【メモ】 |
遠路はるばる:
すさまじいスラブ
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焼峰山の登山口にあたる赤谷は関東からはかなりの距離で、東北道、磐越道を経由して約4時間を要しました。
磐越道三川ICから新発田津川線(会津通)に出るのがちょっと複雑であらかじめ道路地図を見て道順を頭に入れておいた方がよいかもしれません。
また登山口となる滝谷集落の道も複雑ですが、こちらは登山の地形図で調べることができます。
前半は平坦な登りから:
登山口には駐車できないので少し先の駐車地から戻って登山道にとりつきます。薄暗い杉の植林地をしばらくたどりますが、そのうちに豊かな樹種の森となり林床もいろいろな植物が繁茂して鬱陶しいくらいです。このあたりではもう春の花は終わったようで咲き残りのショウジョウバカマを見る程度でした。
しばらくはダラダラと平坦地を歩くことになり距離は稼いでもなかなか高度は上がりません。1時間ほどで地面に落ちたウグイス平の標識を見ますが、このあたりでダラダラ登りも最後となります。
対峙する尾根の斜面は豪雪地帯特有のスラブとなって深い谷に落ち込んでいます。なかなか壮絶な眺めです。
急登の連続:
ウグイス平からはこれまでの穏やかな登りを取り返すような帳尻合わせの急登が続きます。所々展望も開け背後を振り返れば俎倉山がせり上がっています。しかし上層は雲に覆われて行く手の焼峰山も右手に見えるはずの蒜場山もその頂稜部は姿を現してはくれませんでした。
シラネアオイ
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登山道脇にはヤマツツジが鮮やかな朱の花を開いてきれいですが、この時期ですからこの鮮やかさが却って暑苦しい印象です。
歩いている尾根の下方は右も左も急なガレやスラブとなっているのですが、見下ろせる範囲には灌木があって恐怖感は全然感じられません。このあたりから今回の目的のひとつ、ヒメサユリが清楚な姿を見せてくれます。この上品なピンクの花に会うのはこの時期の越後の山の楽しみの一つです。
針金とトラロープを張ったガレを通過し、さらに登って樹林の中の水場清水釜で一休みして、もう一登りで修蔵峰です。遭難碑があり展望が開けています。ただ上層の雲のため周囲のスラブの豪快な眺めと新発田方面の眺めに限られてしまい残念です。こちらの天気がいまひとつはっきりしないのに比べ、新発田の平野は晴れていて日本海の海岸も見通せました。
修蔵峰からさらに一汗絞られると一旦平坦になり左手に雪渓が現れます。ここにシラネアオイの群落があり、ちょうど開いたばかりの新鮮な色で咲いていました。中には白花もあって思わずその美しさに一同歓声をあげてカメラに夢中となりました。
期待の展望は空振り:
最後の急登を頑張るとやっと頂上です。頂上には三角点が何故か掘り出されて山名標識にくくりつけられていました。頂上にガスがかかってはいないものの周囲の展望は得られず、もちろん飯豊連峰は前衛峰すら姿を見せてはくれません。
尾根はさらに続いていて焼峰の頭(やきみねのかっち)まで行けるというで展望の期待はないものの尾根道をたどってみました。しかし5分ほどのところで尾根のすぐ下でなにやら争っているような動物の獰猛な声がしたので、肝を冷やして大慌てで戻ってきてしまいました。Webサイトを巡ってみると焼峰山で熊に遭遇した報告がかなりあったからです。
頂上に戻って風の少ない場所を選んでしばらく昼食をとりながら休憩して天候の回復を待ちましたが、多少明るくはなってもすっきり晴れることはなさそうなので腰を上げて、往路を戻りました。
下山時は登りの時より天候が好転して周囲の山の展望も若干広がりました。肝心の飯豊連峰と蒜場山は姿を見せずじまいでしたが、振り返る北から西、南には二王子岳、五頭山、菱ヶ岳、菅名岳、白山、粟ヶ岳と下越中越の名だたる山々が並んでいました。
山名:
焼峰山の呼称ですが「やけみねやま」としているガイドブックやWebサイトをよく見かけます。国土地理院のサイトで調べるとこちらも「やけみねやま」としています。
しかし地元で建てた案内では「やきみねやま」としてあります。
国土地理院のサイトでの呼称ですから焼峰山の三角点名が「やけみねやま」かと想像しましたが調べてみると「瀧谷」ですので今のところその根拠ははっきりわかりません。
ここではとりあえず地元の呼称を優先しました。
俎倉山 |
シラネアオイ白花 |
灌木帯を下山 |
下山路から焼峰山頂上 |
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