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美ヶ原  うつしがはら 2034.4m

山の仲間に美ヶ原に行くと言ったら、何考えてんの、どうしちゃったんだ、と言われるかもしれません。当然です。今や登山対象から外れてしまって久しい山域です。
車で登る、登る、もぉそれ以上登るとこ、ないもんね。(^_^;
なんでそんなところに、と言えば、それはこれ以上はないという大展望ゆえです。日本の3000m峰のうち南アルプスの一部以外はすべて見えると言うことで、中部山岳のどまんなかという位置がこの美ヶ原の最大唯一の魅力です。
ほぼ50年ぶりに歩いてきました。

      美ヶ原     アンテナが林立する王ヶ頭
【日程】 2019年5月11日
【山域】 中信
【天候】

【アクセス】 上信越道佐久小諸JCTから中部横断道へ入り佐久南ICで国道142諏訪方向へ。浅科、望月、立科、笠取峠を通って大和橋のY字路で大門街道を左に分けて右折して和田へ。和田で美ヶ原を示す案内に従って右折。通行量の少ない山間道路をひたすら上ってビーナスラインに合流したら程なく山本小屋。
【駐車地】

 山本小屋の前に大きな駐車場があります。
【コース】
山本小屋 - 美しの塔 - 王ヶ頭ホテル
(往復)
全実行程 2.5時間
【メモ】
ほぼ車で登ってしまう:
山本小屋付近からまだ雪が残る美ヶ原南縁を望む

和田宿を出ると後はずっと登り一方の道でビーナスラインに合流します。さらにビーナスラインを登って美ヶ原高原美術館との分岐を左にとるとすぐに山本小屋の駐車場です。
駐車場から南へ展望が広がっています。特に歩こうとは考えていない観光客は美術館からこちらへ回って駐車場から眺めを楽しんで帰るようです。
準備を整えて、出発。とは言っても砂利道が続いているだけですから、さあ、歩こうという気構えは出てきません。他に脇道なども見当たらないし、牧場なので柵内は立ち入り禁止ですし、砂利道を歩くしかありません。山歩きの格好ではちょっと気恥ずかしいので山靴は出さずにスニーカーで歩き始めました。(これが失敗で、砂利道こそ山靴を履くべきでした。足が安定せずにけっこう疲れました。)

ただただ広い 人影はまばら
気分のよい広さ:
道は砂利道で山歩きにはほど遠いですがそれでもこの広さには気分も解放されます。
特に変化もなく広々とした牧場の中の一本道を歩くだけですし、この季節はまだ放牧も始まっていないので、単調と言えば単調です。それぞれの開花期にはレンゲツツジやらマツムシソウやらハクサンフウロやら亜高山草原の花々が咲くようですが今は枯れ野が続くばかりです。その分人影もまばらで静かな高原ののんびり歩きを楽しめるのはありがたいです。

北アルプスが見えてからは気持ちも一変:
後立山(爺ヶ岳、鹿島槍ヶ岳、五龍岳)

美しの塔あたりまで来ると北アルプスが見え始めます。ピーカンというわけではないものの北アルプス方面だけは靄も雲もなく視界いっぱい北アルプスという幸運。
圧巻の北アルプスは、御岳から始まって乗鞍岳、焼岳、西穂高岳、前穂高岳、奥穂高岳、涸沢岳、北穂高岳、(大キレット)、南岳、大喰岳、槍ヶ岳、蝶ヶ岳、常念岳、大天井岳、燕岳、餓鬼岳、立山、針木岳、蓮華岳、剱岳、爺が岳、鹿島槍ヶ岳、五龍岳、唐松岳、白馬岳、とこんな具合です。これらの山々が真っ白で一番きれいに見える季節なのがいいですね。
ただし牧場内からでは王ヶ頭のアンテナ群が邪魔をしてカメラを構えるには不都合です。王ヶ頭まで行けばどうにかアンテナをはずしてカメラに収めることができます。
アンテナの先ならもっと良いかと思って行ってみましたが今度は王ヶ鼻のアンテナ群がちょうど穂高連峰と重なってしまいます。王ヶ頭でのベストポジションはホテルの北側の工事車駐車地あたりです。ただし展望は良好でも雑然としていてよい休憩場所ではありません。
王ヶ鼻まで行けばさらに好展望のはずですが連れもいたのでここで我慢することにしました。
北アルプスばかりではなくホテルの東側の休憩広場からは南アルプス、中央アルプス、八ヶ岳が展望できます。さらには富士山まで見えると言うことですが残念ながら富士山は靄に阻まれ、南アルプスと中央アルプスは雲の断片が邪魔して一部が隠され山座同定は難しい状況でした。
こうして指を折りながら数えてみると日本の3000m峰のほぼすべてが見通せる絶好の位置にある展望台だと気づきます。日本に3000m峰は21座あると言うことになっていますがそのうちここから見えないのは間ノ岳に隠れる農鳥岳くらいではないでしょうか。
また北アルプス全山が見渡せる山もそうたくさんあるわけではなく、その観点からも貴重な山です。(大町、安曇野、松本など北アルプスの膝元ではかえって眼前の前衛峰が邪魔になって見えません。)
なお、塩くれ場付近から砂利道を避けて王ヶ頭へ中腹道がつながっていて(アルプス展望コース)少しでも山道を歩きたい向きにはこちらが楽しいかもしれません。

 穂高連峰(前穂高岳、奥穂高岳、涸沢岳、北穂高岳の3000m4兄弟)  手前は蝶ヶ岳 右が大キレットと南岳
 飛んでいるのはホバリングしているチョウゲンボウ

     3000m峰の南岳、中岳、大喰岳、槍ヶ岳、手前に蝶ヶ岳、常念岳、東大天井岳

牛伏山:

     牛伏山頂上

山本小屋まで戻り駐車場から北の高みへ登る登山道を10分ほどたどると牛伏山です。王ヶ頭とほぼ同じ展望が得られます。アンテナがない分王ヶ頭よりすっきりした景観です。
山名方位盤があるのでどなたでも山座同定を楽しめます。
【便利帳】 コンビニ:望月に2店、立科に1店、長門に1店
トイレ:山本小屋、王ヶ頭ホテル 共に有料
【寄り道】 風の丘しいある:ローズガーデンとカフェレストラン おすすめです
佐久南ICから国道142をわずかに走った丘の上にあります。な、なんだ、なんだ、と声が出てしまうような偉容を誇る英国城塞風の建物なのですぐにそれとわかります。おいしいケーキとコーヒーで一休み。庭園を楽しむには入園料700円。

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