【メモ】 |
ケヤキ自然林
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ゲートが閉鎖されていて長い林道歩き:
林道最奥まで走るつもりが、あてが外れて林道半ばでゲートに阻まれ往復2時間ほど林道歩きを強いられました。
しかしこの林道は茗荷川の緩やかな流れを見ながら、また周囲のヒノキの美林を見ながらのんびり歩けますし、途中からケヤキの自然林も現れるのでそれらを楽しみながら歩けばそれほど苦痛ではありません。
1時間ほどの林道歩きの末、終点広場にたどり着きます。
この広場には八溝山天然林保存会による「八溝山 アカシデ ケヤキ 材木遺伝資源保存林」の看板があり、なるほど天然ケヤキが多いはずだと納得しました。奥久慈県立公園の第一種特別地域だそうです。車で山頂まで登れてしまう八溝山ですが山麓は自然が色濃く残っていることがわかります。
のっけからルート探し:
林道終点の看板に示されているルートは茗荷川の左岸を辿っていたのであちこち探してみましたがどうもそれらしい道は見当たりません。対岸の右岸に高巻くように新しく付けられた作業道が見えますので、どうやらこれを行くしかありません。
よく整備された道を登って行くと対岸(左岸)に古い道跡が見えます。たぶん看板に記されていた登山道の跡のようです。沢沿いなので崩壊してしまったようです。
やがて沢に降り立ちなだらかな沢沿いの道を登って行きます。サワグルミ、シデ、ケヤキ、イヌブナなどの落葉樹がとてもきれいな沢です。 |
シロヤシオ、ネジキの尾根
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このコースの核心、茗荷川源流:
沢がやや北向きになると「ふくしま遊歩道50選」の標識のある小広い場所に出ます。あまり人の入らない雰囲気の沢筋にしては立派な標識です。
あたりは自然林が美しく、ミヤコザサが林床をまだらに覆っています。八溝山の沢筋の奥の奥に人知れずこんな景観が広がっているとは驚きです。
ここで道が不確かになりますが、少し探ってみたら沢を渡った先に尾根に取り付く道があり、これを辿って一気に枝尾根まで登りつくことができました。この日唯一の急登です。北斜面なので雪が多く、この時期に下りにとると少し大変かもしれません。
一気に高度を上げるので展望も広がって左手に高笹山方面への長大な尾根も見えてきます。背後には入山とそこから続く尾根(茗荷川と八溝川を分ける尾根)も見えます。こちらも高笹山の尾根同様延々と続いています。
尾根に登りつくとそこはシロヤシオの純林です。花の時期にはどんなにかみごとでしょう。ネジキの大木も散見できます。
この尾根は県境尾根から派生している小尾根で、高笹山への尾根と至近で並行して走っています。二重山稜のようなちょっと不思議な地形です。
やがてあたりはミズナラ林になり、ほどなく県境尾根の縦走路に合流します。
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大展望の八溝山頂上展望台:
八溝山頂上 一等三角点標識
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県境尾根は直下に林道が走り、少し先からは左手が薄暗い植林地になるのであまり見所は見つけられませんが、なだらかな尾根なので頂上までは難なく登りついてしまいます。
頂上は興ざめなアンテナや展望台があり、おまけに車で登ってきた皆さんが多くあまり長居は無用です。とはいえせっかくの頂上ですから展望台に登って大展望を楽しむことにします。
文字通りの360°大展望。遠く富士山もうっすらと認められます。奥久慈男体山や鷹取岩、さらにその左手に延々と連なる常陸の準平原のような山々。今は原発事故で登りにくくなってしまった阿武隈の山々。那須、高原山など栃木の山々や筑波山、加波山。自身はなだらかすぎて山好きの人以外は見ても見えないような存在ですが、関東、東北を一望する位置にあるだけにさすがの展望です。
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高笹山への尾根
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下山の沢もまた自然林をたどる:
県境尾根を高笹山分岐まで戻り、高笹山への尾根に入ります。ミヤコザサが林床を埋めた気分のよい尾根ですが、しばらくすると右側は薄暗いヒノキ植林地になります。美林とはいえちょっと味気ない気もします。むしろ登りに歩いた小尾根がすぐ近くに併走しているのでこの景観が気に入りました。
やがて茗荷分岐を示す案内標識が現れます。しかし茗荷を記す文字はテープで隠してありますのでどうやら地元ではこのコースは歩いてほしくないようです。そのことはこの分岐から沢に向かって歩き出すとすぐにわかります。最初の数メートルこそ踏み跡はしっかりしていますが沢筋に降り立つ地点ではすっかり道型は沢の中に消えてしまいます。
幸い涸れ沢なので自由に歩けますが大きな石がごろごろしていますので足場を踏み外さないよう細心の注意が必要です。この時期は落ち葉が積もりその上を雪が覆って足場がよくわかりませんので苦労しました。
途中小滝が2カ所ほどあり高巻きをしなければなりませんが、それ以外は沢身を下ることができます。
左右は素晴らしい自然林で、登りにとった茗荷川本流同様この山域がとても自然豊かなことにうれしくなります。
いつ水流が現れるかとヒヤヒヤしましたが結局涸れ沢のまま靴を濡らすこともありませんでした。本流に合流すると程なく林道終点の広場です。
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ミズナラ林 |
下山の涸れ沢 |
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