【メモ】 |
長いこと暖めていた急峻な岩峰群:
駐車地から見上げるとお目当ての岩峰群が小気味よく並んでいます。すべてのピークが赤松をまとっていますので、なんとか越えられそうな気もします。
スタート地点を林道の峠にとりたいところですが、そこまで林道歩きもつらいので途中からショートカットをして植林地の踏み跡を使って尾根に一気に這い上がりました。(林道は途中にある山荘の入り口で一つ大きく折れます。次ぎに右に張り出してからまた左に引っ込んだあたりの植林地に踏み跡が上がっていくのが見つかるはずです。)
あたりは猪公の足跡だらけです。木の根を掘ったのか、穴ぼこがあちこちに。あまり有り難くはないですが、こいつらを狙っているのか遠くから聞こえるテッポの音もまた藪歩きには心配の種です。
しばらくは植林地と雑木の退屈な尾根歩きです。おおむね尾根道は消えていません。
途中、なんでか、トイレ小屋が捨ててありました。どっひゃぁ。工事現場にあるあれです。藪の中にひっくり返っていました。なんでぇ?なんと、尾根の左脇には林道工事跡が。すでに工事は中断していて、完全に法面は崩落してトホホ状態。(じつは下山後見上げたらとんでもない高さに刀傷。トホホ。上記写真の1峰の下に写っていました。たぶん山荘脇からの林道の先なのでしょう。)
駐車地点から尾根まで約45分、さらに30分弱で大きな高みにたどりつきます。地形図で破線が上がってきているピークです。ただし、この破線が谷から上がって来るのは気付きませんでした。すでに消えているのかもしれません。
大きな高みから核心部へ:
1峰から4峰を望む 手前は3峰 遠景は雪雲に隠れる三滝方面
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この大きな高みは展望もよく、三峰山や大鳥屋山が相い対で眺められます。ともに痛々しい姿です。
ただ、ここからの眺めを言えば、三峰山や大鳥屋山など眼中に入りません。ここへの直下の登りで露岩が現れ、いよいよ岩峰群の始まりを予感させましたが、頂上からの行く手の様子はあっと驚く劇的な景観です。眼前に岩と松の大きな鋭鋒が待ちかまえるように聳えています。うひゃぁ、あれを登のかぁ、思わず大声で独り言。
いや、その前にここからどう降りればいいものか、恐る恐る覗いてみてもほとんど断崖で行く手を確認できません。ちょっと右手の棚から身を乗り出してみましたが、下降ルートの全貌はとても把握できません。暫し躊躇しましたが、しかし、落ち着いてよくよく見ると右手に古い踏み跡がかすかに認められます。先人の痕跡に従ってこれをルートに決めると、すぐさま数メートルの岩の下降、手がかりになるものといえばかなり危なっかしい灌木のみです。どうにか岩を降りると尾根を越えるような具合に北斜面に進み、今度は断崖の基部のわずかな棚に危なっかしい古い道形が認められます。もちろんその気で見た目にしか映らない程度のふるい痕跡です。こちらは灌木もなく手がかりはわずかな岩角のみで、かなり慎重にならざるを得ません。ここが全コースでもっとも緊張した部分です。
次々現れる岩のピーク:
下降に難儀
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ここからしばらくは、今日のコースの核心部とも言える豪快な岩のピークが続きます。仮にそれぞれの高みを番号で呼ぶとすると、最初の高みを1峰として、2峰と3峰は小さなピーク、4峰は1峰から眺めた大きなピーク、この岩峰群の盟主です。さらに5峰が小さなピーク。そして最後の大きなピークが6峰となります。ただし、大きいも小さいも歩いてみればほとんど同等でどれもこれも楽しいものです。
(以下、ルート図参照)
2峰はそのまま乗り越えられます。
3峰は登りはできますが下降が難しく、右手に降る踏み跡がありこれを辿って回り込みました。
4峰は1峰から見ていたのではなから諦め、直登は選択せず道形を探しました。右手の岩の基部を捲く道形を見出し、かなりの大捲きで反対側の主尾根に回り込みピークに登り返しました。
5峰は登りは問題なく、下りは3峰と同様右へ踏み跡を見出せます。
6峰は大岩の基部を回り込み一旦東に延びる枝尾根に出てわずかに尾根を上ってから右にはずして先の主尾根に出て、そこからピークに登り返しました。道形はピークを踏む積もりで付いているわけではなさそうで、枝尾根をそのまま頂上に進まずに斜めに主尾根に出て先を急ぐような恰好になっていました。
それぞれのピークは展望もよく、捲いて通過したにしても登り返して踏んだ方がいいな、と感じました。大鳥屋山、岳ノ山が近く、またその間に尾出山の鋭峰が顔を覗かせていいます。
なお、捲き道にした道形はいずれも古く、相当慣れていないと判断しにくいかもしれません。また岩棚や急斜面ではすでに崩れてかなり危ない部分もあります。
古くは地元の人たちが歩いたようでかつては尾根通しの道が付いていたことを窺わせる痕跡が続いています。すべて大岩は野上側斜面に捲いていますので、行き詰まったら右へ、が基本です。直登できないピークも捲いた先から登り返せますのですべてのピークを踏むことはできます。いずれにしてもすべて直登しようとしたら、素手ではちょっと無理かもしれません。
しばらく坦々と尾根をたどって、覚えのある松坂山へ:
赤松の峰より松坂山
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ここから先は平凡な尾根となります。時たま露岩があったり、岩質が変化したりと(松坂山手前で赤い岩が現れ、松坂山の先からは長石のような真っ白な岩になる。)興味深くもありますが、知識不足の私にはただ珍しいだけで終わってしまいます。
途中T字になり、このあたりは赤松の風情がなんとも魅力で、以前から勝手に赤松の峰と呼んでいます。折からの強風でゴーゴーとすさまじい音を立てていました。
最後のわずかの急登で三角点がぽつんとあるだけの寂しい松坂山頂上です。以前は山名板がありましたが、すでに落ちて朽ちて文字も判別できなくなっていました。以前登ったときにはこの山名板には「松坂山」と記されていました。ちなみに「高鳥屋山」は野上側の呼び方で、閑馬側では「松坂山」と呼びます。(金原で地元の方に伺った話。こちらから取り付いたので敬意を表してこのページでは松坂山と呼びました。)
下山はさらに進んで南に降る尾根を急下降:
松坂山からしばらくは西に向かって良く踏まれた道をたどります。尾根はその先、大きく方向を変えて近沢峠方向に延びていますが、この辺で終わりにして南に東松坂林道へ向けて延びる尾根を選んで一気に降りました。(等高線480m峰) はじめは踏み跡もありませんが、そのうち明瞭な道形が現れます。
下降点は伐採の最中で新しく伐採基地ができていました。(枝尾根の途中に伐採小屋のTVアンテナが登ってきていてビックリしました。)
駐車地付近で地元の方に話を聞くことができました。
岩峰群に特に山名はないらしいことが判りましたが、その次の大きな高みは「よじのき」と呼ばれているそうです。字はどうも木偏がつくらしいまでは話してくださいましたが本人にもそれ以上は判らないと言うことでした。ご婦人でしたのできっと余所からお嫁に来たので、もうそのころは里が山とは縁遠い社会になってしまっていたのかもしれません。「よじのき」もどうもあやふやでなんとも心許ないので、いずれ地元育ちのご老人に聞いてみるつもりです。
また、峠の右といいますからたぶん金原山かと思いますが、数年前に一度お祭りをやったそうです。太鼓を担ぎ上げて叩いた、と話してくれました。それもそれ以来途絶えているということです。 |