【メモ】 |
ちょっとひねくれたコースを:
冬場の大小山は近年なかなか人気コースのようで、日曜日に近くを通るとたくさんのハイカーの姿を目にします。
たぶん、ガイドブックをなぞって歩いたら静かな山歩きなどできようもないだろうと、ちょっとひねくれたコースを設定してみました。大小山はちょうど足利と佐野の市界となっていますのでいっそ忠実にこの境界をたどってみようというコースです。
佐野市赤見町市ノ沢と足利市稲岡町西根を分ける支尾根から取り付きました。昔からこのあたりは山蔭で人家もなく人もあまり通らない場所で、案の定、支尾根全体が藪に覆われてかすかな踏み跡の痕跡があるのみでした。
ほとんど廃棄された里山ですから、松枯れにやられたアカマツ混じりの雑木からヒサカキ、シラカシ、ヤツデ、アオキ、ヒイラギなどの常緑樹に遷移する経過を見ることができます。このような林相はこのあたりの里山どこでも見られる光景です。
藪漕ぎ30分、うんざりする頃に富田富士から登ってきた尾根道に出ました。
尾根に出ると快適な道:
アズマザサが繁茂しアカマツが立ち枯れてあまりきれいな雑木林ではありませんが、山道そのものは歩きやすく快適です。
まず右から赤見方面より登ってくる道を合わせ、やがて大岩の断崖に出くわし、左に捲いて登り返すとここからは岩尾根となります。この山塊特有のチャートの堅い岩と背丈の低い赤松の気持ちよい配置に気分も軽くなります。この地点で阿夫利神社からの道を合わせます。
ここで先ほどの藪漕ぎの途中でカメラをなくしたことに気付き、とって返して1時間のロス。
混雑の頂上からは360度大展望:
袈裟丸・皇海・庚申山・熊鷹・安蘇山塊
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頂上が近づくと何人ものハイカーとすれ違い、頂上からはたくさんの声がして、なるほど人気コースだと納得しました。それもそのはず、目の前にはどでーんと関東平野が広がっています。その向こう、秩父山塊を越えてその先に富士山が真っ白に輝いています。あいにくあまりの好天にうっすら靄がかかって東京のビル群や八ヶ岳方面の展望はありませんでしたが、それでも西から北方向へぐるりと、荒船山、真っ白な浅間山、鼻曲山、浅間隠、榛名山、草津方面、たぶんその白さからして白砂山あたり、赤城山、袈裟丸山、皇海山、庚申山、ちょこっと白根山、男体山、女峰山、ちょっぴり高原山という豪華な大展望です。振り返れば筑波山も望めます。また近景には安蘇の山々が手に取るようです。安蘇山塊の関東平野から日光足尾連山に向けて幾重にも重なって徐々に標高を上げていく姿がよくわかります。
この標高でこの展望とはちょっと贅沢すぎる気がします。
この山のシンボル・大小の字:
大小山で「大小」の字を見ないわけにはいきません。南に岩尾根を急降下して登り返すと天狗岩の頭、さらに一気に下って鉄の段々を下りると東屋があり頭の上に、わっ、でっかい2文字。昔、子供の頃には木製の文字でした。いつしか朽ちてなくなってしまったのを数年前に金属製に形を変えて再登場したというわけです。いやぁ、でかい。
写真に収めて、また頂上に登り返し展望を再度楽しみながらお昼にしました。
越床峠へ むしろこっちが楽しい道かも:
頂上から北西にはっきりした尾根道が下っています。越床峠を経て大坊山まで続いている道です。大坊山から往復する元気なハイカーも多く、かなり良く踏まれた道です。
尾根は岩がちでアカマツや雑木が美しく、ちょっと楽しいコースです。多少は松枯れにやられているのもありますがこういう岩尾根ではアカマツもけっこう元気に枝を広げています。やはり人の手を加えなくなった里山が腐植質の土壌になっていくと退場するべき植物のようです。
寂しい越床峠:
やがて左右から峠越えの道が交叉する越床峠。南へは大沼田、北へは旧国道越床峠を経て赤見へと下って行けます。
私は車の回収があるので右に旧国道へと下りました。旧国道は車止めが設置されたため通る人もなくなかば落ち葉に埋もれていました。
ここから約1時間、地獄の舗装道歩きが待っていました。
途中の自然湧水・厳島泉は一休みに格好の場所です。
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