過できました。
台風さえ来なければ天候も安定するので高山植物目当てでなければこの山域に出かけるのにとてもよい時期のようです。

まずは室堂山展望台からの立山カルデラがお目当て:
室堂平より立山
室堂ターミナルから一の越へ向けて広い遊歩道をわずかに歩くと右に展望台への登路を見出します。この道も整備された遊歩道で、まだ山に来た感覚にはほど遠く観光客とすれ違いながらの登りとなります。
やがて平坦地になって室堂が隠れるといきなり山道らしくなり、あたりは高山の雰囲気。この景観の激変に戸惑います。
浄土山への分岐を過ぎて5分ほどで待望の展望台。左は浄土山の累々とした岩の重なりがのしかかるように頭上にせり出し、右は室堂山の優しいうねりが広がっています。ターミナルからわずか30分ほどでこの景観を楽しめるとはなんて手軽なんでしょう。
ここからの展望は圧巻です。立山カルデラが眼下に広がり、また目を左前方にやれば薬師岳がでっかく聳えています。(立山カルデラは火山的景観かと思っていたら緑の広大な谷でした。大規模治山工事の見本市という様相です。)
いつまでも見飽きることがありませんが、先を急ぐこともあり30分ほど楽しんでからとって返し先ほどの浄土山への分岐へ戻りました。

静けさがうれしい浄土山:
いよいよ今回山行の一つの目的の浄土山。いきなりの急登です。前半は大岩を縫って右に左にルートを拾いながら登りますが、中程から草付きの斜面となります。ここの斜面にはミヤマトリカブトの群生があちこちに見られ、急登をいやしてくれます。
やや傾斜がゆるんで大岩の道となると浄土山の一角。さらに乾性高山植物の多い平坦な尾根を進むと富山大の立山研究所があり、ここが五色ヶ原方面への分岐となります。花も多く展望も見事なのにとても静かなルートです。目と鼻の先に喧噪の観光地があるなんてとても信じられない静けさです。もっとも「ヤッホー」なんて大声で叫んでる今どき珍しいトンチンカンの声が立山方向から聞こえてきたりしますが。(^^;
ここから左に方向を変え一気に一の越まで駆け下りました。あたりはトウヤクリンドウの群生地、薄黄色の花が揺れていました。
一の越山荘はこれといった特徴のないごく普通の山小屋ですが、そんな点がかえって好感持てました。

一等三角点峰代表選手・立山:
最高峰・大汝山
翌日は御来光を期待して4:30に小屋を出ました。軽い高山病なのか体調がすぐれない仲間がちょっとつらそうなのでペースが落ちてしまって、最後部が頂上直前で日の出。先頭は御来光を拝んだのに後を歩いた仲間はホラ貝を聞いただけという不公平な具合になってしまいました。(^^; ここは西斜面から登るので日が昇るのは山の向こう側、途中時間切れで登路で御来光という具合にも行かないのです。
前日にも勝る好天で朝日に染まる中部山岳の全体像が強烈でした。刻々と色合いを変えるこんな景観はそうそう出会えるものではありません。立山といえどもやはり3000mの高みは素晴らしいの一語に尽きます。
ポピュラーな山の代名詞とも言える立山なのにこの眺望を目にした幸せ者はわずかに十数人のみ。静かな静かな晩夏の立山でした。

意外にてこずる立山の通過:
数年前に登ったときはまだ若かったのかなんの苦もなくあっという間に別山まで駆け抜けた記憶がありますが(というよりあっけなかったので印象すら薄い)、今また歩いてみると意外や登ったり下ったりの連続で大人数の私たちにはけっこう難儀な道です。とりわけ富士の折立からの下りには難儀しました。(ちょっとルートをはずしたせいでもあります。)
相変わらず右に北アルプスの全貌、左に室堂の台地と富山平野、富山湾、能登半島と続く鳥瞰図、なんとも広大な眺めです。それが歩を進めるに従って少しずつ微妙に変わっていくパノラマ、飽きさせません。

別山ははずせない:
別山から劔岳

立山の3つのピークを越えるとあとは真砂岳の快適な尾根道となり、最後にやや急登をこなすと別山北峰に飛び出します。眼前に圧倒的な劔岳がどでんと現れるその劇的な景観はここならではのものです。さらに南峰まで歩を延ばすと劔沢を眼下に、さらに前方には後立山の全貌が手に取るよう。(捲き道で別山をかすめるコースがありますが、安易にラクチンを選んでここを知らずに通過してしまうハイカーがいることを考えると、捲き道は塞いでしまうべきですね。捲き道は思った以上に難路だそうですし。)
別山から劔御前小屋までの下降路は奥大日岳を目の前にしてさらに富山湾、能登半島を見下ろす快適な道です。小屋前で昼食にしてから、さらに新室堂乗越まで、7月ならば花に埋もれる道を下りますがここからは2日間歩いた半円のロングコースを見通すことができるので最後を飾るにふさわしいコースと言えます。

脅した本人が知っていながらヘロヘロに:
来る前から仲間たちには地獄谷の地獄の登りの恐ろしさを念押ししてきました。劔御前からの下りでもう充分という足にさらに頑張ってもらわねばならない上に、気分はもう終わってしまっているので最後のみくりが池までの登り返しのつらいこと。元気な観光客と並んで青息吐息でやっとの思いでターミナルまでたどり着きました。
【便利帳】 トイレ:各小屋
水場:各小屋