【メモ】 |
荒れてしまった般若川:
湧水で知られた出流原弁天の上流に里山に抱かれるように家々の点在するのどかな寺久保の里はあります。そのもっとも奥まった山懐にはひっそりと医王寺があり、その山寺の門前を流れるのが般若川です。その流れの源が寺久保山、かつて佐野市が広域合併する以前は佐野市の最高峰だった山です。
昔はこの般若川に沿って作業道が通じていてそれがそのまま登山道になっていました。しかし近年は歩く人もなくすっかり道も荒れてしまいました。
寺久保山は多くのハイカーを集めていますが、みなさん大小山までの縦走を楽しむためのスタート点として登るケースが多くどうしても尾根道をとることがほとんどのようです。
医王寺の山門前を過ぎて沢沿いの道を登るとすぐに堰堤が現れます。このあたりから古い林道跡にヤブがせり出してこの先の状況を予感させています。予想通り林道跡から山道となるとところどころ道形が怪しくなりついには沢を歩かざるを得なくなります。
古いガイドブックなどを見るとこのあたりに不動の滝があると記述されていますが渇水期でもあるしそもそも小さな沢なのでそれがどこかよくわかりません。また寺久保山へは途中から左の尾根に取り付くような記述も見られますがその道も見いだせません。仕方なし、上へ、上へと沢を詰めるしかありません。完全に踏み跡も消えるとあとは藪を突いて源頭を這い上るようになります。棘の木の灌木帯があり顔や腕は傷だらけです。さんざんな般若川となってしまいました。(このマメ科の植物はジャケツイバラでこれに絡まったら傷だらけになることを覚悟しないとなりません。)
最後に藪を突いて登り着いた稜線は寺久保山北東の鞍部、右に進むと般若峠に向かうことになります。途中に展望台がありますのでそちらへ進みましたが、なんと付いたばかりの熊の足跡が雪の上にはっきりと残っていました。怖じ気づいて展望台は諦めさっさと寺久保山頂上へUターンです。 |
ひっそりとした寺久保山:
下山尾根から佐野方面 遠く筑波を望む
|
寺久保山は三角点と山名プレートがあるだけの寂しい頂上です。樹木に囲まれて展望もありません。しかし樹木に囲まれているのはむしろありがたいくらいで、頂上直下北側は大規模な土砂採取場をでそれを見ずに済むというわけです。
長居するほどの場所ではないので雷電尾根へ向けて下山開始です。
登りのルートとは一転、歩きやすい道が続いています。最初こそ急な下りでしたが尾根道になると露岩と赤松の心地よい快適なルートとなります。 |
展望尾根を一気に下る:
振り返ると先ほどいた寺久保山が高々と聳え、その左手には山王山も大きな山体を横たえています。ともに頂上は展望もなく樹林の中であまり魅力的とは言えませんが山そのものを見上げると立派です。
ただこの尾根は眼下にゴルフ場が広がっていてさらには反対側の般若峠の向こう側のは土砂採取場が目に入りあまりうれしい眺めとは言えません。とにかくそれらは見ないことにして遠望と尾根の露岩や松の風情を楽しみながらどんどん足任せに下りました。
寺久保山 |
山王山 |
|
雷電神社へ下山:
雷電神社
|
露岩尾根から樹林の中の下りになるとやがて雷電山、頂上と言うより通過点のような感じです。ここで左に折れて檜の林を下ると里道に降り立ちます。左にわずか進むと雷電神社が鎮座しています。本殿を覗くと拝殿の簡素な外壁からはうかがえなかった極彩色の立派な彫刻に驚かされます。
駐車地までは田圃道をたどってほんの一投足です。
|
|