雪入山 ゆきいりやま 345m
ヤマザクラ満開
筑波山は関東平野からは独立峰のように見えますがじつは長大な山脈の盟主で、北に延々と足尾山、加波山、雨引山などを従えています。一方低山のために目立ちませんが南にも延びて宝篋山、さらに東に向きを変えて雪入山、浅間山などの里山になって霞ヶ浦を目印にするかのように平野に落ちて終わります。
その雪入山、浅間山などの山塊はヤマザクラの群生地として最近人気が高まっていて、満開時期の美しさがよく語られています。これには雪入山という字面も響きも心地よい山名の印象が多少寄与しているかも知れません。
季節の移行が異常に早く開花時期を見定めるのに苦労する今年の春ですが、雪入山ネイチャーセンターが発信するリアルタイムの開花情報で早くも開花という情報を得て急遽予定を早めてヤマザクラのみごとな群生を楽しんできました。
雪入山山頂
筑波山(あきば峠から)
【日程】 2018年月3月31日 【山域】 筑波 【天候】 快晴
【アクセス】 常磐道千代田石岡ICを国道6号線土浦方向へ出てすぐ下土田北で右折、さらにすぐ右折。1kmほどで突き当たったら右折してまた1kmほど先の五反田で左折。上佐谷で右折してあとは道なりに走って雪入ふれあいの里まで登ります。 【駐車地】
雪入ふれあいの里に駐車場。数十台。
開花シーズンは朝から満車になるとのことです。
この駐車場は歩くことなくすでに展望地になっていて霞ヶ浦の広がりと周囲の山肌に咲く山桜を眺めることができます。【コース】
駐車場 - 駐車場の端から下降 - 拾光寺観音
- 林道 - 保沢新道 − 林道 - いやしの里
- 直登コース - パラボラ山 − 剣ヶ峰広場
- 雪入山 - あきば峠 − 黒文字平
- 浅間山 - 石噛桜コース - 金明水コース
- 駐車場
実行程約3.5時間 一般向き
【メモ】
展望のふれあいの里公園:
霞ヶ浦
道はわかりにくいですが山裾からふれあいの里公園の建物が見えますのでナビなしでも行けるはずです。途中の雪入の里の風景も素敵で、ソメイヨシノが今まさに満開で山に登らずにこのあたりでお弁当を広げてお花見を始めてしまっても楽しく一日過ごせそうです。
車道が中腹に登ってカーブをいくつか通過するとふれあいの里公園駐車場です。一段上にネイチャーセンター、トイレなどがあります。
駐車場からは山裾の桜、雪入集落の里風景、霞ヶ浦などののどかな眺望が得られます。ここだけを目的に車でやってきたらしい夫婦連れが何組も散策していました。
ネイチャーセンターでハイキングコースマップをいただいて、まずは駐車場の西端の階段を下ってパラボラ山に向け出発です。
道は複雑でハイキングマップなしでは道迷い必至です。ぜひともネイチャーセンターに立ち寄って地図をいただくと共に係員のアドバイスなどを得ておくとコース全体をより安全に楽しめるはずです。
コース前半は拾光寺観音(じっこうじかんのん)、剣ヶ峰コース分岐、車道、保沢新道(なるさわしんどう、成沢とも)、車道、いやしの里、直登コース、パラボラ山、剣ヶ峰広場と細切れに繋げて歩きました。
しかし結果から言うとこのコースはヤマザクラが目的の今回の山行としてはカットしてもよかったかなという印象です。ぐるり大回りしたコースはあまり展望もなくヤマザクラもあまり見えず、また車道歩きが多くて疲労感がおみやげのがっかりな印象が残りました。
なお、いやしの里から剣ヶ峰までは直登コースの他に眺望コースもありますがネイチャーセンターの係員の話ではその名のような眺望は得られないとのことです。そちらから登って来たハイカーに伺っても同じことを話していました。かえってふれあいの里公園から翁桜コースを登って直接剣ヶ峰広場へ登ってもよかったかも知れません。(未踏)
剣ヶ峰から核心のヤマザクラ回廊:
山裾の桜
剣ヶ峰までは車も通れるような道で周囲は笹の密生でおまけにイノシシが掘り返した跡が続いて荒れ放題であまり気分の良いルートではありません。
ところが剣ヶ峰で突然展望が開けて先ほどのふれあいの里で見た景観をさらに高度感を持って眺めることができます。テーブル、ベンチもあって休憩にはちょうど良いので早めですがここで昼食としました。
眼下に満開のヤマザクラ、里にはこれまた満開のソメイヨシノ、その先には霞ヶ浦、お弁当が何倍もおいしくなるしあわせなひとときです。
この先でやっと山らしく:
ヤマザクラにもいろいろあることがわかります
ここからはヤマザクラと共にルンルンのワンデリングです。
ここから先、展望は右側つまり霞ヶ浦方面が主で左側の筑波山方面は限定的です。理由は笹藪の刈り払いが右側斜面だけに限られているためです。この尾根は市境になっていて右がかすみがうら市、左が石岡市(旧八郷町)ですが整備や保全に力を入れているのはかすみがうら市のようです。
稜線の八郷側ははほぼ薮に覆われていますが笹のない尾根になったときだけ筑波山や宝篋山の大きな山体を見上げることができます。
雪入山は尾根上の一角で顕著なピークではありませんが、周囲の笹も刈り払われて多少展望も得られます。このあたりではヤマザクラの巨木が次々に現れます。しかし高木のせいで頭上高くに咲いているため花に包まれて歩く感じはしません。むしろ中腹に咲く花を見下ろしてなるほどヤマザクラの山なんだと実感することになります。
一旦下ってあきば峠の車道に下り立ちます。車道を左にわずかに進むと筑波山の展望地です。堂々たるその高みはさすがこの山塊の主峰です。
峠から尾根を登り返すと黒文字平、なるほどクロモジが多くちょうど芽吹きしたばかりの葉が瑞々しく輝いていました。
なお、黒文字平の位置ですが、山名板のある地点とハイキングコースマップとでは少し違うようです。
浅間山:
浅間山からパラボラ山 歩いていては見えなかったヤマザクラもたくさん
浅間山は目立った鋭峰で遠くからでもすぐにそれとわかります。ここまでパラボラ山の稜線への直登コース以外はずっとなだらかな尾根を歩いてきたのですが浅間山は稜線上で唯一の急登です。
いかにも信仰の山(浅間神社)らしく注連縄の先に参道が頂上目指して一直線に登って行きます。
息を切らして登り着いた頂上には数基の石祠が立っています。頂上の平地の半分はアンテナの建物占めていますが、それは見ないことにして周囲の展望を楽しむことができます。南東には霞ヶ浦が広がって、西から南には筑波山と今しがた通ってきたパラボラ山が聳えています。パラボラ山が意外な大きさです。稜線歩きでは見ることのできなかったヤマザクラがけっこう咲いているのが見えます。
下山もヤマザクラ、ヤマザクラ:
いろいろなヤマザクラがひしめいて咲く斜面
下山路はくねくねといくつかのコースをつないで車道に出たりまた山道に戻ったりと複雑な経路をとらされます。
ちょうど位置として浅間山や黒文字平の南面にあたるこのあたりがヤマザクラがもっとも多く咲いているようです。ヤマザクラの純林かと思えるほどの場所すらあります。ピンクの花、白い花、早くも赤味を帯びた葉が見られるもの、ソメイヨシノのように葉の前に花だけがびっしり咲くもの、いろいろな桜があることがわかります。そもそもこんなにヤマザクラがあることさえ花の時期以外では気付くこともありません。
最後に今朝車で登ってきた車道に出てあとはぶらぶらと駐車場に戻るのみ。
雪入山の花(クリックで拡大)
キブシ
コブシ
クロモジ
シュンラン
ウラシマソウ【便利帳】 トイレ:ふれあいの里公園 【収穫】(^_^; 46片 260g