鳥屋山 580.6m
カタクリで有名な一等三角点峰は飯豊連峰、下田山塊、下越の山々の大展望台でもあります
会津の西はずれにつつましく存在する鳥屋山はいかにも里山という感じですが、れっきとした一等三角点峰です。そして、さすが一等三角点峰、その展望は息をのむばかりです。
カタクリの花を求めて登ったのですが、その岳望に圧倒されてカタクリの印象も薄れがちでした。圧巻はなんといっても飯豊連峰の雄大さです。眼前に堂々と横たわってまさに雄峰と言うにふさわしい姿です。しかも展望は飯豊ばかりではありません。飯豊に向けた眼を右にやれば磐梯、安達太良など福島の名峰、左にやれば蒜場山、御神楽岳、下田山塊など新潟の山々が白く輝いて折り重なっています。なんとも贅沢な眺めです。
もちろんカタクリ群落もなかなかのものですし、キクザキイチリンソウ、ヤマエンゴサク、たくさんの種類のスミレなど東北の低山を埋める花々も見事です。
【日程】 2004年4月25日 【山域】 西会津 【地図】 1/25000野沢
【アクセス】 磐越自動車道西会津ICを出てそのまま国道49号を横切ってあとは県道16号喜多方西会津線を道なりに走ります。途中磐越西線をくぐった先の丁字路にぶつかって右折する他はほぼ一本道です。県道は峯橋で左折して阿賀川を渡りますが、鳥屋山へは県道を分けて直進します。すぐに坂道となりますが急坂の手前左に漆窪地区の集会施設がありそこが駐車場として開放されています。この道はやがて林道となり登山口まで車で入れます。そこにも駐車スペースはありますが、農作業の車が通りますのでこの集会施設駐車場に置きたいものです。せっかく地元で用意してくれていることですし、山畑をたどってのんびり歩いてもたいした距離ではありません。
郡山方面からは距離からいうと磐越道会津坂下ICの方が近いのですが、初めてですと迷いやすいかもしれませんので、西会津ICからのアクセスがおすすめです。【駐車地】 漆窪地区集会施設駐車場。20台くらいは駐車できそうです。
トイレ、水道もあります。【コース】 集会施設 - 登山口 − カタクリ群落 − 林道(横切る) − 第1展望台 − 大夫岳 − 鳥屋山 (往復)
実行程約3時間 初心者き
小広い頂上
【メモ】 地元でハイカーを歓迎してくれているのがよくわかります:
地元で漆窪地区集会施設駐車場を開放しています。前週の山開きの片付けをしていた地元の方に山道や花の状況を丁寧に教えていただきました。
漆窪の集落を抜けると道はそのまま林道となり、それは鳥屋山の向こう側、軽沢、別茶屋方面に続いているようです。登山口は途中から右に折れて山畑の中をたどるとでっかい看板でそれと判ります。しばらくは林道とも登山道ともつかない広い道ですが、これは山畑への作業道のようです。あたりはなるほど会津だなと思わせる桐の木が目立ちます。放棄された山畑はヤマエンゴサク、カタクリ、キクザキイチリンソウの花盛りでした。
徐々に傾斜がきつくなるといよいよカタクリ群落:
カタクリ群落
背後に西会津の丘陵が眺められるようになるとカタクリ群落が現れます。今年は春の訪れが異常に早く、すでに瑞々しい時期は過ぎていましたが、それでも一面に広がる淡紫は見事です。キクザキイチリンソウ、ヤマザクラも楽しめます。
カタクリ群落の中程から階段が始まり、途中林道を横切って、暫し急登をこなすと尾根に飛び出します。
豪快な山岳展望:
最初の高みが第一展望台。素晴らしい展望ですが、その先の大夫岳(第2展望台)ではさらに雄大な展望が待っていました。ここからの眺めは飯豊連峰の大きさを実感できます。稜線は真っ白に輝いて、たしかに豪雪地帯の山です。
さらに嬉しいのは、越後の山々の展望台でもあると言うことです。蒜場山がひときわ白く輝いて見えます。またやや遠く下田山塊も一望です。
楽しい稜線漫歩:
アップダウンの少ない稜線は良く踏まれていて快適です。見下ろす西会津の丘陵は淡い緑が心地よく、まさに春爛漫。とはいえ、今日に限ってはときどき白いものがチラチラして、景色とはいささかギャップのある天気でした。(前夜、若松では吹雪だったそうで、北国の春はなかなか曲者です。私たちも今朝雪の降りしきる高速道を走ってここまでやって来たのです。)
飯豊連峰
カタクリで有名な山ですが、稜線ではスミレが目立ちます。たくさんの種類を見ることができましたが、いかんせん、スミレは種類が多くなかなか同定が難しいものです。
鳥屋山の展望はちょっと期待はずれ:
頂上手前で別茶屋方面への道を右にわけ、さらに左に簡易トイレに通じる切り開きを分けるとひょっこり小広い頂上に飛び出します。頂上から南側の展望を期待していましたが、雑木に被われてまったく展望は得られません。平坦な頂上で、昼食にはもってこいです。この地方では春一番に登山のできる数少ない山だけあって地元の皆さんでいっぱいでした。
ゆっくり昼食をとり、あとは往路をそのまままた花と展望を楽しみながらのんびり戻りました。
木の間越しに西会津丘陵を見下ろしながら山桜の下をのんびり下山
ヤマエンゴサク
キクザキイチリンソウ【便利帳】 トイレ:集会所と頂上手前。頂上手前のトイレはビニルシートで囲った簡易なものです。 【収穫】(^^; 58片、380g。