【メモ】 |
阿武隈らしい山里:
庭園のような小池には小魚が
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アプローチは少々複雑な道順ですがしっかりした案内板がありますからそれに従って進めば山里を縫って登山口まで導かれます。高原状の山間のどこまでも里が入り込んで、いかにも阿武隈らしい風景です。
道は林道というか農道というか、いずれにしても現在は山間の田圃の耕作に利用されているようです。
舗装が尽きるところに駐車場がありここからスタートです。(駐車場と看板に書かれてありますがただ路肩に停められるという程度です。)
駐車地から見上げれば遙か頭上に矢大臣山頂上が見えます。
駐車地の先にある最奥の家はすでに住人はなく、小菊が花盛りなのがかえってもの悲しい風情です。
どこまでもなだらかな道:
その先も舗装こそされていませんがオフロードの車なら難なく通れるような広い道がずっと続きどこからが山道なのかわからないほどです。
しばらくは棚田に沿って進みますが、途中左手に(たぶん道路開削で出来たと思われる)庭園風の小池があります。アサザのような浮遊水草が水面を覆い小魚がたくさん泳いでいました。
かつて林道として使った道らしくわずかな傾斜地でもヘアピンカーブになっていて、こんなことではいつになったら頂上へ着くのかといぶかしく思うほどです。しかし、だんだん周囲の林相も落葉樹となり山らしい景色に変わり、左に折れて前方に山頂を見上げる地点からは林間の山道になります。所々に樹種を示すプレートが掛かっていて、クリ、ミズナラ、アカマツなど一般的なものからウラジロノキ、コバノトネリコ、ヨグソミネバリなど初めて聞く名前もあってけっこうマニアックなプレートです。(^_^) |
長持石
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長持石、大ブナ:
いつになってもなだらかなままなのは変わりませんが、樹林の様子は徐々にミズナラ、ブナなどが多くなり深い山らしくなってきます。
樹林の中の道脇に大きな石が立っていて、これが長持石と言われているそうです。石の脇に由来が書かれていたらしい木板が分解して転がっていましたがすでにもう書かれた文字も読めません。
長持石からさらに登ると大ブナが現れます。会津や信越のブナの巨木に比べればそれほどの大木ではありませんが、この山域では大木の部類なのかもしれません。
大ブナまで来れば山頂はあと一息。わずかな急登で左右が灌木になって来ると突然頂上の一角のカヤトの原に飛び出します。振り返ると阿武隈南部の丘陵のなんと広いこと。
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芝草の頂上と阿武隈南部の丘陵 |
端正な蓬田岳を望む |
芝草の平頂にはアンテナが林立:
小白井ウィンドファーム
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山頂一帯は平らな草地でヤマツツジがあちこちに群落を作っています。開花期は鮮やかな朱に染まるそうです。
山頂を占有するかのように中継アンテナが林立し、そのための車道も反対側から登って来ています。のんびりと紅葉の始まった樹林を歩いてきたのに、あらららという感じです。(^_^;
でもそれを差し引いてもあまりあるほどの魅力はほぼ360°の大展望です。
大きな展望台がありここに登ると東側の樹木も気になりません。
阿武隈山地も南に向けては顕著な高みはこの矢大臣山で終わりますので南側の眺めはまた独特なものがあります。どこがなにやらかいもく判別のつかないようななだらかな丘陵が延々と続き(それは常陸の山まで続いています。)その所々に牧舎と思われる建物が光っていたり牧草地らしき緑が見えたりと人里と山との区切りが曖昧で里の暮らしが山地と密接に結びついている阿武隈の姿を見ることができます。
一方、北側には阿武隈山地の核心部といっていい山々がぽこりぽこりと優しい円錐形のピークを並べています。
なんといっても西側に位置する蓬田岳が目立ちます。すっとした端正な姿が目を引きます。その右には二ツ石山、一盃山、日影山の山塊、たぶん重なっているので見えるのは日影山のようです。さらにその右に黒石山、高柴山の山塊、これも見えるのは高柴山でしょうか。ほぼ真北にはレーダーの目立つ最高峰大滝根山とそれに重なる羽山が見えます。羽山は谷ひとつ隔てて標高も矢大臣山とほぼ同じですから麓から見ると対を形作っている姉妹のようです。
また東側にはここに登ってみるまでまったく知らなかった小白井ウィンドファームが広がっています。風力発電風車群です。近くに行くと全体は見渡せないそうですがここからは全体を見ることができます。なんと23基を数えることが出来ました。先日会津布引山の風車群を見ましたが、こちらもそれに匹敵する規模です。残念ながらなぜかこの日はすべての風車が稼働していませんでしたので23基が一斉に回転している勇壮な姿は見ることができませんでした。
三角点は展望台の先にあります。うっかり展望台で戻るところでしたが、展望台下に小さな案内板があり山頂がこの先であると示しています。少し進むと石祠がありその裏に三角点がありました。石祠の周囲には蕾をたくさんつけたアセビが何本か生えていました。
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往路をそのまますたすた下山:
下山は往路をそのまま戻りました。いつの間にか快晴になって紅葉が朝より鮮やかでした。急傾斜がないだけに一気に駆け下ることができました。 |
秋の日をいっぱいに浴びて下山 |
快晴になって紅葉も鮮やか |
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